雨音を聞きながら 雑感

　台風接近の夜。風雨が強くなってきた。ベランダの植木の一部を避難させた。でも、こんな夜は嫌いではない。本当は一人でなくて、誰かと雨音を聞きながらとり止めの無い話しをして夜を明かしたいと思う。それは若い日のことかな。

　今夜は身体のどこも痛くない。腰が痛い、膝が痛い、腕が痛い、手首が痛い、そんな痛いが全部なくなる日は最高に幸せだ。心も自由に動きそうだ。週に1回くらい鍼灸整体師さんのマッサージを50分受けてくる。圧迫骨折の後遺症か重い荷物を持った日とか、長時間パソコンに向った日とか、立ちっぱなしのときのあとは、急に歩くと痛みが出る。今の生活ではそんな贅沢は出来ないのだが、お金があっても動けないようでは・・・と今の身体のケアを大事にしている。この身体の開放感はお金にはかえられない。

　あれはもう15年位前のことだろうか。離婚してまもなく、全てに気力を失っていたとき、小淵沢の友達が自宅に招いてくれた。大きなログハウスのような家だったが、この家を建ててすぐ旦那さんの会社が不渡手形に遭い倒産したという。4000万という借金を抱えて返済中だという。彼女だけが一人住んでいて、ご主人は仕事で飛び歩いているという。そう、私に｢実のなる木を育ててごらん」と言ったひとだ。その広い空間で過ごす日々は心を満たしてくれた。彼女の作る料理は美味しかった。経済的には苦しいときでも、彼女は最高のもてなしをしてくれた。そうだ、あのときも屋根を打つ雨音を聞いていた。

　「フルちゃんに一番合う仕事はね、主婦業だよ」そんな彼女の言葉。雨音を聞きながら思い出した。そうだよねぇ・・・・。Kちゃん、ありがとう。

　

　　

感想戦

　朝6時に室内の温度計が27度でした。湿度72％。マンションということもあるのでしょうが、蒸し暑い一日の始まりでした。今日は土日休んだ分しなくては仕事がたくさんありました。それでも午前中は掃除から始まりました。物置化している仏壇のある部屋（仏壇と神さまに毎日謝ってします）整理整頓からでした。出てくるのはコピー用紙ばかり・・・。

　夕方TVがついていると、昨夜は都議会選挙ですこし静かだった将棋の番組をやっていました。藤井君は「美しい負け方」だったと棋士が話していました。「何でもそうですが、負けの美学があります」と話しておられました。だから強くなるためには「感想戦」は大事だということです。囲碁やオセロ戦でもあるようですね。人生でも｢感想戦」があったら・・・。

　将棋というのは対戦中は「相手」のことしか考えていないというお話でした。｢次はどうなのか、さらにその先は・・・」と向かい合っている相手のことしか考えていないということです。人生も｢将棋」ようだったら・・・。

　ここのところパソコンを開けると「樹木葬」の宣伝がどんどん出てきます。「しわ」だの「ほっこりお腹」などはいいのですが、毎回メモリアルパークなどの宣伝です。たしかに検索をかけたのは私なのですが・・・。「散骨」がいいと思っていました。「全部海にまいて、何も残らないのがいい」と。お墓を参ってくれる人もいないのだからそれがいいのだと。でも、ある時思いました。撒いてくれる方はつらいのではないだろうかと。せめて、海でなく形あるお墓に向って祈りたいのではないだろうかと。その人がお墓参りをしてくださるなら、海に行くよりは木の元で祈りたいのでは・・・・。少し対戦相手のことを考えないといけないのかな。

　

ゆだねる

　都議会議員選挙の結果が出てきています。そして、藤井4段が29連勝で破れました。日曜日の夜は選挙速報が続いています。暑い1日でした。

　今日はミサに出かけ、午後からはブラインドサッカーの取材に横浜へ出かけました。ミサは人が背負わなくてはならない十字架というのは、さまざまな苦難も含まれるというお話で、それをそのまま背負って神とともに歩みなさい　というお話でした。そんなお話の後のブラインドサッカー。ブラインドサッカーは、全盲の人たちの5人制のサッカーです。「シャカシャカ」と音の出るボールを使います。もちろんゴールの後ろに案内役がいて、ゴールの位置を伝えます。ゴールキーパーは見える人が務めます。サイドラインには腰の高さくらいのフェンスがありますが、そこにドーンとプレイヤーがぶつかります。声を掛け合いながら試合を進めていきます。ルールは知っていましたが、実際に見てみるとすごい迫力です。体がもろにぶつかりいあいます。

　情報の8割は視角くで得ているといいます。私も網膜はく離のときは片目でしかものが見えず情報がなくなるという怖さを感じました。人は生きていく中で、さまざまな苦難を抱えます。それでも、その人生を何かにゆだねることができたら・・・。一緒の歩んでくれる人がいたら・・・。｢ゆだねる」ことで受け入れられることもあるのではないでしょうか。心が安らぐことができたら、ほっと肩の荷を降ろしてゆったりと生きていけるのではないでしょうか。

　夏のような空の下、ブラインドサッカーの会場は、にぎやかで笑顔がいっぱいでした。

　

　

自分のための掃除

　今日から7月。しなくてはならない編集の仕事がある。なにか今日は家の中をきれいにしたかった。使い勝手の悪い台所の棚を整理したかった。引っ越してから高いところの棚はそのままだった。整理しよう　などと思いつかなかった。

　何十年と働いてきた私には、掃除は休みの日に義務的にしていた。ただ、部屋の片付けと掃除機をかけて、簡単な拭き掃除だけが精一杯だった。細かいところの掃除は連休とかお盆休みとかにしていた。どうもその習慣が残っていて、掃除は土曜日とか日曜日にすることが多い。今日は、台所の棚やらを整理整頓しようと朝から始めた。なにかうきうきと楽しい。きれいになると心が落ち着く。こんな時間はなかったなぁ　と思う。いつも、いつもやらなくては、やらなくては　と掃除もしていた。

　レンジ棚の引き出しもきれいになった。レンジもピカピカ。冷蔵庫もピカピカ。うれしかった。いままで出来ずにいた私のための掃除。

　なんであんなにあくせくと働いたのだろうか。結婚しているときはもちろん、一人のときもそんなに働かなくてもよかったのに・・・。何かから開放された。そうしたら人のやさしさや善意がわかるようになった気がする。だれもそばにいないと　思っていた。今日一日、私の掃除をそばで見ていてくれた人がいるような気がした。