太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

食文化は難しい

2022-03-09 08:06:05 | 食べ物とか
自分が美味しいと思っているものを否定されたら、ちょっと嫌な気分になる。
味の好みであればともかく、それを食べること自体を否定されるとなると、ちょっとどころか、かなり嫌な気分になる。




フィリピン料理に、バロット(Balut)という料理がある。
孵化直前のアヒルの卵を茹でたものという恐ろしい料理で、もちろん私は見たこともないし、見るつもりもない。

余談だが、小学校の理科の時間で、卵の孵化があった。
孵化器に入った卵を割って見てみようという授業の日、そんなものを見たら卵が食べられなくなると思った私は仮病を使って休んだ。
おかげで、今でも美味しい卵焼きや卵サンドが食べられているわけだけど、
子供の未来を左右しかねない、そういった授業(カエルや鮒の解剖もずる休みした)は本当に必要なんだろうか。
今でもそういうことをしているのかはわからないけど。

とにかく、そのぐらい小心者の私だから、バロットなどとんでもない。
同僚の、フィリピン人の旦那さんが仕事でケガをして、しばらく仕事ができなくなり、旦那さんの実家に住んでいるのだが、
まだ若い義母は嫁に料理をさせないのだという。

「料理しなくていいなんて、いいじゃーん」

と言ったら

「毎日毎日フィリピン料理のオンパレードだよ。娘の誕生日には、バロットが出てきて倒れそうになった」

そこで私は初めてバロットのことを知ったのであるが、それを聞いて心底同情した。
フィリピンの人たちにとっては、それは普通に美味しいごちそうなのであり、気持ち悪いと言ってしまうのははばかられる。


私はお刺身が好きだけど、「生の魚を食べるなんて気持ち悪い」という地域の人たちもいる。
彼らが鮒ずしや、尾が動いている船盛を見たら、卒倒するだろう。(私も動いている魚はちょっとダメだ)
私は生の魚は好きでも、生肉はダメで、韓国のユッケなど気持ち悪いと思う。
インディアナ州の親戚は、海苔巻きを出されて、
「この黒い紙は、剥がして食べるのか?」
と真面目に聞いてきた。
海藻だと言うと、なぜ海藻がこんなに黒いのだと言い、気味悪がって剥がして食べていた。

夫は日本にいたとき、友人に勧められて蜂の子を食べたそうで、昆虫類が苦手な私は大変驚いた。
夫は案外、こだわりなくいろんなものを食べられる方で、たぶんイナゴの佃煮も平気なんだろうと思うのに、ウニとカニ味噌がダメ。
昆虫が苦手な私は、カニの手足が身体から出ている様子が昆虫みたいに見えるので、バラバラになった状態なら安心して食べられる。
「バラバラにすればいいなんて、よほど残酷じゃないか・・・」
と夫は眉をひそめるけれど、美味しいものは美味しいのだ。



ハワイには様々な文化を背景に育ってきた人たちがおり、食文化についてはジャッジせず、また、感情をあらわにしないでサラっと流す知恵が必要になってくるのである。