山を舞台にした映画ということで「春を背負って」を観る。笹本稜平の原作は奥秩父が舞台らしいが映画は立山を舞台にし、山小屋「菫小屋」としては大汝山にある大汝休憩所の建物を利用しているので山の眺望という点では期待できそうだ。
立山で菫小屋を営む長嶺勇夫の一人息子亨は東京の金融機関で毎日億という金を動かす敏腕トレーダー。ある日母から父勇夫の急死の連絡があり故郷、芦峅という設定か、に帰る。父勇夫は雪庇を踏み抜いて滑落した登山者を助けようとして亡くなったのだった。葬式を終え、久しぶりに父の愛した菫小屋に登る亨に母はその経営を雷鳥小屋の主に任せるつもりだと告げる。それを聞いた亨は自分が会社を辞めて後を継ぐと宣言。
慣れない仕事に失敗はつきもの。そんな亨を父のもとで働いていた愛ちゃんと父の友人ゴローさんがバックアップ。さらには富山県山岳警備隊や他の山小屋の主人たち、同級生たちも応援。最後は愛ちゃんと結ばれる予感を残してのハッピーエンド。
架空の小屋が舞台になっているのだが、語られる話は実際の立山周辺で起きていることなのでいろいろ突っ込みたくなるところが満載。
〇室堂から大汝に行くのにあんな崖はあったかな
〇槍と富士山が何度も出てくるがあんなに大きく鮮明に見えるかな
〇大雨でツェルトを引っ被るなら頭から被らないと
〇滑落した登山者を助けるのにあんなやり方ってあるのかな
〇脳梗塞で倒れたゴローさんを助けるのにヘリを呼ばないでわざわざ動かして背負わなくても
〇ゴローさんの不思議なイントネーションは関西弁のつもり?
〇ラストシーンで亨と愛ちゃんが山のなかで手をつないでくるくる回るシーンは唐突でなんだか気恥ずかしい
などなど。あくまで映画の中の架空の話と思ってはみてもいろいろ気になって落ち着かなかったのだった。「春を背負って」というより「ゴローさんを背負って」だったじゃないの。