旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

鼓門と内灘砂丘と加賀鳶と 浅野川線を完乗!

2022-11-05 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

 シルバーにオレンジのラインを引いた8900系、そろりそろりと大野川橋梁を渡ると終点の内灘駅は近い。
学生時代に浜田山に住んでいた呑み人だから、この車両にも乗ったことがあると思う。とても懐かしい。

同じくオレンジに浮かび上がるのは金沢駅鼓門、浅野川線が発着するのはこの地下空間になる。
えちぜん鉄道を旅して金沢入りしたのはとっぷり暮れてから、北陸鉄道の呑み潰しは明日にして酒場を探そう。

駅にほど近い堀川町、鈍角に交わる2本の県道を繋いで三角形に飲み屋街を切り取る路地に入る。
三角形の頂点あたりの立ち呑み「串酒場 大笑」に若者が溢れている。でもオヤジも果敢に飛び込んでみる。
オリジナルのジョッキがいい感じに冷えて一気に呷る “生ビール” が美味い。あては渋く“タコわさ” を突っつく。

表面張力に耐えられなくなった “加賀鳶 山廃純米” が一合枡に溢れ出る。この瞬間が嬉しい。
鶏、茄子、エリンギ、南瓜、アスパラと、バイトのお嬢さんが揚げた “串天盛合せ” はちょっと不恰好、
でも熱々ホクホクで美味しいよ。塩でいただく串天に、コクありキレありの辛口が旨い。

期待して注文した “おでん” は所謂金沢おでんではなかった。それでもたっぷり “とろろ昆布” が嬉しいね。
“福政宗 加能山河” は県内の酒販店だけに卸される『冷でよし燗でなおよし』のコクある純米酒だ。
和がらしたっぷりの厚揚げにツンときたら、ごくりと旨酒をひと口、この掛け合いが愉しいんだよね。

翌日の午すぎに鼓門まで戻ってきた。地下ホームに降りるとほどなく03系の2両編成がホームに入って来る。
日比谷線から譲られた電車はグレーをオレンジに化粧直し、スノープラウを履いたらすっかり雪国の顔だね。

03系が地下区間を抜けると七ッ屋駅、この先の車窓右手には常に線名である浅野川の堤防が視界を遮る。

行程半ばの三ツ屋駅に進入すると出発信号は赤、一拍置いて進行方向から金沢行きの8900系がやって来た。

今にも止まりそうな速度で慎重に大野川橋梁を渡る。この川を3kmほど下ると河北潟に出るのだ。

オレンジラインの2両編成が1面1線単式ホームの内灘駅に終着する。行手を塞ぐ車止めの先は住宅街だ。
やはり駅前の観光案内所にレンタサイクルがある。電動アシストが3時間で500円だから迷わず借りるべし。
滞在時間を告げると、親切な昔のお嬢さんが、ガイドマップに見どころをマークしてくれた。では行って来ます。

広大な砂丘が広がる内灘海岸、若いグループがBBQのテントを張り、水上バイクや三輪バギーに興じている。

河北潟の放水路にかかるサンセットブリッジ(内灘大橋)から金沢市街を望む。高い。
内灘海岸と河北潟を隔てる幅1km、南北に約10kmの内灘市街は、標高60mにも達する砂丘上にある。

この砂丘上から眺める “日本海に沈む夕日” は絶景だろうなぁ、っと思いを残しつつ金沢行きの電車に乗車する。
大阪から乗車券を北陸回りに変更して福井・金沢を呑み潰す週末は、浅野川線を最後にその旅を終えるのだ。

北陸鉄道浅野川線 北鉄金沢〜内灘 6.8km 完乗

<40年前に街で流れたJ-POP>
バカンスはいつも雨 / 杉真理 1982