真夏の熱さのせいで、体がしんどくなった経験はありませんか?
その原因の多くは「熱中症」によるものでしょう。
熱中症は、私たちにとって非常に身近な病気ですが、実は命に関わる非常に怖い病気です。
子どもから大人まで、発見が遅れると重症化してしまうケースもあります。
正しい知識、予防策、対処法などを知っておくことで、
自分自身だけでなく、周りの人も助けることができます。
この記事では、特に高齢者に焦点を当て「熱中症」について詳しく説明します。
1.高齢者の熱中症死亡数は年々増加している
熱中症による死亡者数は増加傾向にあり、
2022年には1477人が亡くなったというデータがでています。
亡くなった方のうち、65歳以上の人の割合は、86.3%にも及んでいます。
このデータからもわかるように、高齢者の熱中症は、非常に注意が必要です。
これは、若年者よりも高齢者の方が重症化しやすいからだけではなく、
重症化した場合に治療をおこなっても、高齢者は若年者と比べて、
症状が良くならない可能性が高いからです。
高齢者の場合、真夏に少しボーっとした感覚があるだけでも、
実は重症の熱中症になっているときがあります。
また、「①暑くなり始めの時期」、「②梅雨の晴れ間の時期」など、
急な温度変化に伴い、熱中症になる人もいます。
熱中症は、誰しもかかり得る病気ですが、
特に高齢者は、夏場の体調の変化を見逃さないようにすることが大切です。
2.高齢者の熱中症が重症化しやすい理由
熱中症とは、外の気温が高い場所に長時間いることで、
体温調節機能がうまく働かなくなり、体内に熱がこもる状態をいいます。
人間は、熱さにさらされると皮膚の温度センサーが反応し、
脳の視床下部にある体温調節中枢に伝えられます。
脳が熱いと感じると、体の体温を下げるために発汗させたり、
体表面の血管を拡張させたりします。
熱中症の人の顔が真っ赤になるのは、このためです。
では、高齢者と若年者では、この変化にどのような違いがあるのでしょうか。
一緒に考えていきましょう。
(1)体温調節機能の低下
高齢者は、熱いと感じるセンサーが鈍くなっています。
実は体に熱がこもっていたり、熱中症となっていたりしても、
本人は感じていないケースが多々あるのです。
脳が熱中症であることを感じていないため、
体温を下げるための発汗機能が十分に機能しなかったり、
熱を放出させるための血管の拡張もしづらくなったります。
また、高齢者は汗を出す「汗腺」の量も少なくなっており、
体温を下げる機能が、他の人と比べて衰えているため、熱中症が重症化しやすいと考えられます。
(2)体内の水分量の低下
高齢者は若年者と比べて、体格も小さい場合が多く、
体内の水分量が少ないことでも知られています。
熱中症になった際に汗をかくと、体内の水分量がさらに少なくなります。
もともとの水分量が少ないため、若年者と比べて脱水状態になりやすいわけです。
脱水状態になると通常はのどが渇き、自然と水を飲みます。
しかし、高齢者はのどの渇きが起きにくかったり、
少量しか水分を摂取できなかったりするのです。
結果、脱水状態が悪化し、熱中症が重症化して発見されるケースが見られます。
(3)認知機能や判断力の低下
認知機能や判断力の低下によって、熱中症が重症化してしまう場合もあります。
熱中症という言葉自体は、全年齢の人が知っているでしょう。
今の時代、熱中症対策などは、自然にとっているかと思います。
しかし、認知機能が低下している高齢者は、熱中症になっていることに気付かなかったり、
そもそも熱中症を理解できていなかったりします。
また、自分の体温や室温が高くなっているのに気付けず、
なんらかの対策ができない場合もあります。
これにより、熱中症が発見されるときには重症化しているケースが多いのです。
3.高齢者の熱中症対策・予防法
高齢者における熱中症対策と注意点には、以下のようなものが挙げられます。
(1)適切な室内温度管理
高齢者がいる部屋の適切な温度は、26~28℃といわれています。
しかし、高齢者は真夏に冷房をつける習慣がなかったり、
冷房をつけることを非常に嫌がったりする人が多くいます。
高齢の親が冷房を嫌がるときは、除湿器や扇風機を用いて、
室内の体感温度を下げる工夫が必要です。
(2)こまめな水分補給
水分補給は十分に行いましょう。
発汗によって、体内の水分量が少なくなると脱水症になり、
熱中症のリスクを高めてしまったり、熱中症が重症化しやすくなったりします。
高齢者は一度に摂取できる水分量が少ないため、
一口でもよいのでなるべく短い感覚で、水を飲むようにしましょう。
また、カフェインを含む飲料は利尿作用があり、
水分がおしっことして、体外に排出されてしまいます。
できるだけ、水やスポーツ飲料水を飲むように心がけましょう。
(3)熱を放出しやすい服装選び
汗をかくと、洋服内に熱がこもり、熱中症のリスクを高めてしまいます。
熱を放出しやすい服装、具体的には吸水性・速乾性に優れた服を着用することが大切です。
綿や麻の素材は、特に熱中症対策に適しているといえるでしょう。
また、日傘や日よけ帽子などで、直射日光を避けるのも熱中症予防には重要です。
同時に、腕や足などを日光から遮蔽(しゃへい)するための長袖、
長ズボンも綿や麻の素材であれば、熱中症対策になります。
首元につける冷却グッズなどで、強制的に体を冷やすのも有効です。
(4)夜間は扇風機やサーキュレーターを併用
夜間は日中と比べ気温が下がるので、熱中症自体は起きづらくなります。
しかし、エアコンのつけっぱなしで生じる「冷房病」に注意が必要です。
冷房病とは、エアコンの温度調節が自分の体温調節と合わなくなり、
身体に誤作動が起きることで、倦怠感(けんたいかん)が生じることです。
夏場のエアコンの設定は26~28℃が最適といわれていますが、
実際は湿度も影響しています。
環境によって異なりますが、直接冷房が当たり続けていると
体温調節機能に異常をきたすため、体の不調につながる可能性が高いのです。
冷房のほかに扇風機やサーキュレーターを併用し、
部屋の空間温度を効率よく下げることが重要です。
(5)高齢者は周囲の人がサポート
身近に高齢者がいる場合、周りの人が注意すべきなのは、
熱中症を常に意識し、高齢者を一人にさせないことです。
熱中症は誰でもなる病気ですが、高齢者は自覚症状に乏しいため、
周りの人が気を付けるしかありません。
先ほど列挙したような対策・予防を心がけ、体調に変化がないか、
注意深く観察し続けることが非常に重要です。
4.高齢者が熱中症になってしまったら? 症状と対処法
高齢者は、熱中症にかかると重症化しやすく、命の危険にかかわる怖い病気です。
そのため、高齢者が熱中症になってしまった場合は、早急に適切な対応をおこなう必要があります。
熱中症の重症度は、大きく3段階に分かれており、重症になるほど命の危険を伴います。
【軽症の症状】
めまい、立ち眩(くら)み、筋肉痛
【中等症の症状】
発熱、頭痛、嘔吐(おうと)、吐き気
【重症の症状】
高熱、意識障害、痙攣(けいれん)、呼吸困難
これから、適切な対応についてお伝えしますね。
(1)初期症状の見分け方と対応方法
初期症状はめまい、立ち眩み、筋肉痛といった症状があります。
基本的には意識があり、会話が可能な場合がほとんどです。
初期症状が見られたら、まずは「①日陰や室内に非難」、
「②こまめな水分補給」をおこないましょう。
初期の場合は、これで症状が軽快するケースが大半です。
(2)中等症(意識がある)の対応方法
中等症になると、頭痛、嘔吐、呼吸苦を訴える場合があります。
意識があっても、このような症状は非常に危険な状態です。
「①日陰、室内に非難する」「②こまめな水分補給」以外にも
「③病院への搬送」が必要なときもあります。
なぜなら、熱中症に合わせて、脱水の状態になっている可能性が高いからです。
意識があっても、普段と違う様子であれば、迷わず救急車を呼ぶようにしましょう。
(3)重症(意識がない)の場合の対応方法と救急車を呼ぶ基準
意識がない場合は、すぐに救急車を呼びましょう。
熱中症は、原因から離れないと徐々に悪化していく病気です。
意識がない場合は、すでに重症ではありますが、
1分1秒の対応の遅れが命に直結する可能性があります。
できるだけすぐに救急車を呼び、いち早く「①日陰、室内に非難」するようにしてください。
意識がない場合はもちろん、呼吸困難、痙攣、せん妄(もう)のような重症を疑う症状があれば、
迷わず救急車を呼ぶようにしましょう。
5.高齢者の熱中症は命の危険も。十分な対策を意識して
熱中症はありふれた病気ですが、毎年多くの人が重症化して、命を落とす怖い病気です。
特に高齢者では、重症化しやすく、命の危険性が高まります。
今年の夏も、猛暑が予測されています。
熱中症には十分に注意して、夏を楽しんで乗り切りましょう! ・・》
注)記事の原文に、あえて改行など多くした。
今回、高齢者が熱中症になりやすい理由、対策法、
懇切丁寧な解説を79歳の私は学び、多々教示させられたりした・・。
私は、
やはり35度前後の猛暑日は、自制して、自宅で読書などで過ごそうと思ったりした・・。
こうした根底には、やはり熱中症で遊歩道などで倒れて、気付いたら病院のベットの上だった・・、
こうしたことは多くの御方に御迷惑をお掛けするので、
やむなく今年の夏の猛暑の時は、私の避暑地は・・自宅のエアコンの冷気の中だ、と微笑んだりした・・。