内閣情報調査室の内幕に迫るちょっと硬派の作品「新聞記者」。
大学の新設を巡る隠された真実を追う新聞記者と情報調査室に出向している外務官僚の2人の協力で驚愕の事実が暴かれる話だが背景としてメディアの内幕、官僚の良心の葛藤などが描かれる。
大学新設というとこの何年かの政府と官僚の実際の出来事を思わせるが、他にも、公文書隠ぺい、改ざんなども散りばめられているのは、原作が菅官房長官に嫌われたあの東京新聞の女性記者なのでなるほどと思わされる。
内調のキャリア官僚が冷徹に言い放つ「日本の民主主義は形だけでいいんだ」という言葉が政治家や官僚の本音だとは思いたくはないが、一連の政府や官僚のやり方からすると案外本音なのではと思えてしまうところが怖い。
外務官僚に扮する松坂桃李が男前なのに、非常にシリアスな演技をしているのが意外だったというと失礼か、ただこの作品に出たことで今後の仕事に影響が出なければいいのだが。
深刻で重い内容の作品を観終わって三宮の地下道を歩いていると最近設置された街角ピアノからショパンの流麗な響きが聞こえてきた。ちょっと見にはサラリーマン風の男性だったが譜面も見ずに弾いていたのでプロの人なのだろうか。かっこいいなぁ。せめて私も「ネコ踏んじゃった」でもいいので全曲弾ければと思うのだった。