太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

かなしい約束

2013-03-25 20:54:45 | 日記
父と電話で話した。

今月、父は81歳を迎えて、いまだに毎日会社に行くし、

趣味の油絵も続けていて、至極元気でいてくれる。

8年前に大病をしたが、そのあとは病気を得る前よりも健康なぐらいで、

今も毎日1時間ほどのウォーキングを欠かさない。


それでも、年齢は正直なもので、あちこちガタが来ている(父・談)という。

先日も、血圧が高いと言われたとかで、

血圧計を手元において、「年寄りくさいったらありゃしない」とこぼした。



父よりも若い人たちが、余命を宣告されて命を閉じてゆくのを、父はたくさん見てきた。


「僕はね、今なにが望みって、元気溌剌なままスーって消えるように一瞬で死にたい、それだけだよ」

「朝起こしに言ったら死んでたとか?」

「うんうん、それもいいなあ」

「でもさ、それじゃあ、私が会いに行く時間がないじゃない」

「そうなんだよなあ、じゃあ3日ぐらい待ってやるか?」




私はかつて、父と、父自身の死について話したことはなかった。

私はどうしても、父に言っておきたいことがあったのだが、それをどんなふうに

どんな場面で切り出せばいいか見当がつかなかった。

電話で話しながら、今がその時かもしれないと思ったけれど、

いざ言おうとすると、喉が締め付けられたようになってしまう。

それでも私は、気力を振り絞った。


「お願いがあるんだけど、もし一瞬で死んじゃったら、すぐに私に会いにきてくれないかなあ」


「えー、どういうこと?」

「だからさ、魂が身体から抜けたら、ヒョイってハワイまで飛んでこれるじゃない」

すると父は楽しそうに大笑いして言った。


「あはー!そうか、もう飛行機乗らなくても行けるんだなあー!うんうん、約束するよ。

タダだもんな、何度も行っちゃう。でも怖がらないでよー」


「それはこっちの台詞だよ。おとうさんならわざと怖がる演出で出てきそうだもの」


「うわっはは!どうやって出るか考えるのも楽しいゾ。

でもな、必ず行くから」



突然涙が出てきて、鼻声になるのを悟られないように、あわてて電話を切った。



天真爛漫で自由で、明るくて前向きで、楽しいことが大好きな父が

いったいどんなふうに会いに来てくれるのか想像すると、少しだけ笑えるけれど、

私が選んだ生き方は、こんな約束をしなくてはならないんだといまさらのように思う。






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睡蓮

2013-03-25 07:10:59 | 絵とか、いろいろ


なかなか遅々としてすすまないコラージュだけれど、

ようやく次の作品が仕上がりそうだ。

全体に、靄がかかったような雰囲気にしたつもりが

いくら眺めても、なにかが足りないような気がしてならないので

仕上がった、ではなく、仕上がりそうだ、ということだ。

といいつつ、既に次の作品に取り掛かり始めている。

これはしばらく横目で眺めつつ

ひらめいたら、手を加えていくことにしよう。




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