旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

立呑み食堂ねぎぼうずで一杯 熊本電気鉄道を完乗!

2016-03-11 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

「呑み鉄」番外編。青空に黒い天守閣が映える。
大小の天守閣に宇土櫓、坪井川沿いの長塀、重厚な石垣群。
圧倒的なスケールの熊本城は、まさに難攻不落の巨大要塞だ。

 熊本城の北東に在る藤崎八旛宮は、鎮座1080年余の熊本総鎮守。
八旛宮の西にある藤崎宮前駅が熊本電気鉄道の起点になっている。
この2両編成、どこかで見た顔だと思ったら、都営三田線の出身だそうだ。

 

戦前戦中は菊池電気鉄道の社名で、地元の古い人は "菊電" と呼ぶらしい。
かつて菊池温泉まで走っていたが、ご多分に漏れずモータリゼーションの波に押された。
昭和61年に御代志~菊池間を廃止、今ではR387沿いに寂しく車止めがなされている。

熊本電気鉄道には上熊本線という枝線がある。
分岐駅の北熊本駅から南へ3.4km。上熊本駅でJR線と市電に接続している。
北熊本駅では上下線が交換し、その時刻を挟んで上熊本線が終着始発する。
実に工夫された効率的な乗り換えダイヤが確立している。

構内の電車庫に佇むグリーンの車両は、東急目蒲線で活躍していたもの。
下ぶくれの愛嬌のある容貌とカラーリングから「青ガエル」の愛称で親しまれた。
実はこの車両、去る2月14日のラストランで現役を引退したのだそうだ。
大勢のファンに見守られたラストランの様子は各局のニュースに流れていた。

 

さて支線を走る黄色のラインにも見覚えあり、東京メトロ銀座線を走ってた車両だ。
パンタグラフを取り付け、台車を取り替えての熊本Ⅰターンを果たした。
上熊本線の旅は僅かに10分。向かい合うように熊本市交通局の上熊本駅前電停が在る。

 上熊本が起点のBラインは辛島町まで。ここで熊本駅方面からのAラインと合流する。
辛島町にはバスターミナルとサンロード新市街のアーケード入口があって賑わっている。

 

Aラインの始発、田崎橋電停にやってきたのは低床連接車、LRT仕様の新型車両。
乗降に負担が少なく、女性アテンダントも乗車しているユニバーサルなサービスだ。
Aラインは熊本駅を経由し、辛島町でBラインと合流、市中心部を抜け健軍町まで走る。

東海道五十三次を模したという桃山様式の水前寺成趣園。水前寺公園前にも電停が在る。

 

水前寺公園を過ぎると終点の健軍町に向けていよいよラストスパート。
健軍町へはAラインもBラインも所要42分。なかなか乗り応えある市電の旅なのだ。

 熊本一の繁華街下通りに戻って、「立呑み食堂ねぎぼうず」を訪ねる。
この店、手頃な値段で郷土料理が楽しめるって評判の人気店なのだ。
案の定満席。でもそこはおひとり様、10分待たずに常連さんの間に潜り込み成功だ。

 

ここのお作法は子ども用のお茶碗?に1000円札を数枚入れて飲み始める。
酒肴がサービスされる度、店員さんが茶碗からお代を取っていくシステムだ。
まずは生ビールを呷る。一番人気の "厚揚げねぎまみれ" は、ポン酢が効いて旨い。 

 

2杯目からは冷酒を。越前大野の "花垣にごり" とお約束の "辛子レンコン" をいただく。
3杯目は、天童の "出羽桜" を。肴は "新鮮ハマチの刺身" を味わう。
最後は地元に敬意を表して玉名郡和水町の酒 "花の香" で。〆は "馬刺しの握り" だ。
花の香、旨い。新しい酒との出会いにご満悦のうちに夜は更けゆくのだ。

熊本電気鉄道 藤崎線 藤崎宮前~御代志 9.7km
熊本電気鉄道 上熊本線 北熊本~上熊本 3.4km
熊本市交通局 B系統 上熊本駅前~辛島町 2.9km
熊本市交通局 A系統   田崎橋~健軍町 9.2km 完乗

君よ抱かれて熱くなれ / 西城秀樹 1976