太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

4年ぶりの日本  夢の吊り橋

2023-12-18 06:48:32 | 旅行
3日目は、友人と一泊で温泉に行った。
静岡県には静岡県だが、榛原郡川根本町にある、寸又峡という山奥の温泉である。細い山道を延々と登ってゆく。
場所を決めるとき、車で30分ぐらい、あるいは電車で1時間以内で行けるところにしようとしたのだが、友人の、

「そこは方角が悪いのよぅ」

という一言で却下になり、彼女的に「方角の良い」ところにしたら、ここになったというわけ。
小さくとも会社を経営している彼女は、方角も気になるところなんだろう。

この友人とは地方テレビ局時代からの40年来の付き合いである。
私の人生一発逆転ドロドロ期に、彼女も厳しい時期にいて、手を取り合って乗り越えてきた仲間だ。
すったもんだの挙句、私が意を決して離婚届に判をもらうために家に乗り込む(当時私は家を出て実家にいた)時、「刃傷沙汰になると困るから」と言って、庭の植え込みの陰で待っていたくれたことなど今は笑い話だ。


くねくねの林道をひたすら上ってゆくこと、2時間あまり。
「翠紅苑」
ああ、これぞ日本旅館。

紅葉はほぼ終わっていたけど、名残の紅葉をみることができた。
宿の近くに「夢の吊り橋」と呼ばれる橋がある。少し雨も降っていたので、見るだけ見てみよう、ということで歩き出した。
ココは吊り橋に行く他にはなーんにもない、のどかなところなのだ。
夢の吊り橋

舗装された道を20分ほど歩き、トンネルを通ってしばらく行くと、吊り橋が見えてくる。
以前ここに来たのは40年ほど前だったが、その時にはこんな金属の歩道はなかった。
その歩道に、「ここで待ち時間90分」と書かれた札があり、混雑時には長い列ができるのだろう。
この日は私たち二人の他に数人の人がいるだけで、そんな混雑は想像もできないが。
雨も上がっていて、見に来ただけのはずが、何となく橋を渡ってしまった。

「渡ったら、戻ってくればいいよね」

実はここは一方通行で、渡ったらその先に進んで大回りをして戻ってこなければならないのだが、誰もいないことだし、橋を往復すりゃいいと思った私たちは、すっかり吊り橋を舐めきっていた。
友人も以前にここに来たのは大昔過ぎて、その橋の怖さなど二人とも忘れていたのだ。
渡り始めたら、その高さといい、揺れ加減といい、怖いの怖くないの・・・
橋の真ん中で写真を撮ろう、と言ったのはどっちだ。
足元の板の幅は30センチもない。眼下遥か下に見える水面に向かってめまいがするし、手すりから手を放して携帯電話など取り出したら、電話もろとも落ちそうだ。
それなのに、ずっと前をいく中国人カップルは、止まって写真を撮っているではないか。
「早く行ってくれ!!」
あまり下を見たくないが、それでも踏み外したら困るから木の板だけを見るようにしてヨロヨロ歩いている間にも、山間を抜ける風が橋を揺らす。渡っている時には恐怖で一言もしゃべらず、向こう岸が見えたら、もう小走りで渡り切った。

這う這うの体で渡り切った目の前に、

『この先340段の階段あり』

の表示。「ひえーー😱」と思ったが、もう一度吊り橋を渡るよりはマシかと、仕方なしに狭い山道を上り始めた。
これは夢の吊り橋というより、恐怖の吊り橋だ。
「心臓と肺が口から出てくるー」などと言いながら階段を上り切ったあとは、舗装された道を歩いて、宿に戻り、冷え切った身体を温めようと温泉に入った。
温泉は無色透明で、肌がつるつるする良いお湯だった。
露天風呂のお湯の表面に、真っ赤な紅葉の葉が浮いているのが風情がある。
美味しい夕食を済ませ、2回目の温泉に入っていたら何やら太鼓の音が聞こえてきた。

「そういえば、今夜はイベントがあるから、よかったらどうぞって言ってたよね」

ロビーで30分の民話を聴くのと、インド舞踊、和太鼓をやっていて、15人ほどの人達が集まっていた。
ああ、この田舎っぽいのがたまらなくいいなあ。
パリッと糊が聞いた布団の清潔な香りを嗅ぎながら、ぼそぼそとおしゃべりしつつ、いつの間にか寝てしまった。

翌日は、島田市を通って帰ることにする。
途中で立ち寄った「音戯(おとぎ)の里」は、様々な音を愉しむ体験型施設で、入場時に聴診器を渡され、それを使っていろんな音を聞く。
入り口に「まちがい探し」の絵がいくつか並んでおり、楽勝楽勝と言いながら答えていくが、最後の問題の、10個あるまちがいのうち2個がどうしてもわからず、脳が痛くなってきたのでズルをして先に進む。

「これって認知症のテストみたいだよね・・・」

そう思ってしまうのは被害妄想か。
小さな子供がいたら楽しめる施設だろう。館内は貸し切り状態だったし、還暦間近の大人もけっこう楽しく遊べた。

どこかでお昼を、と思っていたらこんな看板を発見。
大村崑さん!まだご健在らしい。

水原ひろしさん!!とっくに鬼籍に入られた。
さすがにこの方の名前は出てこない。姉に見せたら一発で名前を言い当てた(が、忘れた)

昨日も今日も、なかなか会えない友人と思い切り過ごすことができた。
これは一人で帰国することの良さ。
夫がいても友人とは会えるけれど、やはり気をつかってしまう。

明日は義兄、姉、妹と富士山周遊ドライブにいく。