太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

「ああ面白かったと言って死にたい」

2013-03-26 20:24:08 | 本とか
作家の佐藤愛子さんが大好きだ。

といっても、彼女の書く小説が好きというのではなく

彼女自身に惹かれる。

腹ちがいの不良兄たち、自由人の父親、わが人生と夫を恨み続けた母親の中で育ち、

腹のくくりかたが立派な大人になった。


佐藤愛子さんの、何に惹かれるといって、

その気持ちのいいほどの正直さと、前向きさがたまらなくいい。

啖呵を切って、別れた夫の借金を全部背負ってしまうのも、

見えないものは信じなかった彼女が、北海道に別荘を買ったとたんに

「その道」が開かれてしまい、

たまたま近所に住んでいた江原啓之さん(まだ有名になる前)に助言を受けながら

不思議な世界にも思い切り突き進んでゆくのも、

いちいち

「ああ、私でもそうしちゃったかもしれない」と共感することが多い。



佐藤愛子さんのエッセイは、ほとんど読み尽くした。

この本は、それらの中からエッセンスを抜き出して集めたものである。

もちろん、エッセイのほうが数段おもしろいけれど、これはこれで楽しめる。



その中から少しだけ。


「私の性(さが)」

私は過去の苦難が、すべて私の激しやすい性格と単純さにあることを知っている。
十分に知ってはいるが、しかし私は少しもそういう自分を改めようとは思わずにきた。
改められないというよりは、私は「単純に生きること」が好きなのだった。
たとえそれが苦難を呼ぶことになろうとも、である。

疑うことで身を守るよりも、信じてひっくり返ることのほうが私の性にあっている。



「男運が悪いんじゃない」

あるとき私が「男運が悪い」とこぼしたら、遠藤周作さんはこう言った。
「君は男運が悪いんやないよ、男の運を悪うする女なんや」
その考え方は私の気にいった。
男運が悪いというと、なにかこう受身の消極的な人生が浮かぶが、
男の運を悪くする女といえば積極的な強い力を感じるではないか。

私はすべてにそういう考え方が好きだ。





私も、「ああ面白かった!」と言って死にたい。

しみじみそう思う。



「ああ面白かったと言って死にたい」 海竜社






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