仕事から帰宅すると、
先に帰っていた夫が、「オカエリー」と言ってハグをした。
が、
「え、ナニコレ?」
と言いながら私の背中を撫でた。
「何って何さ?」
腕を背中にまわしてみると、私の背中にはコブが二つあった。
私はユニフォームの下に、いつもブラトップを着るのだが
それが後ろ前になっており、
胸の部分にあるパッドが背中にまわっていた。
背中にコブをつけたまま、8時間あまりも働いていた。
「気づかないものなのかなあ?」
笑いながら夫が首をかしげる。
そーですね。
スリッパの左右を履き間違えたみたいな違和感が、あるかもね。
豊満な胸がある人はね。
ええ、そうでしょうよ。
実は、これが初めてではない。
以前にも後ろ前に着ていたことがある。
その時は、仕事の合間に壁に寄りかかったら、
背中になにか柔らかいものが当たって、それで気づいた。
同僚にコブを見せて、ひとしきり笑ったのだった。
同じことを繰り返すとは情けない....
壁に寄りかかる暇もないほど忙しく働いていたという証拠だと、
働き者のフタコブラクダは一人言い訳をするのである。