植物のたくましさを心底実感したのは、1995年の阪神・淡路大震災のあとのことでした。
人間が作ったものはビルディングも家も、交通システムも、インフラの仕組みもことごとくダメージを受けたのに、植物は何事もなかったように、春になったら小さな芽を地中から伸ばし、ツバキの花などは、例年よりきれいに大きく咲いたほどです。
4月、遊歩道のサクラは咲き、5月、新緑もいつも通りでした。
どんなに地球が暑くなろうと、私の大好きなフヨウは炎天下でも、毎年ピンクの薄い花びらを広げます。
そんなこんなで、私は植物にとっても興味があります。
花を育てたり、花壇を設えたりするような元気と根気はないので、もっぱらその出自や性格や特技^^を知っておきたくなります。
この、『アジサイはなぜ葉にアルミ毒をためるのか』は樹木19種の個性と生き残り戦略という副題がついています。
樹木はただ突っ立てるだけじゃないんです。もちろん草花もですけど。
この本に取り上げられている19本の樹木と見出しです。
ネムノキ:働くために眠る、サザンカ:春に咲かない謎、ガクアジサイ:毒を捨てる技、ヤマグルマ:変わり者の魅力、ドロノキ:攪乱の歴史を伝える、ヤマツツジ:火の島が生んだツツジ、ミヤマハンノキ:破壊を創造に変える、ズミ:支えるために生きる、ウラジロガシ:渓谷を友として、マテバシイ:昭和の夢の跡、カナメモチ:赤くなるのは誰のため?、ハゼノキ:油を売って生き延びる、イスノキ:いつのまにか操られて、モチノキ:姿かたちはつくられるもの、アカエゾマツ:奇跡を生んだ忍耐力、ウラジロモミ:大きな大地に助けられて、ホルトノキ:危機に瀕する名木、エゾマツ:大地にうごめく見えざる力、トドマツ:死が支えている生命 (築地書館のHPからコピーしました)
それぞれ特徴をもった樹木です。
ホルトノキの項にこんな逸話が書かれていました。
・・・相模湾に面した神奈川県の大磯町に、町の天然記念物に指定されている大きなホルトノキがある。樹齢300年ともいわれる古木だ。この木は神社仏閣ではなく、民家の庭にある。その土地は、かつてバブルの時代に売られることになり、ホルトノキも伐採されそうになった。それを近くに住んでいる女性画家が私財を投じて土地ごと買い取り、伐採を免れたという逸話がある。・・・
この女性画家というのは、私の気になるおばさん^^の一人、画家の堀文子さんです。
堀さんは今年99歳、70代でブルーポピーを見にヒマラヤ行ったり、イタリアに5年間暮らしたり、77歳でアマゾンに出かけたり、行動力を年齢を理由に制止しないかたです。
婦人之友のバックナンバーの堀文子さんを交えた鼎談の記事に、こんな発言がありました。
「私は生物のなかで、植物を一番尊敬しますね。もの言いませんけれど、永久に生きてるんですよ、自力で。・・・(略)・・・」
植物は偉大です。