ずいぶん長い間山登りを楽しんできたがその間、クマに遭遇したのは2回だけだ。一度目は遠目に斜面を下りて行くのを見た。二度目はかなり近い距離で出遭ってしまった。といっても目は合わなかったし位置関係からもクマの方は私の存在に気づいていなかったと思う。それでも心臓はバクバクだった。もし目が合っていたらさらに怖かったと思う。
日本では北海道にヒグマ、九州を除く四国を含めた本州の山にはツキノワグマが生息している。それは知っていたが出遭うまではあまり意識したこともなくクマ鈴も一応持っていっていたがあまり使ったことはなかった。
クマに関する本なども読んでみた。基本的には臆病な動物なので出遭っても向こうから逃げていくことが多いとある。しかし里に出てきたクマが突然人を襲う事件は後をたたない。むしろ山中での事故の方が少ないことからするとクマも自分のテリトリーでは気持ちに余裕があって悠然としていられるが、里では勝手が違うのでテンパってしまうのかもしれない。
実際に山の中での事故を防ぐためにはやはり刺激しないことがいいのはわかる。しかしクマだって優しいのもいれば獰猛なのもいるだろうし、子熊連れの母親だっている。もし向こうから立ち上がって威嚇し始めたらこちらがテンパってしまって冷静に対処できる自信はない。走るものを追う習性があるので、静かに目を見て後ずさりして逃げろ、背を向けて走ってはいけないとわかっていても果たしてできるものだろうか。
クマの急所は鼻だという。実際持っていた鉈で鼻をぶんなぐって退散させたとか、拳法の達人が目に指を入れて退散させたとかの武勇伝を聞いたこともあるが、そんなことはとても無理だ。
先日テレビでヒグマと出遭ったときの知床の漁師の映像を観たが、かなりの至近距離でもにらみつけ声を出して追い払っていた。しいて言えば眼力が武器ということだが私にそんな眼力があるとは思えない。
人通りの多い登山道には出てこないという人もいるがとんでもない。3000M近くの稜線の登山道の真ん中に堂々とフンがしてあるのを何度も見ている。意外に人の近くに潜んでいるに違いない。あえて出遭おうとしても出遭えないが、出遭うときには出遭ってしまうのだ。なんだか今のコロナウィルスに似ている気がする。
せいぜい突然出遭わないようにクマ鈴や声で知らせてやるぐらいしか方法はなさそうだ。ただこのクマ鈴、山中だけでなくバスのなかとか小屋のなかとかでも外さず鳴らしている人がいる。バスとか小屋にはクマみたいな人は時々いるがクマはいないのだ。
森や山の中で遭遇してうれしいのは熊猫かくまモンだけなのだ
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