植物好き、三浦しをん好きの私としては、はずせない1冊。
国語辞典の編集者を主人公にした『舟を編む』で、2012年の本屋大賞を受賞した三浦しをんさん。
この作品は作家としては初めてとなる日本植物学会特別賞を受賞しています。
ただ植物といっても、私はきれいに咲いてる花々を見て歩くのが好きなだけだけれど、登場してくる植物学専攻の大学院生や研究室の面々は、花や葉っぱをDNAのレベルま解析していくのです。
その研究の実験対象となるのがシロイヌナズナ。
大学院生の主人公は大学近くの洋食屋で修業中の若者にこう説明します。
「道に生えてても目を止めないような、地味な草です。でも、『モデル生物』といって、植物学ではとってもメジャーなんですよ。すぐに成長して種が採れるし、ゲノムがすべて解読されているし、『この遺伝子をいじると、こういう変異株ができる』ということもわかっているので、実験で扱いやすいんです」
そして、その実験の手法も、実に事細かに表現されています。
私の知らなかった植物の世界ですが、シロイヌナズナをまず一番にネットで検索したのは言うまでもありません。小さな白い道端の花でした。
この若い研究者本村紗英を若者藤丸陽太は好ましく思って、告白します。それも2回も。
その都度、研究者は植物のほうを選びます。
まあ、なんともったいない、と思うほど好青年なのに・・・。
草食系恋愛小説の名手、三浦しをんと本の帯にありました。
今のところ、2人はその範ちゅうにいることは確かです。
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