旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

伊勢神宮から牡蠣と真珠の鳥羽湾へ 参宮線を完乗!

2016-04-02 | 呑み鉄放浪記

 参宮線と云う名称は、伊勢神宮への参詣路線として建設されたからだ。
紀勢本線の多気から鳥羽までの30km弱の路線は1911年の開業だから歴史は古い。
でも並行する近鉄鳥羽線の開業で大きく乗客を減らし、今では有数の不採算路線だ。

鳥羽行きの各駅停車は2両編成のワンマン運転。
名古屋からの特急列車の連絡を待って、5分遅れで多気駅を発車する。

五つ目の伊勢市駅は伊勢神宮の玄関口、乗客を奪った近鉄線と連絡をしている。

 伊勢神宮は外宮から参拝するのがお作法だ。
外宮の正式名称は豊受大神宮。豊受大御神は天照大御神に食事を供する役目をお持ちだ。
参詣後、大正5年創業の伊勢うどん専門店「中むら」で名物 "伊勢玉子うどん" をいただく。
煮干と鰹節のだし汁、地産のたまりを大釜で煮込んだタレと、モチモチした麺が美味しい。

 お腹を満たした後は、4kmほど離れた内宮を参詣する。
正式名称は皇大神宮、天照大御神が住まう日本人の心のふるさとだ。
心身を清める五十鈴川を宇治橋で渡ると、その先は玉砂利を敷き詰めた神域となる。

一の鳥居を潜った川べりに御手洗場がある。五十鈴川の澄んだ水で手を清める。

天照大御神が住まう正宮、日本一の聖域であると言っても良い。
本来、清廉で厳粛な心持ちになるところであるが、それにしても今日は賑やかだ。
自撮り棒を手にした近隣国の観光客が騒がしい。

皇太神宮を詣でた後はお約束の赤福で一服。
それにしても“おかげ横丁”は賑やか、まるで江戸時代のテーマパークだ。
御神酒の「白鷹」を味わったり、松阪牛のコロッケや串焼きを頬張って楽しい。

 
 

「おかげ横丁」で小1時間遊んで伊勢市駅に戻る。
「快速みえ」は名古屋と伊勢市、鳥羽の間を1日13往復、速達サービスをしている。
青春18きっぷで利用できるのが嬉しい。ところで近鉄の特急には対抗できているのだろうか。

終点の鳥羽までは15分の旅、池の浦シーサイドを通過すると左手に伊勢湾が見えてくる。
車窓に岬に建つリゾートホテルや、入江の牡蠣筏を眺めていると、ほどなく鳥羽だ。

2面4線ある近鉄線のホームには名古屋、京都そして大阪と結ぶ特急が頻繁に発着する。
人気のデラックスカー「観光特急しまかぜ」も白地にブルーの精悍な車体を見せてくれた。
鳥羽では近鉄線が主役、鳥羽線の快速は極めて地味に車止めのある1番線でその旅を終える。

 

 普段は1日中普通列車に揺られる「呑み鉄」の旅、投宿するのは大抵駅前のホテル。
今日はめずらしく鳥羽湾をのぞむ岬のリゾートホテルを択んだ、家族が一緒だからね。
蒼い海と空をながめ、やわらかな潮風に吹かれて露天風呂に浸かる。なかなかご機嫌なのだ。

車海老と魚介のマリネ、志摩大王崎産の伊勢海老、メインは牛フィレ肉のロースト。
ソムリエお奨めの甲州ワイン "アルガブランカ・イセハラ" を合わせる。
いつもとずいぶん調子が違う春休みの「呑み鉄」の旅なのだ。

参宮線 多気~鳥羽 29.1km 完乗

 
 

愛に走って / 山口百恵 1976