以前から山形県の川西町の図書館の一角にある遅筆堂文庫に行ってみたかった。ここでは、川西町になる前の小松町出身だったことが縁で、作家の井上ひさしが生前から寄付していた蔵書をまとめて保管、展示している。主宰していた劇団こまつ座もこの町にあった芝居小屋の名前に由来している。
山形からは米沢を経由して米坂線に乗って最寄り駅の羽前小松に向かう。この辺りは米どころであるらしく、今の季節は雪に被われた広大な水田が広がり真っ白の光景。列車からの雪景色では飯山線や大糸線もすばらしいがどちらも比較的人家が近い里の風景だが、ここは人家が遠くただただ広い。
眺めを楽しむうちに羽前小松駅に到着
マンホールはシンプル
井上ひさしの出身小学校やら小松座跡なども観て図書館へ。劇場も併設した施設はなかなか立派なものだ
遅筆堂文庫では作者がお出迎え
独特のタイポグラフィーで書かれたご挨拶
内部は撮影できないが、作品を生み出すための資料を中心に幅広い蔵書が当時の付箋、書き込みなどもそのまま並べられ、館内では自由に読むことができる。没後こういったものが散逸せずにまとめられていることは本人、家族、ファン、地元の人、それぞれに意味がある気がする。さらには芝居の公演、講演会なども定期的に開かれていて文化的な活動もされているようだ。
雪深く不便なところなので今の時期は訪れる人も少なそうだが、町として維持、管理、活用を続けられるように願うのみ。
書かれたものには共感するところも多いし人間的にも惹かれるのだが、WIKIで書かれた情報を信じるなら、家庭的にはかなり問題があった人物でもあったようだ。この雪深い田舎町で育ち、のちには一時孤児院で育った経歴などを含めつい私的なことにも関心があっての今回の訪問となった。
帰途に着くが途中から雪が激しく降ってくる。それもかなりのボタン雪。雪のないところに住む者としてはこの雪の大きさにびっくり、飽かずに眺めてしまう
石川啄木も井上ひさしも人間的に問題を抱えた人物であったようだが、人の記憶に残るすばらしいものを残している。人はそれぞれの成した仕事だけで評価されればいいのかもしれないが、何の実績もない国会議員の最近の品行の悪さにはあきれるばかり。