ロッコさんの散歩

街を歩く。近くの山に登る。店に入って安くておいしいものを食べる。掘り出し物を見つける。それが散歩の醍醐味。

端正さと猥雑さ

2011年07月05日 | 映画

  藤沢周平原作の映画「小川の辺」を観る。脱藩した武士の討手として、妹の夫を討つことになる剣の使い手を端正な佇まいで東山紀之が演じている。妹を演じている菊池凛子は気の強い女性なのはわかるが、時代劇のイメージにはあきらかにそぐわない。それでもあえて起用したミスマッチには何か意図があるのかな。

  藤沢作品ではこの討手に絡む話が多いが、史実として江戸時代には実際にあったのだろうか。なまじ剣の道に精進すると腕を見込まれ、個人的に何の恨みもない相手を斬る羽目になるとは、こんな理不尽なことはない。いっそ、勘定方にでもなって、ソロバンをふるっていた方がずっと楽だったのではないかと思えるが、上意に逆らえない武士の道とはそういうものだったのだろうか。目的を果たすための道中の風景、人の営みなどが静謐に描かれ、それだけにその理不尽さが際立つ。

  この端正、静謐な映画の対極にあるのが「ハングオーバー!!史上最悪の二日酔い、国境を超える」。ラスベガスが舞台だった前作に続いて今回はバンコックが舞台になり、猥雑さが加わりさらにハチャメチャになっているが、結末がそれなりにハッピーエンドなのは前作と同じ。理不尽な人斬り映画で緊張した心の緩和には最適かもしれない。

  

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