若い人からお年寄りまで客層は幅広く、8割くらい、席が埋まりました。今回はドキュメンタリー特集の一環としての上映なので、館内は関連の作品展やらクッキー販売など、いつもとは違った雰囲気でした。
映画は、大牟田の三池炭鉱のいまと昔を丁寧に描いた作品で、炭鉱のことを知らない私にもわかりやすいものでしたし、何より、明治期からの歴史ある炭鉱、戦前戦後の昭和の歴史そのもののような気がしました。特に、全く知らなかった三池争議は、貴重な証言を集めていました。
閉山となった三池の現在、大牟田市の模索、現実的な問題も山積みですが、3年かけて予算を獲得してこのドキュメンタリーを制作したという市の協力は大きかったことでしょう。今現在生活している人たちの未来への希望も含めて、制作されたものだと思います。簡単に「負の遺産」と言い切ってしまうわけにはいかない、「これから」のこと。新しい「地方の時代」への布石になってほしいです。
そして、こういうものをきちんと作ってみんなが見なくては、日本の戦後は終わらないのだと思いました。第2次世界大戦での捕虜を強制労働させたり、朝鮮半島や中国からも強制的に徴用したりした事実を、私はあまり知りませんでした。人道的にも、その歴史の事実をもっと検証しなくてはいけないはずです。
父が持っていた写真集に、土門拳の「筑豊のこどもたち」という、1960年発行(なんと100円!)のパトリア書店の写真集がありました。まさに、この炭鉱の世界でした。この写真集も、貴重なものですね。
知ることは大事なことです。ぜひ、多くの人に興味を持ってほしいものです。下高井戸シネマでは今日が最後でしたが、ポレポレ東中野では5月まで上映しています。日本の現代史を自分の目で確かめられる貴重な教材です。日本全国で上映してほしいですね。