のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

母の恋文/谷川俊太郎編

2008年04月12日 10時12分10秒 | 読書歴
28.母の恋文―谷川徹三・多喜子の手紙
■内容
 高名な哲学者だった父・谷川徹三。そのかげに隠れるように
 一生を終えた母・多喜子。両親の遺品のなかに、若い頃
 二人が交わした537通もの恋文が残されていた。京大生だった
 徹三が多喜子と出会ったのは、大正10(1921)年、恋う
 思いを朝な夕なに手紙にしたため、二人は結婚した。
 長い時間が流れたいま、父母の愛の往復書簡を、詩人で息子の
 谷川俊太郎が、愛惜の念をこめて世に送る。

■感想 ☆☆☆*
 手紙は書くのももらうのも大好きだ。
 最近はペンをとる回数もめっきり減ってしまったけれど
 レターセットや葉書はこまめに買い、かばんに入れておくように
 している。
 けれど、「恋文」というものは書いたことがない。これからも
 書くことはないだろうと思う。勿論、好きな人に手紙は書く。
 けれど、あくまでも「近況報告」のような手紙であって、それは
 決して「恋文」ではない。「好き」とか「愛している」とか
 「お慕い申し上げます」といった言葉は、たとえメールでも使えない。

 だからこそ、この往復書簡集を楽しめたのだと思う。
 あまりにも自分とは違う世界の出来事で。
 ふたりは出逢ってすぐに、熱烈に恋に落ちる。熱烈に愛を
 語り合う。少し離れたところにすんでいたふたりは、会えない分
 頻繁にペンをとり、言葉をかわしあう。ふたりの手紙の消印日付から
 ふたりが2~3日ごとに手紙を往復させていたことが分かる。
 朝に夕にペンをとり、思いを伝え合うふたりが微笑ましい。

 けれど、何より面白いのは、政治家の娘と京大生(哲学科)という
 当時において「インテリ」と呼ばれるような階級にいたふたりが
 何に興味を持ち、何をし、何を読み、何を考えて過ごしていたかが
 分かる記録になっているところだろうと思う。そして、「恋愛」に
 ついても、哲学科らしく、実に観念的に、小難しく理屈をこねて
 いるところだ。私は色々なことを「考えず」に日常を過ごしている
 からこそ、考えて考えて考えて、その考えを言葉にするふたりの姿が
 新鮮だった。

 巻末には妻になった多喜子から徹三への「30年後の手紙」も
 記されている。あんなに愛し合って、熱烈に恋文を交し合った
 二人でも、夫婦になると色々なことがあることが分かる手紙で
 なんとなく「あぁ、やっぱり」と思った。けれど、それでも
 多喜子は徹三を追い求めていて、30年前と変わらぬ愛情を
 注いでいて、その姿が実にいとしかった。
 そして、その手紙の後、本文のラストに、ふたりの晩年の写真が
 掲載されている。ぴったりと寄り添いあい、濁りのない笑顔を
 向けているふたりの姿に、夫婦の絆は、ふたりで過ごした時間が
 築き上げるのだとしみじみと思った。

8年目を実感するとき

2008年04月12日 09時37分10秒 | 日常生活
この時期、新人研修でばたばたしているワタクシは
社内のいろんなところで
「今年の新人はどう?」
と聞かれます。

その度に回答に困ってしまうのです。
「今年の新人はカーリング型」とどこやらが発表してましたけれど
実際に毎日、顔をあわせていると、それぞれのいろんな面が見えて
かえって一言で「これ!」と言い表せません。
毎日、毎日、むきー!!と怒ったり
「ばかー!!」と叫んだりしていますが
それ以上に「すてき☆」とか「お!やるね!!」とか
「う。なんて優しいんだ。えらいねぇ・・・。」というふうに
感激もしていて、「今年の新人、どう?」と聞かれると、結局は
「かわいいですよ。無邪気で。」
と答えています。

あんなでっかい子達を「かわいい」と思ってしまうこの季節は
自分の年が確実に重ねられていることを実感する季節でもあります。

「なんでしょうね?
 同期にいたら、軽くいらっとくるだろうなぁ、っていう子も
 ほほえましいんですよねー。むしろ、余計にかまいたくなるっていうか。」
と先輩に話すと、しみじみと
「のりぞうくんも、そういう年代ってことだよ。
 ウェルカム!30’s(サーティ)!」
と歓迎を受けました。

さて、ようやく2週間目が終了。
今年の新人研修は、例年以上にバタバタ過ごしています。
現在、82名の新人のうち、70名ほどの顔と名前が
一致するようになりました。
がんばれ!自分の記憶力!!

・・・つくづく、自分の年齢を実感させられる季節です。

顔色七変化

2008年04月12日 09時30分40秒 | 日常生活
東京から無事に戻ってきたのりぞうに
隣の部署の課長が近づいてきて、ぺこりと頭を下げました。

「のりぞうくん。本当にごめん。
 俺らが不謹慎なことを願ったばかりに。

本当にそうですよ!!
ちゃんと謝ってください!!
空の上で、ワタクシがどんなに怖い思いをしたことか。

「うん。本当にすまんかった!
 ニュース見てねー、思ったよりも数倍、おおごとやん!って
 慌てたよー。無事に帰ってこれてよかったね。」

はい。結局は、天候以外、特に大きな問題もなく
新人も何も起こさず、つつがなく戻ってこれましたから。
終わりよければ、すべてよし!ですよね。

と、のりぞうが笑顔で答えると
課長の顔色が変わりました。

「え?他には何の問題もなかったと?」

はい。他には特に大きな問題は。

「いやいや、そんなことはなかろう。
 何の問題もなし?本当に?おもしろいことも?」

ええ。うちの新人が名札を落として3000人の前で
呼び出されたことぐらい、ですかね。

「ち。つまらん。
 いかんよ。教育がなっとらん。」

・・・・さっきまで見せていた反省の色はいずこへ?