神戸市立博物館で開催中のボストン美術館浮世絵名品展「北斎」を鑑賞。有名な富嶽三十六景も出品されていてなかなかの人気で、入館するのに30分も待たされた。
大胆な構図、繊細な筆致が素晴らしいがよく考えてみるとこれらは版画なのだから、北斎は絵師であり、これを彫った彫師、摺った摺師が別に存在する。特に原画のサイズからすると繊細な線を彫る職人芸に驚くが、北斎以外はみな無名のまま、まさに縁の下の力持ちが何人もいたことになる。ネットで見ると、今でも新たに彫って摺ったものを販売しているのでその技術は現代でも受け継がれているようだ。絵ならオリジナルは1枚しかないが版画なら手軽に手に入れて楽しめるのが「芸術作品」としてお高く気取らず、庶民でも楽しめる気がしてうれしい。
また明治時代の初期にこれらの作品の価値を見いだし、収集した欧米のコレクターの審美眼もなかなかのものだと改めて思うのだった。