旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

にいがたは霧に更けゆく 上越新幹線を完乗!

2020-02-08 | 呑み鉄放浪記

 上越新幹線にもE7系が導入されましたね。
北陸新幹線との違いは、サイドに「朱鷺色」のラインが鮮やかにひかれているところ。
時間帯がいいのか、この車両を狙ってか、とき315号の自由席は150%ほどの乗車率。

上越新幹線は東北新幹線から分岐する大宮駅が起点。
平均乗車は258,000人/日はJR東日本では第8位、押しも押されぬターミナル駅だ。
何度も乗車している路線ではあるけれど、呑み鉄のルールで潰しておこう。

国境の長いトンネルを抜けたけど、そこは雪國と云うには程遠い風景。
折からの雪不足で地肌をむき出しにしたゲレンデが哀しい。駅前広場はカラカラだ。
温泉街に面した西口の足湯が賑わっている。ほとんどが中華圏からの観光客のようだ。

 湯元共同浴場「山の湯」までは徒歩20分、小説『雪国』の川端康成も浸かったと云う。
外湯めぐりのなかで唯一の硫黄泉、そして源泉かけ流し、ゆるりと浸かって至福。
先客の地元の親父さんと暫し談笑、彼らにとっても自慢の湯なのだ。

 "風味爽快ニシテ" を呷ってほてりを鎮める。サッポロの新潟限定ビールだ。
駅前の「味らく茶や」は郷土料理 "けんちん汁" が有名、具だくさんの一杯が美味しい。 

新幹線の分割併合は、子どもは勿論、女子も訪日外国人も興味津々、皆カメラ片手だ。
堂々の2階建て16両編成は、前8両が新潟行き、後ろ8両がガーラ湯沢行きなのだ。

都心に家を持つのが厳しかったバブルの頃、新幹線通勤のブームが起こりましたね。
越後湯沢や熱海に温泉付きマンションが建ったり、フレックスって定期券が発売されて。
そうした通勤の大量輸送を担ったのがE4系2階建て車両、定員は1,600人を超える。

っで、そのE4系に乗車してガーラ湯沢に寄り道。支線も漏れなく潰さないと。

 まるでホテルのロビーのよう、15号車は荒神静香氏の前衛的な作品。
とき455号は注目のアーティストの作品が展示された「現美新幹線」で新潟平野を抜ける。

16号車では新潟の美しい里山を舞台にした映像がまるで絵画のように映し出される。
これはaki inomata氏の作品だ。っと2両分観賞しただけで、あとはソファーで船を漕ぐ。

スタイリッシュでシャープな車両は新潟駅14番ホームに終着。あっという間の50分だ。

賑わう駅前・万代シティーに背を向けて、今日も霧がふる「万代橋」を渡り
昭和初期には祇園、新橋と並んで日本三大花街に数えられた古町に向かう。

90年代後半から賑わいは徐々に駅前・万代に比重を移してしまったけれど
いつか寄り添った「古町通り」界隈、石畳の路地はやはり情緒があって良い。
橙色のちょうちん、格子戸を開け、白い暖簾をくぐってカウンターに収まる。
昭和初期の置屋を改装したレトロモダンな「すゞ家」は新潟在勤時代にお世話になった。

穏やかな吟醸香、優しい口当たりの "麒麟山 冬酒" は白身魚の刺身に合うかな。
お造りは、ブリ、平目、ヤリイカが器に盛られた。冬の日本海の幸が美味しい。

二杯目は "真野鶴 辛口純米酒" 、爽やかな淡麗辛口が新潟の酒らしい。
里芋でとろみをつけ、しょうゆ味の出汁で煮た "のっぺい" は新潟の家庭料理。
小料理屋や割烹、居酒屋で具材や味付けは様々、食べ比べるとなかなか奥が深い。

キャベツの甘みと肉の旨味がぎっしり詰まって、ここの "きゃべつメンチ" は絶品。
そして芳醇で素朴な "鶴の友 純米酒" は揚げ物にも合う、燗してよし冷やでよしの旨酒。 
懐かしい店についつい過ぎただろうか、すっかり「ほろ酔い」の出来上がり。
カウンターの姐さんが覚えていてくれたのには、ほっこり嬉しくなってしまった。
さてと、青い灯がゆれる「新潟駅」から、最終の1本前で東京へ帰ろう。

上越新幹線 大宮~新潟 303.6km
  越後湯沢~ガーラ湯沢 1.8km 完乗

新潟ブルース  / 美川憲一