別の映画を観るつもりだったが時間を間違えてしまったので予定外の映画を観てしまった。
結婚45周年のお祝いパーティーを週末に控えた夫婦。その夫の方に、妻と結婚する前に付き合っていて山の事故で亡くなったかっての恋人が氷河の下から当時そのままの姿で見つかったという内容の手紙が届く。
昔に引き戻された夫はそのころの写真などを探して思い出に浸り、妻はそんな夫の思い出話を聞きたくないといいつつ問い詰めたり、夫の留守中に写真を見たりして精神的に落ち込んでいく。とりあえず週末のパーティーでは夫が感動的なスピーチをして一緒にダンスなどをしてとりつくろうのだが妻が最後に見せる行動と表情がこの先の不安を掻き立てる。ターナーの描く風景画のように美しいイギリスの田舎町が舞台だが、描かれる夫婦関係は微妙でハッピーエンドを暗示したものではない。さざなみが大波になりそうな気配。
45年も一緒に暮らしているんだからそんな昔のこと、「そんなこともあったね」で済めばいいのだがそうはいかないものらしい。理知的な妻の顔が嫉妬で暗く醜くなっていくが、一方の夫の方はなんだか能天気そうなところが女性の共感を呼ぶのか、観客は圧倒的に中高年の女性で占められ満席状態だった。