『桃と太郎』さんは、田舎者であっても常に紳士でありたいと思う。したがって、鬼退治に出かける前の腹ごしらえも、帝国ホテルのランチタイムを利用するのであります。(何ということはない、はとバス観光ツアーのセットメニューということなのですが…^^;)腰の刀をナイフとフォークに持ち替えたとしても、イタリアンだっておフランスだって見事に切り裁いていくのであります。
さて、お決まりの食前酒を選ぶ段になって、『桃と太郎』さんの手はピタリと止まってしまいました。グラスビールが300mlで900円…エビスビールであります。おいおい、『桃と太郎』さんがいつも飲んでいる、いや、先ほど東京駅近くのスタンドで買った「スーパードライ」だって350mlひと缶250円である。これは、さぞかし美味しいビールなのであろう…な訳がない。幾らなんでもボッタクリというものである。グラスワインが一杯1,000円であるから、魚料理には白ワインなどというルールは無視することにする。市販のビールで900円もボッタクルお店の1,000円のワインなんて、お里が知れていると考える『桃と太郎』さんなのであります。これには「サービス」という名のスパイスが効いているからに違いない。物の値段と言うものは、提供される場所によって、こんなにも違うものなのかと改めて考えるのでありました。鬼退治のための路銀は、お婆さん(オッカー)から貰っているので安心、安心。平然とした顔でビールを頼むものの、飲んでみれば普通の「エビスビール」でありましたとさ^^;
この辺から『桃と太郎』さんの不満が募り始めます。前菜に魚のすり身のムースでありましょうか…しかし、ナイフとフォークの順番が違うような気がする。マナーからすれば外側から位の常識は心得ているつもりでありますが、前菜とメインを食べるナイフとフォークの大きさが逆転しているような気がしてならないのであります。そこは天下の「帝国ホテル」でありますから、田舎者の『桃と太郎』さんの思い違いに相違ない。「料理は美味しく食べるのが一番のマナー」と今は亡き寮食の栄養士さんに教えられた身勝手マナーで、使い易い刀の方を右手に取って食事をする『桃と太郎』さんであります。スープ無し、二皿だけの料理とデザートだから何も気取っている必要もないのでありますが、仕上げのコーヒーが出てきて驚きました。カップの取っ手が右側に位置し、ソーサーに乗せられたスプーンは向こう側に置いてある…さすが「帝国ホテル」であります。酒を飲んでいる『桃と太郎』さんは、コーヒーもブラックで召し上がるに違いないと予め取っ手を右側に置いてくれたに違いない。(な訳ないでしょう。私は帝国ホテルの常連さんでも無いし、スプーンの位置は、まったく逆なのだから…。)
この疑問を誰かにぶつけたい。しかし、弱っちい『桃と太郎』さんは、マナーに自信がないから「大帝国ホテル」のオシャレな便器に向かって、「田舎もんを馬鹿にするなぁ~!」と叫んだのでありましたとさ。こんな弱っちい『桃と太郎』さんが、果たして鬼退治など出来るのでありましょうか…つづく。
注)鬼退治から帰って来て、コーヒーの出し方について調べてみました。カップの取っ手を左側に、スプーンを手前側に置くスタイルは「帝国ホテル」が始めたスタイルであるとの書き込みもありますが定かではありません。ホテルによっては、スプーンをソーサー右に置くスタイルもあるとか…常連のお客様がブラックを所望する場合は、予めの心遣いとして取っ手を右側にする場合もあるようです。料理を美味しく頂くための心遣いであるならば、それはそれで良いのでありますけれど…。