先日、都響のコンサートでモーツァルトのドンジョバンニやフィガロの結婚序曲を聴いたので、映画アマデウスを見たくなりました。さっそく、ゲオレンタルで注文し、今日の午前11時から態勢を整えて、しっかり見ました。
昔、映画館で見たときは相当感激したものでした。今はといえばちょっと複雑です。日本の封切は1985年というから、多分その時に見たんだと思うので40年近く昔ということになります。結婚した後で、夫とその友人と見たのかなあ・・。
もちろん映画ですから、フィクションです。モーツァルトがそこまでアルコール依存症的な生活をしていたら、あんなに多くの曲は作れなかったはずです。映画には出てこなかった交響曲や弦楽四重奏曲、たくさんあるじゃないですか。たしかに、生活は不安定だったと思います。当時、宮廷などの後ろ盾がなければなかなか経済的な自立は難しかった社会です。モーツァルトのあとのベートーヴェンが、やっと職業音楽家として自立できたんだと思います。
私はあの映画のあとに、弦楽四重奏団や弦楽合奏団でヴィオラを弾きました。その中でモーツァルトの曲を一番多く弾いたと思います。もちろん、バッハが大好きです。そして、モーツァルトはとても身近に感じていました。ベートーヴェンは、難しくてとてもたどり着けませんでしたし、ブラームスもそう。だからといって、モーツァルトが簡単だというわけではありません。音楽の神に選ばれた、それこそ映画アマデウスのようなのです。
朝6時放送が1時間早くなって5時からの放送となった古楽の楽しみを、目が覚めたときにNHKFMで聴いていますが、いつだったか、バロック後期の作曲家の演奏で、あまりに凡庸で呆れたものがありました。いっちゃんだけど、サリエリみたいな?
それぞれの人生もそうです。でも、凡庸なのが普通なのです。私も、音楽の才能がないのに、アマチュアだから弦楽器にしがみついていましたが、それでもバッハやモーツァルトの曲に出会えて、それだけでも幸せだと思います。凡庸で十分なのです。天才とか、本当に才能がある人は、魂を削って生きていますから、とても真似できません。
モーツァルトの奥さんが悪妻だったという風説がありますが、そんなことはなかったと思いますよ。毎年のように出産してはすぐになくなり、6人かなあ、産んだうちの二人だけが成人したのですよ。昔はそういう時代でした。モーツァルトの死後、再婚して彼の借金を返済したそうです。とても悪妻なんて言えませんよね。
昔、この映画を見たときはとても感動したのですが、今となっては、モーツァルトを知ったせいか、「違うだろ」的なところも目について、感動も少なかったのは、ちょっと悲しい。本当のことはなかなかわからないものです。それでも、今も彼の曲を聴くことが出来る、それで十分なのかもしれません。振動を言われて欧州を父に連れられて旅をして、常に馬車に揺られていた成長期、それは体に悪影響はあるでしょう。彼が30代でなくなったのも、そのせいかもしれません。子どもの頃にその才能の生で父親に見世物的に連れまわされたことは、想像するに、トラウマとか精神的に影響はあったはずです。もちろん、父のレオポルドはとてもいい音楽教育者ではあったのですが・・。
洋の東西をとわず、家族というのは複雑怪奇です。関心がなくてもあっても、子どもへの影響が強い。ネグレクトでもなく、毒親でもなくというのは難しいのでしょうか。私は両親ともに30代で亡くしています。こんなことを言っては申し訳ないけれど、早く亡くなってよかったのかもしれませんね。
今の社会ではもう、昔の理想の家族というのはほとんどないのではないかしら。だから、一家の大黒柱も昔の話だし。離婚だって相当あるでしょう。もちろん、結婚生活を我慢することはないのです。お互いに尊重されない関係なら、持続不可能でしょう。それでも、子どもの将来はしっかり考えてもらいたいものです。
日本という国は、子どもの未来を疎かにしていますよね。死ぬかもしれない高齢者にばかり気を使っていて、教育にお金を使っていません。奨学金で若いうちに借金を背負わせるのは間違っています。国が面倒見なくてどうするの?防衛費を減らしてでも、教育にお金を使うべきです。大学にもです。このままでは、研究者は日本から離れていき、ノーベル賞は日本人は取れなくなります。長期的な研究ができない日本に未来はないでしょう。この国は、もうどうしようもないですね。安倍元総理の国葬をやっている場合じゃないのに!ああ、情けない。
そうそう、私は夫と折半で本郷のアカデミアミュージックでベーレンライター社の新モーツァルト全集を買ったのは、多摩ニュータウンの賃貸団地に住んでいた時でした。その後、八王子に引っ越した時も持っていき、カルテットの練習の時にはスコアをコピーしてとても重宝していました。夫が亡くなってから、赤い表紙の全集は全部、知り合いのアマチュア楽団員のご夫婦に引き取ってもらいました。
こっちに引っ越したらとてもじゃないけれど、置く場所がないですものね。いろいろ整理できてよかったです。そのうち、物を整理できなくなるかもしれないと思うと、恐ろしいです。新聞だって、たまる一方ですから。もう、一度読んだら諦めて処分しましょう。本だって、図書館で借りればいいのだし。DVDもこうやってレンタルすればいい。