先日の「宗方姉妹」に続いて小津安二郎監督の映画、「小早川家の秋」を観る。
1961年製作で関西を舞台にして当時の宝塚映画製作所が作った異例の作品。俳優陣もいつもの松竹の俳優以外の東宝の俳優が多く出ているが演出は小津色満載。カラーなのでその独特の書き割りのような画面構成や監督好みの赤色が効果的に用いられている。原節子、新珠美千代、司葉子の三大美人競演もため息のでる美しさ。
独特の小津ワールドには魅せられているのだが、ただこれでもかというくらいの相似形のシンクロの動きを見せられると少しばかり食傷気味という気もしてくる。
監督の作品では「東京物語」や「お早う」といった作品が好きなのだが、最初は独特の演出方法に気づかず、無意識で観ていた気がする。ところが独特の演出に気づくとその部分が気になって本来のストーリーに没入できなくなってくる。何も意識せず単純にストーリーを楽しんでいたころが逆に新鮮で懐かしい気もしてくるのだった。