最近は短歌も作っていないし、日曜日の朝日歌壇もあまりよく見ていないのですが、なんとか鑑賞しました。
佐佐木幸綱選
山奥の狐ヒャーンと啼くけれど歌の中ではコンコンと啼く 京都市 中尾素子
狐の鳴き声は聞いたことがないのですが、コンコンではないんですね。そういえば鹿野鳴き声もよく歌に詠まれています。タヌキはどんな声出すのかしら?
高野公彦選
麻酔なくスマホのライトにメス握る医師の腕には包帯巻かれ 中津市 瀬口美子
歯医者にてオフコースの曲流れ来て昔を旅する口開けたまま 京都市 赤見坂千春
一首目は馬場あき子さんも選んでいます。ガザの病院の光景です。爆撃を受けて停電している中での医療活動、医師自身もけがをしているのです。スマホの明かりを頼りに手術していますが、そのスマホだって、充電できなければもう使えない。こんな世界があっていいのでしょうか?パレスチナの人たちがすべてハマスではないはずなのに。もちろんテロは絶対に許されることではないけれど、イスラエルのあまりに非人道的な行為は許せません。自分たちがうけたジェノサイドを、今そうしているという実感はないのでしょうか?同じ医療の話でも、こちら日本はなんとも穏やか。懐かしい曲を聴いて当時を思い出しながら、歯の治療を受けているのです。私も、3か月に一度、歯周病のチェックと歯のクリーニングを受けていますが、その時は目をつむって海外のリゾート地の海を思い浮かべてやり過ごしています。
永田和宏選
二対一これが我が家の民主主義妻と娘がいつも勝つんだ 郡山市 寺田秀雄
ちょっとかわいそう。でもきっとやさしい夫であり父なのでしょう。
馬場あき子選
瓦礫の山にポツンと残る観覧車ガザにはもう乗る親子なし 京都市 森谷弘志
これもガザ攻撃の光景です。あまりにも残酷。平和な日常が壊された象徴のような観覧車。ユーミンの歌にも「かんらん車」という曲があります。冬のかんらん車。