加齢による目の衰え「アイフレイル」…チェックリストで早期発見
年を重ねるにつれて、目が疲れやすく、
ピントも合わせづらいと感じることが多くなるかもしれません。
眼の専門家でつくる団体は、加齢により目の機能が低下した状態を、
今秋から「アイフレイル」と呼ぶことにしました。
目の病気が潜んでいる場合もあり、チェックリストを作成し、
啓発活動に力を注いでいます。(野村昌玄)
☆学会など啓発
フレイルは、心身の働きが弱り、要介護になる手前の状態を指します。
目も加齢とともに衰え、病気を発症しやすくなります。
代表的なのは白内障、緑内障、加齢黄斑変性です。
白内障は、カメラのレンズにあたる水晶体が白く濁り、
かすんで見えたり光をまぶしく感じたりします。
緑内障は、眼球内の圧力(眼圧)の上昇などで、
目と脳をつなぐ視神経に異常が生じ、視野が欠けます。
加齢黄斑変性は、目の奥の「黄斑部」に細かい血管が生じるなどして、
むくみ、物がゆがんで見えたり、部分的に見えにくくなったりします。
目の衰えは、早ければ40歳代で始まります。
初期の頃は、目の病気があっても、症状に気づきにくく、
知らず知らずのうちに進行してしまいます。
日本眼科学会や日本眼科医会などでつくる日本眼科啓発会議は、
目の病気の早期発見につなげるため、アイフレイルチェックリストを作成しました。
▽目が疲れやすくなった
▽眼鏡をかけてもよく見えないと感じることが多くなった
▽まぶしく感じやすい
▽まっすぐの線が波打って見えることがある
▽信号や道路標識を見落としたことがある――など10項目のうち、
二つが該当すると、アイフレイルの可能性があります。
☆生活の質を保つ
宮城県内の女性会社員(51歳)は、この数年で視力が低下したと感じ、
今年10月、同県大和町の「かとう眼科医院」を受診しました。
視力低下の原因は、主に乱視や老眼でしたが、
左目の視野が欠けていることも分かり、緑内障と診断されました。
女性は「自覚症状はありませんでした。
早く見つかって本当に良かった」と話しています。
緑内障は、点眼薬などで、眼圧を下げる治療をします。
また、白内障は、手術で濁った水晶体を眼内レンズに置き換えます。
加齢黄斑変性を発症している場合は、
細かい血管ができるのを抑える注射薬などを使います。
これらの病気を早く見つけて、治療をすることで、
進行を抑えられたり、見え方を改善させたりできます。
チェックリストの作成に関わった院長の加藤圭一さんは
「アイフレイルの症状は『疲れている』、『年だから』と片付けられがちですが、
軽視せず、不安があれば、眼科医を受診してほしい」と呼びかけています。
同会議は今年6月、40歳以上の約1万3000人を対象に、
インターネットで健康に関する意識調査を実施しました。
その結果、47・7%が目に不自由を感じていると回答しました。
視覚に障害があると、外出などが制限され、活動量の減少につながり、
転倒や骨折のリスクが高まるとの研究報告もあります。
順天堂大眼科先任准教授の平塚義宗さんは、
「長く生活の質を保つためにも、目の健康寿命を延ばすことが重要です」
と強調しています。・・》
注)記事の原文に、あえて改行など多くした。