太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

2人の天使

2023-03-15 07:47:54 | 日記
良い流れに乗っている時、、ものごとはとてもスムーズにいく。
逆に言えば、なんだかいろいろうまくいかないとき、逆風に向かっているように感じるとき、それは正しい道じゃなかったりする。

10日前に、夫の車を買った。
いつか買い替えるならどの車がいいか、軽い気持ちで物色していたときに、頻繁にどうしても目に留まってしまう車があった。
その時点から、流れは始まっていた。
もう生産していない車だったので、中古車を買うしかなかったのだけれど、ハワイの中古車は高額。
出費は痛いが、ローンを組むよりずっとお得だし、欲しい車が買えて素直に嬉しかった。


今度は、今まで乗っていた車を売らねば。


土曜日、夫と3時間かけて車をピカピカに磨き上げた。
『4年間、安全に乗せてくれてありがとう。優しいオーナーさんのところに行きますように』
そう祈りながら。

日曜日の早朝6時、夫がクレイグリスト(なんでも掲示板みたいなもの)に車の情報を載せた。
3時間後、最初の人から電話がきた。
すぐに見に行きたいが、教会に行くので4時ごろになるがいいか、と言う。
名前を聞くと、

マイケル

だという。マイケルMichaelはミカエルとも読めて、大天使ミカエルと同じ名前。
だからそれを聞いたとき、この人に売ることになるだろうと思った。


その日はお昼に友人と約束があり、夜は別の人の家に夕食に招待されていて、せわしない感じだったが、その合間を縫って、買った車の合鍵(チップいりの)を作る必要があった。
ホームセンター的な店で作れるはずが、3か所回っても、その車種のチップが在庫切れで作れない。
ネットで調べて、個人でやっているロックスミス(合鍵や)に連絡し、アラモアナショッピングセンターの駐車場で会うことになった。

バンで乗りつけてきたのは長髪痩身の白人で、私の顔を見るなり「コンニチハ」と言って真っ白い歯を見せて笑った。
奥さんが日本人で、静岡県に2年ぐらい住んでいたことがあるそうだ。静岡は私のふるさと。
夫とサーフィンの話で盛り上がりながら、バンの中にしつらえた作業台で鍵を作っていく。
帰り際、名前を聞くと

ラファエル

と言うので鳥肌がたった。ラファエルも大天使の一人。


前の車には既に4,5件の問い合わせがあったけれど、マイケルと会うまではすべてを保留にした。
夕方、車を見にきたマイケルは、陽気なフィリピン人。
フィリピンから両親を呼び寄せたので、彼らのために車が欲しいのだそうだ。
フィリピンを発つときに、お餞別として親戚や友人らからもらったお金に少し足して車の代金に充てたいのだが、こちらの提示する金額には30万円ほど足りないのだと言って現金を見せた。
夫は、マイケルが持ってきた金額で車を売った。

「みんなが門出を祝ってくれたハッピーなお金だから、僕も車もハッピーだよ」

朝、投稿して、夕方売れた。
2人の天使が現れた話。




やりたいか。楽しい気持ちになるか。

2023-03-14 18:02:15 | 日記
「お題」の続き。


次のお題は、またギャラリーがらみで、前述とは別のギャラリーのオーナー(女性)とのやり取り。
そのギャラリーはこの島でも老舗で名が知れている。たいていのギャラリーのオーナーは、店にいる従業員のトップにある程度の権限を与えているのだが、ここは何をするにしろ、オーナーの許可がいる。
しかも、このオーナー、メールで問い合わせをしてもなかなか返事が来ない。
向こうから何かを頼むとき以外は、同じメールを何度も送らねばならないのだ。

先日、オーナーからメールがあった。

『他のギャラリーのサイトをみていたら、〇〇ギャラリーにすばらしいあなたのオリジナル作品があるじゃないの!何かうちに持ってこれるオリジナルはあるかしら?』

今出せるものの写真を2つ送り、現在制作中のものがあることを添えて返信したら、添付した作品に対する返事はなく、『現在制作中のものが出来上がるのを楽しみにしてるわ』と来た。
作品が完成してから、写真を送った。1回目、返事こず。同じメールを再び送り、きた返信がこれだ。


『明日、ジェイとデビーが店に出る日で、彼らなら今週どんな作品が入荷するかわかっているから。
追伸:これと、〇〇ギャラリーのオリジナル作品とトレードできるかしら?


前半の意味は不明。ジェイとデビーにわかっていることなら、オーナーだってわかっているはずじゃないか。
追伸部分は、ようするに私が送った新作は気に入らないので、他のギャラリーにある何かと交換したい、ということだ。

作品が気に入らないのは別にかまわない。けれど、それを他のギャラリーに既に収めてある作品と取り換えろ、というのはちょっと失礼じゃないか、と思った。
それでも二日考えて、余計なことは一切言わず、

「〇〇ギャラリーの、どのオリジナル作品が目に留まったのですか?」

とだけ書いて送った。
トレードはしないけれど、どの作品が気に入ったのかわかれば、それに似たものを新たに制作してもいいという気持ちで、私としては譲歩したつもりだ。
それなのに、返事がこない。
2回目を送って、それにも一切返事がこない。
トレードできないか、と聞いてきたのは向こうなのに。


ここで私は考えた。


老舗で、島1番といわれているギャラリーに作品をおけることは名誉なことだと思う。実際、マイクは何度も断られていて、いまだに置けていない。
そう思って、オーナーとのやり取りで感じてきたモヤモヤを我慢してきたのだけれど、果たしてそれでいいのか??と。

亡くなった母が夢の中で伝えてくれたメッセージが思い浮かぶ。
『死んでから持っていけるものは’経験’だけ。1日1日を楽しく過ごして、楽しい経験をたくさん集めて生きてね』


自分にとって、心が楽しくないことを我慢するのは、もうやめよう。
私に残された時間を思うと、すんなりいかないこと、気持ちがギザギザすることに費やすのはもったいない。
それより、楽しいことをやろう。
どうも私は、「べき」とか、「しなくてはならない」とか言い過ぎる。
これからはそう言いたくなったら、『やりたいか、楽しい気持ちになるか』を自分の胸に聞こう。

私のオリジナル作品を多数おいているギャラリーは、自宅から車で5分、ラティーシャとはツーカーの仲、嫌な思いをすることが全くない。
そして、そこも田舎にあるとはいえ、品揃えでみれば島1番という人たちもいる。
そこに作品を置いてもらえることに、私はもっともっと感謝しよう。
返事の来ない老舗のギャラリーには、プリントしたものだけを補充して、もしオリジナル作品が「余ったら」、画像を送ってみてもいい。
以前の私なら3回目のメールを送ったと思うけど、もう3回目はナシだ。


二つ目のお題で私が出した答えは、たぶんあってるような気がする。








お題

2023-03-14 07:50:14 | 日記
これが私と開き直らずに、懐の深い人間になろう、と決めた。(その記事はコチラ
何かを決めたら、それに関するお試し問題がやってくる、というのは誰にも平等な宇宙の法則で、私にもいくつかのお試し問題が降って来た。
懐の深さを測るといっても、たいした練習問題ではないが、これに合格しないと、もっと面倒な問題がやってくるのを知っているので慎重になる。


あるギャラリーに立ち寄ったとき、ラティーシャと話しているところへナタリーが入って来た。
「この、バイオなんだけどね」
作品の裏には、作者の簡単な略歴やらストーリーを記した文章がついていて、それをバイオという。
私も、6年前ぐらいのほぼ詐欺のような顔写真とともに、絵を始めたきっかけやらコラージュのことなどを書いた文章をつけてある。

「11か所、間違いがあるの」

私の作品の裏のバイオを指さして、言った。
そしてその間違いをひとつずつ説明してくれるのだが、11か所のうち9か所は、ピリオドのあとに一文字分のスペースがない、というもので、あとはFORでもいいがONのほうがしっくりくるという前置詞と、カッコでくくる時のカッコの選び方だ。
それは夫に添削してもらってから印刷したものだし、6年以上誰にも指摘されたことはない。
「Who care?(誰が気にするってのさ)」と胃のあたりまで出かかって、飲み込んだ。
ナタリーは、添削したのをメールで送ってくれるという。

「まーそれは親切にありがとう。実はバイオをたくさん刷ったばかりだから、次のときに使わせてもらうね」

ナタリーは嬉しそうな顔をして、
「よかった。私、こういうのって我慢できないタチなの」
ナタリーが去ったあと、ラティーシャがクチパクで
「完・璧・主・義・者」
と言って舌を出した。

最初の練習問題の解答は、果たして正解だったろうか。


次に来たお題は、次回に。








手放して、よかったこと

2023-03-10 08:00:31 | 絵とか、いろいろ
私の、あるオリジナル作品を欲しいというお客様がいて、それは手元に置いておきたかったけれど、
他界した父が残した何百枚という油絵キャンバスの山を思い出し、売ることにした。(その記事はコチラ

数日後、ギャラリーのラティーシャから連絡があった。
その作品を買ってくださったお客様が大変喜んで、私にギフトを置いていったという。
アーティストには手放したくない作品というのがあって、これもたぶんその一つだと思う、というようなことをお客様に説明したらしい。

「こんなことはね、滅多にないのよ。よほどうれしかったのね」

ギャラリーに寄って、そのギフトを受け取った。白い封筒に入っていたのは、レストラン「ハレイワジョーズ」のギフトカード200ドル分。
ハレイワジョーズこそ、店内からその作品の景色が見える場所であり、だから気をきかせてくれたのかなと思った。
すると、ギャラリーで働くナタリーが言った。

「この人たちは、ここのガーデンのオーナーなのよ」

なんと!!
ギャラリーには、堂々たる大きさの油絵など、そのガーデンを描いた作品がいくつかある。
それらには目もくれず、プリントしてマットに入れただけの私の作品を見て、気に入ってくれたのだ。
嬉しい×100万倍。

その週末、さっそく夫と二人でお祝いにハレイワジョーズに出かけた。
相変わらずの混雑



テーブル席から見えるガーデン

私の作品



エマのポケ

チャウダーとウェッジサラダ

カルビとマヒマヒ

デザートにはクレームブリュレ

ここのデザートは美味しいけどボリュームがあって、10年前には食べられたけれど、今はもう無理。
クレームブリュレが1番小ぶりなのだが、それでも直径15センチは余裕にある。

店内に私の作品があるかも、と思って探したが、なかった。
もしかしたらレストランと土地のオーナーは別なのかもしれない。
彼らの家のどこかに飾ってあるのだろうか。

こんなに誰かに喜んでもらえるのなら、手放してほんとうによかった。
手放せずに置いてある他の作品も、もしもそれを欲しい人が現れたときには、潔く手放そう。





車を買った、さあ働こう。

2023-03-08 07:36:52 | 日記
おととい、夫の車を買った。
仕事に使うツール類が増えて、今のSUVだと手狭になってきたのと、大きな資材をピックアップするのに、今までは会社の車を借りていたのだけれど、自分の車を使えれば時間のロスがなくなる。
二か月ほど前から、どの車がいいか物色をしていた。
第一条件は日本車であることで、大きすぎないバンタイプがいい。
気に入った車はニッサンで、数年前から製造をしていないもの。
夫が仕事の昼休みに、何の気なしに検索したクレイグリスト(日本のメルカリみたいなもの?)でその車を見つけ、さっそく見に行くことになった。

出品者は個人ではなく会社組織で、ディーラーとは違って、オークションで購入した車を売っているところ。
元気なおっちゃんトムが、

「どうぞどうぞ試乗してきて。1週間ぐらい乗ってたっていいよ」

と言う。
試乗するとき、売主も同乗したりするんじゃないの?
こっちの名前と電話番号ぐらいしか情報がないのに、なんとおおらかな。
15分ぐらい運転して戻ると、

「なんだぁ、もっと乗ってくればよかったのに。もっかい行く?」

いやいや、もう充分。
2018年製で走行距離は3万マイル。
夫は考えて、即決。
その場で小切手を書く。
そう、うちは車は現金買いなのだ。現金で買える車しか買わない、といったほうがいいか。
私の車もそうだったし、これが1番安く買える方法。

思いがけず、大きな買い物をした。
でも、夫は気に入っているし、車の調子もいいし、めでたし。
昨日、銀行に行って、当座から普通口座に車の代金プラスアルファの現金を移してきた。
さあ、また元気に働こうっと。