旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

旅の途中 岳南電車で「つけナポリタン」

2017-04-13 | 日記・エッセイ・コラム

 「...... 富士の高嶺に 雪は降りつつ」と山部赤人が謳った田子の浦。
歌のような凛とした冬の日ではないけれど、富士の高嶺は未だ雪を被っている。
岳南電車は田子の浦港にほど近い吉原駅を起点に9.2km、約20分の旅になる。

吉原駅に入線してきた7000系の単行電車はたぶん井の頭線を走っていた懐かしい顔。
学生時代に乗った車両かもしれないと思うとなんだか親近感を感じる。

「紙のまち」富士市らしく切符は紙製の硬券。全線1日フリー乗車券は700円。
単純に全線を往復すると元が取れるので、途中下車しながらのぶらり旅には重宝する。

 

早速2つ目の吉原本町で途中下車、レトロな吉原商店街は、旧東海道の吉原宿。
地元B級グルメ「つけナポリタン」元祖の店喫茶アドニスで "つけ富士リタン" を注文。
まずはハートランドを一杯。「呑み鉄」だからね。

特注のもっちり麺には駿河湾の桜エビがのる。
つけだれのトマトと鶏ガラのスープには、たっぷりチーズが入って濃厚な旨みがある。
●よく(スープに)つけて食すべし。
●チーズを絡めて食すべし。
●レモンは半分食べたら麺にかけるべし。 メニューに書かれたお作法に従って美味い。 

 岳南原田駅では段ボールの匂いに包まれる。辺りは製紙工場群になっている。
この駅、工場群を抜けていく岳南電車を撮る結構有名な撮影スポットらしい。
工場を背景にするなら、このくすんだオレンジ色の車両のほうが断然見栄えが良い。

     

岳南富士岡駅には車庫があって、昔貨物輸送に活躍した機関車が側線に留置されている。 

 閑散としている岳南江尾駅に終着。広い構内が逆に侘しさを誘う。
岳南電車は世界でたった一つ、「全ての駅から富士山が見える鉄道路線」だそうだ。
この地をカタコト走るんだから当たり前だよね。
ここ岳南江尾では、新幹線の高架の上に残雪を纏った富士山が覗いている。

風の街 / ハイ・ファイ・セット 1977