1970年前後、東大の安田講堂の攻防など、学生運動が騒然としていた時代の実話が元になっている。全国で広がった学生運動は当初は学費値上げ反対、学園民主化などが目的だったが、その後一部の学生は革命を叫ぶ過激派となり、この後世間を震撼とさせる事件が続発していくことになる。そんな頃のお話。
朝日ジャーナルの若い記者と学生運動家は、一方はスクープ狙い、他方は運動家としての功名をあげるために交流を深めていき、お互いが利用し利用される関係になる。結果、学生は武器を奪うために自衛官の殺害に関与し逮捕され、記者も幇助の疑いで逮捕、新聞社を解雇されてしまう。記者はその後、映画評論などフリーの著述家になっていくが、映画の最後、飲み屋で昔の知り合いに遇って、思わず涙を流してしまうシーンが印象的。その涙にはどんな思いが込められていたのだろうか。
学生運動の盛り上がりは短く、潮が引くように収束していき、当時学生運動に関わった多くの若者は就職し社会に順応していった。しかしなかにはずっとこの時代を引きずって生きている人もいる。そんな人には感慨深い作品だと思う。
今から40年ほど前の話だが、それにしても世の中ずいぶん変わったものだ。今の学生に「学生運動」は存在せず、インターネットも携帯電話もなく、男も女も黒い髪の毛で、喫煙にも寛容な時代だった。自分自身はほとんど変わったという実感がない、というより進歩していないなぁ。
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