広東料理「聘珍樓」(ヘイチンロウ) 日比谷店。再訪。
3名での利用。予約名を告げ案内を受けたのは、右手奥の突き当りに位置する個室(雪雲)。
テーブル・セッティングは、位置皿、飾り折りナプキン、カトラリーレスト、スプーン、箸(縦置き)、
おしぼり用トレー、グラス。椅子には、白い椅子カバーを使用。
基本、ダイニング側と変わらぬようだが、
円卓には白のクロスが敷かれ、ターンテーブルには、醤油、酢、辣油、爪楊枝、砂糖などがセット。
眺望の良さはもちろん、重厚感がありクラシカルな個室にはゆったりとした応接セットも
備えられ、大切な接待や顔合わせなど、まさに特別な日の会食に相応しい贅沢な空間だ。
さて、会食は現地集合だったので、メンバーが揃ったところで、タオル地のおしぼりが
トング掴みで供され、ドリンクメニューから、エビスビールの中瓶とペリエ(大)を注文した。
今回は、幹事さんが予算等を告げ、献立を組んでもらっている。
それにより、卓上に用意された菜譜は、
聘珍什錦盆(特製前菜の盛り合わせ)
溶岩蒸鮑魚(アワビの溶岩蒸し)
水魚燉排翅(スッポン、フカヒレ入り蒸しスープ)
鴛鴦鮮蝦球(大海老のチリソース、マヨネーズソース)
時蔬和牛肉(国産和牛肉の炒め)
陶板青蓮翅(青ザメの煮込み、濃厚鶏スープとともに)
海鰻糯米飯(やわらか穴子のちまき)
是日点甜品(フルーツのせ杏仁豆腐、エッグタルト) という計8品のコース料理。
なお、料理は、大皿で供されるものと、各人ごとのポーションで供されるものが入り混じった
スタイルで、大皿の場合はお披露目後に店側で取り分けてくれ、
サーブ時には口頭説明も受けられる。
ターンテーブルに、好みで使えるようマスタードと仕切り小皿に
ニンニク入り唐辛子と蝦醤がセットされた。
聘珍什錦盆(特製前菜の盛り合わせ)
①吉切鮫のフカヒレ、大分県産のマダイの刺身、鱧の湯引き、山椒ソースがけ
②スイカの酢漬け、③叉焼、④フォアグラのキャラメリゼ
肉々しくジューシーな蜜汁叉焼も美味いが、この前菜でのトップスターはなんといっても
フカヒレの刺身である。コリコリとした食感が素晴らしく、飲みこむのが勿体ないとさえ感じた。
次の料理は円卓脇に大きなワゴンを寄せ、仕上げのデモンストレーション。
湯気がもくもく立ち上っていますが、これは焼いた溶岩を入れ、そこにジャスミン茶をかけて
蒸籠を置き蒸しているのだ。
外すと、あっという間に溶岩がジャスミン茶を吸い込んだよう。
趣向を凝らしたプレゼンは、食べ手の心を魅了し食欲を焚き付けてくれる。
溶岩蒸鮑魚(アワビの溶岩蒸し)
別容器にアワビの肝ソースがセット。
スプーンで探ると、中にはエシャレットを微塵切りにし炒めたものが入っており、
ソース自体は苦味控えめでほんのりとした甘さのある、まろやかテイスト。
アワビに同行した野菜は、サツマイモ、レンコン、マッシュルーム、ベビーコーン、
オクラなどで、固すぎず、柔らかすぎずベストな歯触りで素材の持ち味が活きている。
厨房である程度の仕事がなされているのだろう。
柔らかいアワビはそのままでも十分だけれど、肝ソースにつけて味わうと、
その美味しさに拍車がかかり、思わず笑みがこぼれた。
水魚燉排翅(スッポン、フカヒレ入り蒸しスープ)
蓋は目前で外される。
具材は、フカヒレ、スッポンのほか
金華火腿、貝柱、可愛らしいマツタケも入り、豪華絢爛!
贅を尽くしたスープは、スッポンの味がよく出ていて濃厚、そこにマツタケの風味が
折り重なり、微かに生姜も効いて滋味深い。
鴛鴦鮮蝦球(大海老のチリソース、マヨネーズソース)
ぷりっとした大海老を2種のソースで提供。ナイフとフォークもセットされた。
マヨネーズソースでコーティングされた海老の上にはクラッシュしたカシューナッツが
散らされ、パイナップルの上に置かれたライムはこちらに活用することを推奨。
使ってみると味に清涼感がでて好相性。正解である。
ネクタリンを合間に、次にチリソースをいただくと、トマトの味も濃く王道的な味わいだった。
時蔬和牛肉(国産和牛肉の炒め)
付け合わせは、大黒しめじ、甘長唐辛子、ゴールドラッシュ。
宮城県産のサーロインをオイスターソースを主として調味。
和牛の底力が発揮され、肉は柔らかく噛みしめると旨味がじゅわじゅわ溢れでてくる。
(ノブロー) ゴールドラッシュは甘みと旨みの強い生でも食べれるトウモロコシだで。
ここでは軽く焼き目をつけてあるな。
待望のフカヒレの煮込み。
サイズは500g弱とのこと。
予め仕事のなされたフカヒレはターンテーブル上にお披露目後、再びワゴンが寄せられ
仕上げのデモンストレーションに移る。
じゅー!熱された大きな土鍋に黄ニラとモヤシを入れ、スタッフさんが手早く炒める。
これを各人の皿へ盛りつけ、
空になった土鍋に白湯が入り
いよいよフカヒレが投入!
ぐつぐつぐつ。通常はこれで十分だけれど、
追い白湯!
白湯の旨味をこれでもかと吸い込ませたフカヒレが
ついにクライマックスをむかえ、各皿へ取り分けられる。
これはまだ完成前。
(ノブロー) 最後に茨城の鹿熊牧場の生ハムを2切れのせて出来上がりだ。
普通は金華火腿らしいけんど、今日はひねりを入れてくれてるな。
陶板青蓮翅(青ザメの煮込み、濃厚鶏スープとともに)
五感を刺激するエキサイティングなプレゼンに場も大いに盛り上がり、いざ実食。
フカヒレの繊維1本1本が太くて立派。
私が普段いただくフカヒレとはまた次元が違う上等品ですが、
濃厚スープは水溶き片栗粉効果でとろんとした粘度が高い。
個人的にはもう少しさらりとした方が好みだなあ。
また、生ハムは味も良く、その塩気が絶妙にマッチしていた。
フカヒレに遅れること少し。おしぼりの差し替えと共に、蒸したて、ふかふかの花巻きが登場。
皿に残った濃厚スープをつけ、余すことのないように働くこと。それがこの花巻きに
課せられた使命だが、単体で食してもほんのりとした甘みがあり美味かった。
海鰻糯米飯(やわらか穴子のちまき)
穴子寿司かと見誤るようなビジュアル。
煮切りタレのように見えるのは山椒を使ったソースとのこと。
ひと口サイズの粽で、味は濃いめですが悪くはありません。
発想は面白いと思うけれど、やはり蓮の葉に包み蒸してもらいたかった。
葉を開けるときのあのワクワク感と香りが恋しい。
私が古いんだろうなあ。生意気を申してすみません。
是日点甜品(フルーツのせ杏仁豆腐、エッグタルト)
デザート時には再びおしぼりの差し替えあり。
杏仁豆腐にのったフルーツは、アメリカンチェリー、スイカ、ソルダム、メロン、マンゴー。
小さなエッグタルトは外側のパイ生地がほろほろで、滑らかなフィリングは甘さが優しい。
食後のお茶は台湾の高山茶。
厳選された食材を使い丁寧に調理されたコース料理。
品数は8品ですが、その内容は1品ずつに濃く、ご馳走尽くしでありました。
当店は、一般のダイニングでも落ち着いた雰囲気で、ゆったりと食事が楽しめるので、
オーソドックスな広東料理を求めたいときにはオススメ。老舗の安心感のあるお店です。
聘珍樓(ヘイチンロウ) 日比谷店
東京都千代田区内幸町2-2-2 富国生命ビル 28F
TEL 03-3508-0555
営業時間/月~金 11:00~15:00 17:00~22:00(L.O.21:00)
土 11:00~22:00(L.O.21:00)
定休日 日・祝
※お店の方々をはじめ、ご尽力頂いた幹事さんに感謝であります。
中国料理満足度数は、当然別格