太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

最初の車

2021-12-23 08:06:08 | 日記
こちらに住む、日本人の友人の娘が初めての車を買うことになったのだが、それが新車のアウディで、400万円もするという。

「ねー、バカでしょう?何を言っても聞かないんだよ」

友人は憤懣やるかたない。
娘は大学生で、アルバイトを3つ掛け持ちしてお金を貯めていて、既に一時金を払ってあるらしい。
学生で、クレジットカードのヒストリー(アメリカではローンを組むときに、カードのヒストリーが重要になる)がなく、ローンの名義は母親の名前だ。
母親(友人)は、しごくまっとうな考えの持ち主で、この自由なアメリカで女で一つで厳しく娘を育ててきたつもり。

「まったく何を考えてるんだか。支払いが滞ったらすぐに売らせるよ」

我が家は、その娘が3歳の時から家族ぐるみでつきあってきたから、義両親にとっては孫みたいなもの。
1年以上かけてようやく免許をとったとき、シュートメの乗っていた車を譲ろうとか、
叔母の車をあげようとか言ってきたが、はかばかしくない返事。

「そりゃそうだわね、新車のアウディが欲しいんじゃね」

義両親も、ため息とともにそう言った。


免許をとって最初に乗った車は、忘れがたい。
私はインディゴブルーの、かまぼこ型のホンダのシビックだった。
夫は高校生だったので、父親のおさがりの車を譲ってもらったという。



欲しい気持ちはわかる。
私も、2台目の車はシトロエンだった。
ディーラーにふらりと寄って、そこに置かれていた真っ赤なシトロエンに一目ぼれ。
左ハンドルでマニュアルだったが、一緒にいた車好きな父も「買え、買え」とけしかけるので買ってしまった。
私は社会人で働いていたから、もちろん自分で払うのだ。
特に電気系統が弱い車で、窓は開かなくなるわ、ボンネットから煙が出るわ、で大変だったけれど、すごくうれしかったし、いい経験だった。


友人も、私たちも、頭にある考えは同じだ。
アメリカにいれば、一生車が必要なんだから、何も最初からそんな高くてハイメンテナンスな車を買うことはない。
まだ学生なんだし。
日本と違って、車の盗難だって日常なんだし。
税金だって保険だってそれなりに高くなるんだし。


けれど、こういうのは古い人間が言う、古い考えなのかもしれないとも思う。
私も、私の家族も、車はしょせん車だと思っている。
車や持ち物で見栄を張るのは好きじゃないというのもある。
だから、安心して乗れる車に少なくとも10年は乗る。
でもそれは私たちの考えであって、みんなそれぞれ違うのだ。



そうだ、アウディといえば昔テレビ局にいたとき、同僚に金持ちの娘がいて、
誕生日に父親が、新車のアウディにばかでかいリボンを乗せて、局の駐車場に運んできたことがあった。
車の屋根にリボンなんて、テレビでしか見たことがなかった。


友人の娘が、ジジババの老婆心を跳ね返して楽しく車ライフを送れますように。