45.続・足長おじさん/ジーン・ウェブスター
■ストーリ
あしながおじさんの続編。前作の主人公ジュディは結婚後、孤児院
「ジョン・グリア・ホーム」の改革権を夫からプレゼントされ、
実際の改革を行う院長として大学時代の親友サリー・マクブライドを
指名する。裕福な家庭で何不自由なく育ったサリーは、とまどい、
悩みながら、持ち前のユーモアと実行力で、変わり者のマックレイ医師や
大学の同窓生ベッツィや友人たちとともに、ジョン・グリアを模範的な
孤児院に変えていく。
■感想 ☆☆☆
大好きな家庭小説です。大好きな家庭小説ですが、「足長おじさん」
だけは「手紙形式」が読みにくく、読み返したことがありません。
また、この作品も今回、初めて手に取りました。
何気なく手に取ったこの作品。気乗りしないまま、読み始めたにも
関わらず、今回はとても面白く思え、「足長おじさん」自体を
読み返したい気持ちにさせられました。仕事をすることで、ヒロイン自身が
成長し、生きる目的や真実の愛を見出していく。王道のストーリー展開では
ありますが、王道だからこそ、面白い作品です。
読んでいると、誰かに手紙を書きたくなります。
46.レ・ミゼラブル(1)/ビクトル・ユゴー
■ストーリ
1815年のある日、司教館をひとりの男が訪れる。
男の名はジャン・ヴァルジャン。貧困に耐え切れず、たった1本のパンを
盗んだ罪で19年も服役していた。行く先々で冷遇された彼を司教は
暖かく迎え入れるが、ジャン・バルジャンは司教が大切にしていた
銀の食器を盗んで逃げる。しかし、その事実を知っても彼を許す司教に
感銘を受け、正直な人間として生きていくことを誓う。
4年後、すっかり立ち直ったジャン・バルジャンだったが・・。
■感想 ☆☆
全7巻のうちの1巻です。長い。とにかく長い。
前段、明らかに主役ではないはずの司教についての場面があまりにも長く、
何度か挫折しそうになりましたが、ようやく本編に入ってきた感のある
中盤からは面白く読み進めることができました。
いろんな困難が待ち受ける中、ジャン・バルジャンがどんな一生を
送ることになるのか。これからが楽しみです。
47.漂流詩人 金子みすず
■内容
童謡詩人、金子みすずの生涯を追いながら、彼女の作品を収録した作品集。
■感想 ☆☆☆☆
大好きな詩人、金子みすずさんの作品が美しい写真と共に数多く
収められており、読み応えのある作品集となっている。
また、収録されている作品の多くは、金子みすずさん本人の直筆写真と
共に収められている。彼女の書く字は教科書になるような美しい字では
ないけれど、読みやすく、丸く暖かく、見ていて心が落ち着く。
人柄が字にも現われているように感じた。
収められている作品の多くは有名な作品で一度目や耳にしたことがある
ものばかりだったが、だからこそ、心に残る作品が多かったように
感じる。なかでも好きだったのはこの作品。
蜂はお花のなかに、
お花はお庭のなかに、
お庭は土塀のなかに、
土塀は町のなかに、
町は日本のなかに、
日本は世界のなかに、
世界は神様のなかに。
そうして、そうして、神様は、
小ちゃな蜂のなかに。
48.キネマと猫/金子みすず
■内容
童謡詩人、金子みすずの作品集。
■感想 ☆☆*
収録されている作品の多くは初めて目にするものばかりで
楽しく読み進めることができた。声に出して読むと特に
「七五調」の文体が奏でる言葉やリズムの美しさを
実感することができます。
49.ICO~霧の城~/宮部みゆき
■ストーリ
邪悪な力を持つ霧の城は角の生えた子を生贄として求めていた。
イコはしきたりに従い、霧の城へ。そこで檻に囚われた少女を
発見し、助け出すが、その手を握ると何故か彼の頭の中に
様々な幻像が…。不思議な力を持つ少女・ヨルダは何者なのか?
囚われた理由とは?運命に抗い、謎が渦巻く城からヨルダとともに
脱出するため、イコは城主と対決する。
■感想 ☆☆*
ゲームというものとまったく縁のない私ですが、この作品は友人に
紹介され、一度プレイ場面を見たことがありました。
たった一度しか見たことがないにも関わらず、キャラクターと音楽の
美しさと独特な場面運びと静寂な世界が強く心に残っています。
だからこそ、ノベル化されたこの作品に終始、違和感を抱きながら
読み進めました。
このゲームの面白かったところ、魅力的なところは、
説明を一切配したあの静寂なストーリ展開だと思うのです。
小説に挿入されている数々のエピソード、それ自体はとても面白く
補われた説明によって、多くのことが分かります。
けれど、なぜか違和感を拭い去れないまま、終わりを迎えてしまいました。
50.パレアナの青春/エレナ・ポーター
■ストーリ
ベルデングスビルの小さな町を「喜びの遊び」で明るくした少女パレアナ。
彼女はやがて成長し、美しい青春の日々を迎える。
いつでも喜ぶということは、決して単なるお人好しというわけではなく
常に強い意志と努力が必要だということを、ポーターは語りかける。
■感想 ☆☆☆
明るく無邪気だったパレアナもやがて大人になり、恋を知る。
天真爛漫だった彼女が恋を知ることで、徐々に『喜びの遊び』だけでは
色々なことを乗り越えられなくなってしまうところに絵空事ではない
リアルさを感じました。
後半はロマンスが話の軸に置かれていますが、納得のいく結末で
読み終えて幸せな気持ちになりました。
ハウス名作劇場の再放送を心から願います。
パレアナは主題歌も好きだったんだけどなー。
51.ぶらんこ乗り/いしいしんじ
■ストーリ
ぶらんこが上手で、指を鳴らすのが得意な男の子。
声を失い、でも動物と話ができる作り話の天才。
もういない、わたしの弟。
天使みたいだった少年が、この世につかまろうと必死でのばしていた
小さな手。残された古いノートには、痛いほどの真実が記されていた。
■感想 ☆☆☆☆
大好きな大好きな作品を久々に読み返しました。
少しまどろっこしさを覚えるふわふわとした暖かい文体に
懐かしさを覚えつつ、読み進め、読み進めながら、この文体が
このストーリー展開が好きだったのだ、と思いました。
ファンタジーテイストの設定は「ありえない」話が詰まっている。
けれど「ありえない話」で終わらせることのできない説得力も
持っている。現実から少し離れた世界をふわふわと漂っていた
姉弟たちが、向き合いたくない現実と向き合い、こちらがわの、
つまるところ現実の、世界と向き合う場面で終わるこの作品。
清潔感あふれる物語の運びがやっぱり好きでした。
■ストーリ
あしながおじさんの続編。前作の主人公ジュディは結婚後、孤児院
「ジョン・グリア・ホーム」の改革権を夫からプレゼントされ、
実際の改革を行う院長として大学時代の親友サリー・マクブライドを
指名する。裕福な家庭で何不自由なく育ったサリーは、とまどい、
悩みながら、持ち前のユーモアと実行力で、変わり者のマックレイ医師や
大学の同窓生ベッツィや友人たちとともに、ジョン・グリアを模範的な
孤児院に変えていく。
■感想 ☆☆☆
大好きな家庭小説です。大好きな家庭小説ですが、「足長おじさん」
だけは「手紙形式」が読みにくく、読み返したことがありません。
また、この作品も今回、初めて手に取りました。
何気なく手に取ったこの作品。気乗りしないまま、読み始めたにも
関わらず、今回はとても面白く思え、「足長おじさん」自体を
読み返したい気持ちにさせられました。仕事をすることで、ヒロイン自身が
成長し、生きる目的や真実の愛を見出していく。王道のストーリー展開では
ありますが、王道だからこそ、面白い作品です。
読んでいると、誰かに手紙を書きたくなります。
46.レ・ミゼラブル(1)/ビクトル・ユゴー
■ストーリ
1815年のある日、司教館をひとりの男が訪れる。
男の名はジャン・ヴァルジャン。貧困に耐え切れず、たった1本のパンを
盗んだ罪で19年も服役していた。行く先々で冷遇された彼を司教は
暖かく迎え入れるが、ジャン・バルジャンは司教が大切にしていた
銀の食器を盗んで逃げる。しかし、その事実を知っても彼を許す司教に
感銘を受け、正直な人間として生きていくことを誓う。
4年後、すっかり立ち直ったジャン・バルジャンだったが・・。
■感想 ☆☆
全7巻のうちの1巻です。長い。とにかく長い。
前段、明らかに主役ではないはずの司教についての場面があまりにも長く、
何度か挫折しそうになりましたが、ようやく本編に入ってきた感のある
中盤からは面白く読み進めることができました。
いろんな困難が待ち受ける中、ジャン・バルジャンがどんな一生を
送ることになるのか。これからが楽しみです。
47.漂流詩人 金子みすず
■内容
童謡詩人、金子みすずの生涯を追いながら、彼女の作品を収録した作品集。
■感想 ☆☆☆☆
大好きな詩人、金子みすずさんの作品が美しい写真と共に数多く
収められており、読み応えのある作品集となっている。
また、収録されている作品の多くは、金子みすずさん本人の直筆写真と
共に収められている。彼女の書く字は教科書になるような美しい字では
ないけれど、読みやすく、丸く暖かく、見ていて心が落ち着く。
人柄が字にも現われているように感じた。
収められている作品の多くは有名な作品で一度目や耳にしたことがある
ものばかりだったが、だからこそ、心に残る作品が多かったように
感じる。なかでも好きだったのはこの作品。
蜂はお花のなかに、
お花はお庭のなかに、
お庭は土塀のなかに、
土塀は町のなかに、
町は日本のなかに、
日本は世界のなかに、
世界は神様のなかに。
そうして、そうして、神様は、
小ちゃな蜂のなかに。
48.キネマと猫/金子みすず
■内容
童謡詩人、金子みすずの作品集。
■感想 ☆☆*
収録されている作品の多くは初めて目にするものばかりで
楽しく読み進めることができた。声に出して読むと特に
「七五調」の文体が奏でる言葉やリズムの美しさを
実感することができます。
49.ICO~霧の城~/宮部みゆき
■ストーリ
邪悪な力を持つ霧の城は角の生えた子を生贄として求めていた。
イコはしきたりに従い、霧の城へ。そこで檻に囚われた少女を
発見し、助け出すが、その手を握ると何故か彼の頭の中に
様々な幻像が…。不思議な力を持つ少女・ヨルダは何者なのか?
囚われた理由とは?運命に抗い、謎が渦巻く城からヨルダとともに
脱出するため、イコは城主と対決する。
■感想 ☆☆*
ゲームというものとまったく縁のない私ですが、この作品は友人に
紹介され、一度プレイ場面を見たことがありました。
たった一度しか見たことがないにも関わらず、キャラクターと音楽の
美しさと独特な場面運びと静寂な世界が強く心に残っています。
だからこそ、ノベル化されたこの作品に終始、違和感を抱きながら
読み進めました。
このゲームの面白かったところ、魅力的なところは、
説明を一切配したあの静寂なストーリ展開だと思うのです。
小説に挿入されている数々のエピソード、それ自体はとても面白く
補われた説明によって、多くのことが分かります。
けれど、なぜか違和感を拭い去れないまま、終わりを迎えてしまいました。
50.パレアナの青春/エレナ・ポーター
■ストーリ
ベルデングスビルの小さな町を「喜びの遊び」で明るくした少女パレアナ。
彼女はやがて成長し、美しい青春の日々を迎える。
いつでも喜ぶということは、決して単なるお人好しというわけではなく
常に強い意志と努力が必要だということを、ポーターは語りかける。
■感想 ☆☆☆
明るく無邪気だったパレアナもやがて大人になり、恋を知る。
天真爛漫だった彼女が恋を知ることで、徐々に『喜びの遊び』だけでは
色々なことを乗り越えられなくなってしまうところに絵空事ではない
リアルさを感じました。
後半はロマンスが話の軸に置かれていますが、納得のいく結末で
読み終えて幸せな気持ちになりました。
ハウス名作劇場の再放送を心から願います。
パレアナは主題歌も好きだったんだけどなー。
51.ぶらんこ乗り/いしいしんじ
■ストーリ
ぶらんこが上手で、指を鳴らすのが得意な男の子。
声を失い、でも動物と話ができる作り話の天才。
もういない、わたしの弟。
天使みたいだった少年が、この世につかまろうと必死でのばしていた
小さな手。残された古いノートには、痛いほどの真実が記されていた。
■感想 ☆☆☆☆
大好きな大好きな作品を久々に読み返しました。
少しまどろっこしさを覚えるふわふわとした暖かい文体に
懐かしさを覚えつつ、読み進め、読み進めながら、この文体が
このストーリー展開が好きだったのだ、と思いました。
ファンタジーテイストの設定は「ありえない」話が詰まっている。
けれど「ありえない話」で終わらせることのできない説得力も
持っている。現実から少し離れた世界をふわふわと漂っていた
姉弟たちが、向き合いたくない現実と向き合い、こちらがわの、
つまるところ現実の、世界と向き合う場面で終わるこの作品。
清潔感あふれる物語の運びがやっぱり好きでした。