旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

しらす丼と海峡大橋と白鷺の城と 山陽電気鉄道を完乗!

2023-02-18 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

 加古川橋梁のガーダーに轟音を響かせて、精悍なマスクの新鋭6000系姫路行きが迫ってくる。

久しぶりに全くプライベートの旅に出た。利用したJR東海の「ずらし旅」はなかなかお得感がある。
神戸(三ノ宮)に2泊3日、往復新幹線のぞみ号グリーン車で40,600円、さらにGoTo割引で32,480円。
関西の私鉄線を呑み鉄したい呑み人にとっては、大いに心強い企画商品なのだ。

関西圏以外の方にはおそらく馴染みのない西代駅は、阪神電鉄高速神戸線と山陽電鉄本線の境界駅だ。
黄色地に「直通特急」の種別表示幕も誇らしく、阪神大阪梅田から5000系が駆け抜けて来た。
この特急用車両、セミクロスシートになっているんだね。灘のワンカップでも買っておけば良かったなぁ。

先ずは4つ目の垂水で途中下車、明石海峡大橋を望む「垂水漁港食堂」で最初の一杯を楽しむ。

水揚げされたしらすを贅沢にたっぷりのせた「釜揚げしらす丼」に玉子を落としたら出汁醤油で円を描く。
ビールのアテにシラスの優しい旨味と甘みを味わったら、後半は玉子を割って一気に掻き込む。美味しい。

お腹を満たしたら、普通電車で2つ先の舞子公園駅へ進む。

海風に霧が流れて淡路島が見えてくる。舞子公園は真上を神戸淡路鳴門自動車道が走るビュースポットだ。

大蔵海岸辺りで東海道本線と国道2号線に並行する。右に左に描く緩やかなカーブはかつての海岸線だろうか。

っと突然、車窓右手に東経135度子午線の上に建つ明石市立天文科学館が現れて、慌ててシャッターを切る。

加古川橋梁からの風景を撮った後、高砂駅からこの日4本目の「直通特急」は姫路までのアンカーだ。
山陽電鉄のWebに掲載されている「直通特急時刻表」には、その列車が阪神・山陽どちらの運用か記してある。
乗り比べてみると、短いこの旅もさらに楽しいかもしれない。

梅田から100分、三ノ宮からは60分、緩やかな右カーブを描きながらJR山陽本線を跨ぐと「直通特急」は
山陽デパートに突き刺さるように、頭端式(櫛形)ホームとなった山陽姫路駅に終着する。

駅前から真っ直ぐに延びる大手前通りの先に、翼を左右に大きく広げて姫路城が聳えている。
5重6階の大天守が白漆喰総塗籠造りの城壁で3つの小天守とつながった姿は、なるほど「白鷺」の名が相応しい。

協和通り商店街のアーケードに紛れ込んで「播州酒場」を訪ねる。姫路は昼呑みできる店が多い。
暖簾には「センベロ ちょい呑み」とある。千円でベロベロに酔えるとは思えないが、ちょいと呑みたい。

地酒を呑む気満々でも、先ずは生ビールというのが日本の典型的な小市民の呑み方である。
っで最初のオーダーは “豆腐サラダ” を。この手の一皿は箸休めとして最後まで傍に置いておきたい。

地元オヤジの晩酌酒 “播州一献” は揖保川を遡った宍粟市の蔵、なるほど冷やでも燗でも良さそうな旨酒だ。
“姫路おでん” はしょうが醤油で食べる。ってか、この店の生姜出汁に浸かっているね。本醸造の酒とよく合う。

辛口の純米を呑みたいと “奥播磨” を択ぶ。さっきの酒とは山一つ隔てた安富の蔵になる。
店の人気メニューは “穴子ぶっかけ玉子焼き”、その昔やまほど捕れた穴子は姫路の郷土食材という事らしい。
ふんわり玉子焼きに甘いタレを絡めた穴子が絶妙に美味い。辛口の純米酒とこれまた絶妙に相乗するのだ。

播州の酒肴にほろ酔いな呑み人ではあるが、網干線に乗っていない事を思い出した。旅は終わっていない。
飾磨駅まで戻る。っと2番ホームにはなんだか優しい顔をした古参の3000系電車が待っているのだ。

まさにローカル私鉄的な単線をゴトゴトと15分、座席を埋めていた高校生が降り尽くすと終点の山陽網干駅。
埠頭へと歩き始めたけど寒さと寂しさで断念。化学メーカーの工場夜景に萌えて山陽電鉄の旅を終えるのだ。

山陽電気鉄道 本線  西代〜山陽姫路 54.7km 完乗
山陽電気鉄道 網干線 飾磨〜山陽網干   8.5km 完乗

<40年前に街で流れたJ-POP>
う、ふ、ふ、ふ、/ EPO 1983