夢逢人かりそめ草紙          

定年退職後、身過ぎ世過ぎの年金生活。
過ぎし年の心の宝物、或いは日常生活のあふれる思いを
真摯に、ときには楽しく投稿

若宮正子さん(89歳)が実践、「シニアこそAIを使いなさい」、時代遅れ私は学び・・。

2024-09-24 14:51:04 | 喜寿の頃からの思い

スマホの音声アシスタントやお掃除ロボットなど、
さまざまな分野に使われているAI(人工知能)。

“ITオンチ”には、縁遠い技術だと思いきや、実はITオンチにこそ使いやすいもので、
長い老後を元気に生き抜く“相棒”にもなり得るという。
果たしてそれは本当か?探ってみました。

☆教えてくれた人

若宮正子さん/ITエバンジェリスト(伝道師)・デジタルクリエイター

1935年、東京都生まれ。勤めていた銀行を定年退職後、独学でパソコンを習得。
1999年、シニア世代のサイト『メロウ倶楽部』の創設に参画。

2017年に、ひな人形を正しく配置するゲームアプリ「hinadan」を開発し、
Apple社のCEOティム・クック氏らから「世界最高齢のプログラマー」と紹介され、話題の人に。
また、「Excel」を使ったアート作品でも注目を集める。

現在はデジタル庁「デジタル社会構想会議」委員、
内閣府「高齢社会対策大綱の策定のための検討会」の構成員も務める。


☆シニアこそスマートスピーカーを使いこなして

「“老いてこそAI”。まったくその通りだと思います。
だって、(スマホやスピーカーなどに)話しかければ、なんでも答えてくれるんですよ」
と力強く語るのは、若宮正子さん。

89歳の現在も、講演などで国内外を飛び回っているが、
自宅では、日常的にスマートスピーカーにあれこれ話しかけ、教えてもらっているという。

スマートスピーカーとは、AIを搭載した多機能スピーカーのこと。
話しかけるだけで、時間や天気情報を教えてくれたり、音楽や動画の再生などをしてくれるツールだ。

「目覚まし時計代わりにもなるし、
ハンバーグのタネをこねている最中に、レシピを確認したくなっても、
作業を止めて手を洗って・・・の必要なく、
『ナツメグの量は、どのくらい?』と聞くだけで、教えてくれます。

年を重ね、1つのことをするのにも、時間がかかりますから、
スピーカーは、何かと頼りになっていますね。

スマホで検索してもいいのだけれど、文字を打ち込むのって、面倒でしょう?
実は私、タイピングが苦手。
だから、しゃべるだけでOKなんて、すごいことだと思う」(若宮さん・以下同)

若宮さんが、文字入力が苦手というのは意外だが、
シニアにとってのメリットは、ほかにもあるという。

「年を取ると、“うっかり忘れ”が多くなります。
たとえば、お湯を沸かしっぱなしにしてしまうとか。

そんなとき、『10分後に教えて』と声をかけるわけです。
30分煮込む料理のときも、移動時間を差し引いて『29分後に教えて』と頼むの」

 

☆遊びやゆとりを持ってデジタルを楽しもう

 スマホでは、若宮さんはAIをどのように使っているのだろうか。

「調べものや、急に名前が思い出せないときに、聞いています。
『きゅうりみたいな形、イタリアっぽい名前、野菜』と聞くと、
『ズッキーニですか?』と返ってきます。

たとえば『AIって何? 80歳でも、わかるように教えて』というふうに、
さらにひと言加えると、かみくだいて教えてくれますよ」

あるときは相談にも乗ってくれる。

「『何事にも自信の持てない私に、アドバイスをお願いします』と尋ねてみましょうか。
すると、瞬時に『小さな成功体験を積み重ねる、新しいことに挑戦する、感謝の気持ちを持つ』など、
いろいろなアドバイスが出てきます。
『あなたには、必ずできることがあります』などと励ましてもくれるんです」

AIの回答文の結びに「私はAIであり、医療や心理学の専門家ではありません」
という一文を見つけた若宮さんは、
「そんなこと知っているわよ!と突っ込みたくなるのも面白いわよね」と楽しそう。
機械だからと構えず、遊びの道具だと思えばいいのかも・・・。

「そう、遊びとゆとりが大事。
私は、日本ではプログラミングで評価されましたが、
台湾の元IT大臣、オードリー・タンさんから
『あなたがすごいのは、エクセルアート(※1)を創造したことだ』と言われました。

エクセルアートは、ビジネスに使われる表計算ソフト『Excel(エクセル)』で、
図柄を考案して作る作品です。

ソフトの使い方が違ったって、楽しければいいじゃない?
スマホが使いこなせなくても、自分がやりたいこと、
必要なことさえできればいいと思うんです。

私もパソコンは独学で、知らないことが多いの。
でも、私が買ったものなのだから、どう使おうと私の自由でしょう?」


若宮さんいわく、世界各国のシニア(65歳以上)のIT活用率を見ると、
日本の活用率は、諸外国のシニアに比べて低いのだという(※2)。

「“もう年だから”と、勝手に卒業しちゃう人が多いんです。
私はその普及活動を託されているんですが、普及のポイントは、
まさにAIのように話しかければ、教えてくれる簡単なツールをどんどん使い、
新しい知識を得ていくことだと思っています」

できることが増えれば、老後の暮らしも楽しくなる。
AIは、「できること」を増やしてくれるツールであることは間違いない。

「人生100年時代、70代、80代は、まだまだ伸び盛りです。
私は80代で人生が一変しましたから。

不確定な時代をたくましく生き抜く英知と柔軟性があれば、
素晴らしい未来が待っている、と私みたいなおめでたい人間は信じています(笑い)」

 

撮影/竹崎恵子 

※女性セブン2024年9月26日・10月3日号 ・・》

注)記事の原文に、あえて改行など多くした。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする