旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

休日はローカル線で 碌山美術館と道祖神と信州蕎麦

2013-12-07 | にいがた単身赴任始末記

2015年3月の北陸新幹線延伸開業を控えて、真新しい橋上駅舎が姿を現して、
先日も新幹線試験車両(イースト・アイ)入線のニュースが流れていた糸魚川駅だ。
単行気動車は2・3番ホームの端っこに設えた4番ホームからひっそりと出発する。

"笹寿司" と "謙信" のワンカップを買い込んで朝から車中酒の大糸線の旅。
この甘口の本醸造が思いのほか笹寿しと相性が良くて美味しい。
笹寿司は信越県境地域で作られる家庭料理、川中島合戦当時は上杉軍の野戦食だった。

35kmの非電化区間を姫川にそってゆっくりと遡ると1時間ほどで南小谷に到着した。
スキー場開きを待つ冬のはじめの駅周辺は閑散として、やがて来る賑わいを待っている。
鉄路はここからJR東日本の管轄、反対側のホームに控える松本ゆきの電車に乗り換える。

少し青空が覗いてきたので穂高に途中下車。
安曇野には美術館が点在するから、それらを巡って芸術に触れるのも楽しい。
代表的存在が穂高町の碌山美術館だ。

穂高神社近くのそば処一休庵で "なごり雪" って品書きのぶっかけそばをいただく。
千切り大根の上に冷たいそばをのせ、わさびの茎漬け、揚げ玉、きのこを散りばめる。
見た目もキレイな一品は、この地方名産の山葵が香る美味いそばだった。

穂高駅は長閑な田舎の駅だけど、結構な乗客がホームで電車を待っている。
松本へ買い物に出かけるご婦人、遊びに出かける中高生たちで騒めいているね。
安曇野の風景になくてはならない「道祖神」が駅名表示版を飾る。

穂高駅で座席を埋めた2両編成は、ふたつ先の豊科でさらに乗客を増やしていく。
通路までいっぱいにした2両編成は穂高から30分で松本駅6番線に滑り込む。
上高地線の7番線とひとつ島になっていて、まさにアルピニストのホームだ。

いつしか冬晴れが広がって、白い常念岳を見上げた大糸線の呑み旅なのだ。

安曇野 / 原田悠里