中国料理「古月」再訪。
オーナーシェフ、前田克紀氏。
当店は、上野・池之端、山中旅館内「古月」の支店としてオープンしたが、
平成24年4月1日、暖簾分けにより独立。
同氏は日本で数人しかいない高級栄養薬膳師の資格を持ち、
調理師である奥様がフロアの接客やデザートを担当。
店はご夫婦での経営で、中国の伝統的な料理をふまえ、薬膳、食養生といった
心と身体に英気を養う優しい料理を提供してくれる。
(レンタロー) 今日は、大きい、猫(maau)猫(maau)ごっちゃんになりにきただ
(ノブロー) レン、違うで!“熊” だで!
中華好きさんのマニアックな食事会の記録になるだよ。
しかっし、店のマダム(奥様)は美人だな。オラ、中国料理店マダムの三大美人にカウントするで
テーブル・セッティングは、ナプキン、箸置き、箸(縦置き)、コースター。
卓上には、爪楊枝。
着座後にはタオル地のおしぼり(トレー置き)をいただけた。
予約は、80cサイトのサトタカさんが幹事となって手配してくれた。感謝
銘々に用意されたお品書きに目を通すとコース料理は、
お目当ての“熊の掌の煮込み”を含む全7品。
一部を除き、各自分での提供で、サーブ時にも丁寧な説明を受けれる。
まずは、シェフがメインの食材(下処理後)をお披露目してくれた。
蜂蜜を舐める左前足(左手)が一番高いとされる熊の掌。
これは左利きか右利きかも関係するのだろうけれど、今回提供されるのは左前足と左後ろ足。
参加者一同、目が釘づけ!!
特に肉球が気になる♪ 卓を囲む全員が、その感触を確かめたくてうずうず。
同意を得て、各自順番に押してみたところ、ぷにゅっとして、ふくよかな人の指先っぽい。
コブがあるのが左前足(左手)。コブは弾力あって硬めだった。
これらが、どのように調理され、最終的に提供されるのか興味深い。
――1皿目が運ばれてきた。
秋の前菜盛り合わせ
目にも喜ばしい5種盛り。
①クラゲと野菜の甘酢漬け・・・コリコリっとしたクラゲをレンコン、ミョウガと合わせてさっぱりと。
②押し豆腐と菊の和え物(拌干絲)・・・茹でピーナツも食感のアクセントに。品の良い味つけ。
③棒棒鶏(蒸し鶏と青森の赤大根のゴマソース)・・・コクのあるピリ辛ゴマソースで。
④新潟のカリフラワーとホタテ貝の紹興酒漬け・・・紹興酒がほんのり香る。
⑤皮蛋豆腐・・・キュウリなどを加え、仕事をした豆腐の生地は、皮蛋と共に。
味のトーンを変え、食べ手を魅了する繊細な料理の数々に満足度も高かった。
小エビと銀杏の塩麹炒め
ほか、ホワイトアスパラ、さつまいも、キクラゲ。微量に生姜が効いて、はんなりとした品の良い味。
(レンタロー) サツマイモ、銀杏、旬の食材を取り込んでくれているだ。
カメ出し加飯酒 5年 ポット(300ml)@1,836
蓋と取っ手を結ぶ紐、紅線(こうせん)がついている。
料理は、いよいよ熊の掌の煮込み。各自に取り皿がセットされる。
北海道産熊の掌の煮込み 宮廷風
北海道白糠のヒグマ。小さな熊だったらしい。
まずは、左前足(左手)とその爪。
親切なメンバーさんが爪を持ち上げてくれた。thank you!
(ノブロー) 熊の爪は魔除けになるだよ。いただいて帰るだ
次いで、左後ろ足とその爪。
前足(手)と後ろ足(足)で、爪の形状が違うのだ。やっぱり手の爪鋭い。
説明によると、
基本的な煮込みは同じらしいが、足のほうがクセが強いため香辛料を多く使い
蜜煮のタレを熊の煮汁に合わせ、前足(手)と後ろ足では、味の濃さ等を調整しているらしい。
脂肪の多いゼラチン質のたっぷりの煮込み肉は、とろ~っと柔らかく、ジビエらしく野趣溢れる味わい。
こってりしているので、6名ぐらいで、取り分けて正解。
タレは冷めてくるにしたがいねっとり度を増し、時間をおくと、煮凝りのように固まってくるので、
早目にいただいたほうが無難。
私自身は香辛料を多く使った後ろ足のほうが、食べやすかった。
(ノブロー) 熊掌(熊の掌)は、“満漢全席”でも登場する珍味だで。
(レンタロー) 高タンパクでコラーゲンも豊富だど。
余った熊肉で作ったという小さなパイもサーブ。細やかな仕事が嬉しい。
そして、ナイスタイミング!
さっくりとしたパイに添えられているクレソンが、口をさっぱりとさせてくれ
味覚のスイッチが上手に切り替わった。
季節の養生スープ(杏仁、豚肉、山芋、広東白菜)
(ノブロー) 杏仁は咳止めの効能が期待できるだ。
ザク切りの具は、スープとともにセットされたピリ辛のタレにつけて、ごっちゃんになるだよ。
味にバリエーションがでるな。さすがだで。
豚肉の脂身もとろんとろん。
具材の旨みがスープに入り、味に嫌味がない。
養生スープというだけあって、自然な味わいだ。ミルキーで美味い。
サーモンの衣揚げ 変り甘酢ソース
木彫りの熊が鮭をくわえている置物は北海道土産で知られている。
ヒグマの好物は鮭か……。
そうした関連性からのプレゼンであるかは定かではないが
ノルウェーサーモンと信州サーモンの食べ比べだ。
付け合わせの野菜は、マイタケなどのキノコ。
油っこさのない薄い衣は、ぱりっと軽く、甘酢ソースも主張しすぎず、
素材の味をダイレクトに楽しめる。
四川マーラー豆腐と白ご飯
スパイスミルで山椒がセット。
豆腐は変わらず、しっかりとした木綿タイプ。表面にも山椒が確認できる。
白飯にのせていただこう。
自身の体調によるものか、調味の加減が異なるのか、今回の麻婆豆腐は
“苦”が1歩前にでた辛さ。以前とイメージが異なった。
デザート
3種類からのチョイス。杏仁豆腐、カメゼリー、タピオカココナッツミルクのお汁粉。
お汁粉をチョイス。
冷たいお汁粉の中には、
小豆や虎豆など様々な豆が沈んでいる。
ほっくりとした旨味が、ココナッツミルクの風味と調和し、一口ごとに心が和らぐ。
物足りなさのない美味しいお汁粉だった。
手作りのお茶菓子も、温もりが伝わるだけでなく、かなりのレベルの高さ。素晴らしい。
手前のグリーンは若桃。
中国茶は、福建省の正山小種(ラプサンスーチョン)
スモーキーフレーバー。いぶした独特な芳香がきついため、好き嫌いが分かれるかも。
さて、落ち着いたところで、シェフが熊の右足を持って来てくれた。
爪はバーナーで焼く前なのでピカピカ。
が、足の裏が凄い。まるで、雪男?!リアル熊足に度肝を抜かれた。
この、もじゃもじゃの毛はピンセットで抜くのだそう。気が遠くなりそうな作業だ。
(レンタロー) 熊人(hung yan)ーー!
オラたちなんかは、ふみつぶされそうな足だで。怖ええーー(汗)。
酒は、卓で加飯酒(ポット)を数本に、ビール、養生酒などを注文した。
(レンタロー) ところで、ノブロー、最後にお知らせがあるだよな。
(ノブロー) んだ。当店でも、おせちを販売してくれるだ。
(ノブロー) 約15品目を予定、2~3名様分で25,000円(配送料、税込)限定30個だそうだ。
経験と知識、確かな技量に裏打ちされた、心温まるアットホームな中国料理店。
ますますの活躍が期待できそうだ。
古月 (コゲツ)
東京都新宿区新宿1-5-5 2F
TEL 03-3341-5204
営業時間/ 11:30~14:00(L.O) 17:30~21:00(L.O)
ティータイム(日曜日のみ)14:30~17:00(L.O.)
定休日 月曜日(毎月1~2日間不定休あり)
※中国料理満足度数は、4.2~5.0