『 高血圧でも薬に頼らない生活を送るために!
手軽にできる8つの運動習慣
「おすすめは肺まわりのストレッチ と題された見出しを見たりした。
《・・【 介護ポストセブン 】の『健康』2023.05.29 07:00
病院が処方した血圧の薬を飲んでいる。
という方も多いと思うが、理想なのは、薬に頼らない生活。
それには、自然に血管を若返らせ、元気な血管を保つことが重要で、運動することが一番だという。
どんな運動が効果的なのか、専門家に話を聞いてきた。
☆血管を若返らせるのが高血圧解消のカギ
秋津医院院長の秋津壽男さんはこう指摘する。
「若くて健康な血管の特徴は、やわらかくしなやかで、弾力があること。
血管は年齢を重ねると、必ず硬くなっていくため、
毎日の生活習慣のなかで、動脈硬化を食い止めることが重要です」
日本歯科大学病院内科臨床教授で
『ズボラでもみるみる下がる 測るだけ血圧手帳』の著書がある渡辺尚彦さんは
「血管の広がり」に注目する。
「血管が収縮していると、血流が悪くなって、血管がつまりやすくなり、
老化や病気の原因になります。
反対に、血管が広がっていれば、血流が改善されて、血管を若々しく保てる。
薬に頼らなくても運動や食事などで“スイッチ”を入れれば、
血管を広げて血管年齢を下げることができます」
大切なのは、血管を鍛えて動脈硬化と収縮を食い止めること。
血管を若返らせる「最強スイッチ」を紹介しよう。
☆血管を若返らせる最強習慣
まず取り組みたいのが「運動」だ。渡辺さんが言う。
【1】1日30分程度のウオーキング
「サイクリングやジョギングなど、軽~中程度の負荷を長時間かける有酸素運動は、
酸素を使って体脂肪を燃焼させ、
動脈硬化の原因となる悪玉コレステロールや中性脂肪を減らします。
なかでも負担が少なく効果があるのが、ウオーキング。
1日30分ほど、少し早めだけど息が切れないペースで歩くのがポイントです」
渡辺さんの知る運動嫌いの高血圧患者は、5種類の降圧剤をのんでいた。
患者を説得して毎日歩く習慣をつけてもらったところ、徐々に血圧が低下し、
最終的には、1種類の降圧剤の錠剤を半分だけのめばいいほどに回復したという。
日々の暮らしでもなるべく歩くことを心がけたい。
【2】エスカレーターやエレベーターに頼らず階段を使う
谷本さんが言う。
「エスカレーターやエレベーターに頼らず、階段を使うだけでも、血管は刺激されます。
コロナ禍も落ち着いたので、座りすぎず積極的に外出する機会を増やしてください」
こまめに歩くことを意識しつつ、体全体をしっかり動かす習慣も身につけたい。
【3】ゆっくりとした動作で体を動かす「スロー運動」
「動脈硬化が進む人は、運動不足で筋肉や関節が硬くなっています。
なので、ゆっくりとした動作で体を動かす『スロー運動』で、
筋肉を伸ばして関節をやわらかくすると、血管に対するマッサージ効果が生じます。
ラジオ体操をゆっくりやることがおすすめです」
肺まわりストレッチで血管の老化を予防
薬学研究者で『薬に頼らず血圧を下げる方法』の著者の加藤雅俊さんは
自ら考案した「降圧ストレッチ」を提唱する。
「最近の研究で、骨格筋を動かすと血管の内皮細胞から分泌されるNO(一酸化窒素)が、
血管を柔軟にすることが明らかになっています。
ウオーキングや体操など体を動かす運動でなくても、
筋肉や関節を伸ばしたりひねったりして全身をストレッチすれば、
NOが分泌されて血管が若返ります。
【4】肺まわりの筋肉のストレッチ
なかでも効果が期待されるのが『肺まわりの筋肉』のストレッチ。
加齢によって心肺機能が衰えると、酸素を全身に送る力が弱まり、
心臓がそれを補おうとして、ポンプ力を高めて、血圧が上がります。
ストレッチをして胸郭を広げると、肺が広がって酸素を取り込む量が増えるので、
心臓の負担が減り、血管の老化を予防し、血圧が下がりやすくなります」
◆肺まわりのストレッチのやり方
代表的な肺まわりのストレッチのやり方は、
・両手を後ろで組んで、下に引っ張り
・それから胸を張って組んだままの両手を上に引き上げる
・同時にあごを上げて顔を上に向け、胸を張った状態で10秒キープする
加藤さんによれば、この「降圧ストレッチ」で血圧が下がった50代女性がいるという。
「164mmHgだった数値が、降圧ストレッチを始めて1週間すると下がり始め、
2か月後には110mmHgになりました」(加藤さん)
【5】ふくらはぎを叩いて血管を刺激
「第二の心臓」と呼ばれるふくらはぎを、
パンパンと刺激する「ふくらはぎ叩き」も簡単な動作で血圧を下げられる。
考案者の渡辺さんが語る。
「手のひらの付け根で、ふくらはぎの側面を、下から上へリズミカルに5分ほど叩きます。
続いて、アキレス腱からひざの裏まで、
げんこつの側面で、下から上へ3 分ほど叩いていきます。
左右両足に、強すぎず弱すぎず、気持ちいいと感じる程度の力で叩くのがコツです」
「ふくらはぎ叩き」を実践した渡辺さんの患者は、
片足の体積が320㏄減ってむくみが取れ、5~10~10mmHgほど下がったという。
セットで行いたいのが、手の親指と人差し指の間にある「合谷(ごうこく)」のツボ押しだ。
「指圧師が“万能のツボ”と呼ぶツボで、刺激すると血管が開いて血流がよくなります。
高血圧の人には特に効果があり、1日3回、左右10分ずつ合谷を指圧すると、
2か月後に平均で4mmHgほど血圧が下がりました。
短期間で20~30 mmHg下がった人もいます」(渡辺さん)
◆簡単にできる「ふくらはぎ叩き」のやり方
「ふくらはぎ叩き」のやり方をご紹介する。
【1】ふくらはぎの側面を、下から上へ手のひらの付け根でリズミカルに叩く。
約5分、「気持ちいい」と感じるくらいの強さで叩いた後、反対の脚も同様に行う。
【2】アキレス腱からひざ裏まで、下から上へ叩いていく。
約3分、「痛気持ちいい」と感じるくらいの強さで叩いた後、反対の脚も同様に行う。
→高血圧が気になる人に!ふくらはぎを鍛える「ミルキングトレーニング」を専門家が伝授
【6】貧乏ゆすりも効果的
座りながらできる効果的な運動もある。
「マナー違反とされる『貧乏ゆすり』でも、ふくらはぎが鍛えられ、血管を広げる運動になる。
座りっぱなしの状態でも、少しでも足を動かすことが大切です」(渡辺さん)
【7】手のつぼ「合谷」で血流改善
並行して取り組むべきは、親指と人さし指の間にある「合谷(ごうこく)」のつぼ押しだ。
「ふくらはぎ叩き」と並行して押すことで、血流が促される。
血管を若返らせる運動【まとめ】
■ウオーキング
人と話しながら息が切れないスピードで。1日30分が目安。
■スクワット
机に手をつきながらでもよい。ゆっくり行うとより効果的。
■スロー運動
ラジオ体操などの軽い運動をゆっくり行うと血管がほぐれる。
■ストレッチ
血管に柔軟性が生まれる。肺まわりの筋肉を動かすと心肺機能も高めることができる。
■ふくらはぎ叩き
足の血流が改善され、筋肉が刺激されて鍛えられる。
■片足あげ運動
椅子に座りながら足の筋肉を鍛えられる。ひざの痛みにも効果あり。
■乾布摩擦
摩擦熱で血管が広がる。
■ツボ押し
合谷を刺激すると上半身の血管が拡張し、血圧が下がる。
☆教えてくれた人
秋津壽男さん/秋津医院院長、
渡辺尚彦さん/日本歯科大学病院内科臨床教授、
谷本哲也さん/ナビタスクリニック川崎・内科医、
加藤雅俊さん/薬学研究者
イラスト/おしろゆうこ
※女性セブン2023年6月1日号 ・・ 》
注)記事の原文に、あえて改行など多くした。