佐佐木幸綱選
打ち上げ場囲む沼辺に蒲繁り花火大会今年も中止 浜松市 桜井雅子
公園のラジオ体操会場に集ふ子供は昔の子ども 戸田市 蜂巣幸彦
一首目、去年も今年も花火大会は中止になっています、コロナ禍で。昨夜はBSプレミアムで2019年の長岡花火大会の放送を見ました。花火師さんたちも本当に大変な思いをしています。なんとか、伝統をつないでほしいと切に願います。もともと、隅田川の花火も鎮魂のためのものでした。コロナ禍の鎮魂で、また花火をあげてもらいたいです。二首目、けっこうなシルバーの人たちが(昔の子どもたち)集まってラジオ体操をしているんですね、光景が目に浮かびます。あのラジオ体操も、真剣にやると本当にいい運動になります。この猛暑で、ちょっとの運動でも汗がどっと流れて、やる気が出ません。そうそう、今日は久しぶりにラジオを聴きました。午後1時から東京FMで稲村ジェーンのラジオドラマがあったので。夏はサザンですよねえ、楽しかったです。
高野公彦選
うちにきてよかったやろと語りかけ犬逝きて知るよかったのは我 丸亀市 秋山行信
隈さんの空席目立たぬ椅子の色皮肉にもコロナで役立てり 船橋市 佐々木美彌子
熊が出た手話ニュースする女性アナ表情ゆたかで怖さ十分 東大和市 弦間政秋
一首目、これを読んだだけで涙が出ます。そうなんです、本当に。私も生涯で看取ったペットのことを思い出してしまいました。ペットはかけがえのない家族ですから。二首目、国立競技場のあの椅子、確かに無観客でも気になりませんよね、だれかが座っているようなんですから。そして三首目、本物のクマさん登場ですが、手話ニュースの面白さ(失礼ですよね、ごめんなさい)がよくわかる歌です。でも、コロナ禍で、普段はマスクしての手話だとしたら難しいですよね、早くコロナが収束してほしいものです。
永田和宏選
「オリンピック観るくらいなら眠りたい」現場の激務を語る看護師 観音寺市 篠原俊則
セミの声カエルの声に鳥の声 人の声だけしないあの町 南相馬市 佐藤隆貴
一首目、医療現場は去年の初めからずーっと大変な思いをしてきて、散々医療崩壊するから対策をと言ってきたのに、国や東京都の対策は遅すぎます。本当に頭が下がります。オリンピックどころじゃないのに、パラでもまたバッハ会長が来日してるんですよ、信じられない厚顔無恥。二首目、10年経っても復興どころじゃない現実があります。被災地の人たちの短歌を、私たちはいつも待っています。
馬場あき子選
「ママ、ママ」と呼んだのだろうか炎天のバスに閉じ込められた園児は 観音寺市 篠原俊則
悲惨な事故でした。でも、本当に事故だったのでしょうか?この猛暑の時期は普段以上に神経を使うべきなのに。こんなことで愛児を失った両親が気の毒でなりません。未来があったはずなのに、命を絶たれた悔しさ、想像するのも苦しくなります。ご冥福を祈ります。今回は、観音寺市の篠原さんの歌を二つ、注目しました。私もたまに歌壇に送っているのですが、一度も選ばれません。まだまだ修行が足りませんね。