ハッチがいた日常

夫は病死、仕事も辞めて被災猫ハッチと暮らしたけれど、10年で終わってしまった。これからは本当の一人暮らしの日々。

朝日歌壇12月18日

2022年12月18日 21時38分17秒 | 短歌

馬場あき子選

満員の電車来たりて背のリュックくるりと前に回すひとたち  東京都 渋谷敬子

ぬばたまの星空走りひた走り天王星は月のピアスに      広島市 楯田順子

 一首目、私は普段からリュックを前にしています。お腹が隠れるし、冬は暖かいし。満員電車では、背中にあると、周りに迷惑をかけてしまいます。みなさん、前に回しているんですね。一斉に回す感じが面白いです。二首目、先日の皆既月食で、天王星が見えていたそうですが、肉眼では難しいのでは?知人が撮った写真を見せてもらいました。ほんの小さな、これが天王星?と思いましたが、ピアスというのは素敵な表現です。

佐佐木幸綱選

「しっかりと」「きちんと」「真摯に」普段からせぬ人なのか殊更に言う 登米市 菅原小夜子

『床スベリますご注意!』と貼ってあるラーメン店へ命がけで行く    延岡市 片伯部りつ子

 一首目、首相の言葉が本当に軽いものになってしまっていて、何も信じられなくなっていますよね。こんな国家でいいのでしょうか?全然説明責任果たさない内閣が、いつから続いていましたっけ?それも忘れてしまうほど、この国の政治への不信は根深いです。議員さんたち、わかってますか?二首目、そりゃ怖いですね。命がけで食べるラーメンを想像すると、なんだかおかしい。食べ終わってからも気を緩めることなく、店を出ないと・・・。

高野公彦選

わたしにはわたしの海があることを涙の味が教えてくれた        吹田市 赤松みなみ

夕飯は「アルモンデ」という料理よと冷蔵庫開け妻笑い言う       春日部市 前川秀樹

 寺山修司の短詩「なみだは/にんげんのつくることのできる/一ばん小さな/海です」から生まれた短歌です。涙を海とたとえるのが秀逸。すてきですね。二首目、最近結構聞くようになった「アルモンデ料理」。そうこなくっちゃです。値上げラッシュで買い物も控えたくなりましたもの。

永田和宏選

「ねぇ、マコト」の二語に込めたる幾千の亡妻(つま)の心のひだ未解析 仙台市 二瓶真

日韓の首脳の挨拶通訳が本人よりも頭を下げる       観音寺市 篠原俊則

 一首目、切ないですねえ。男性はけっこう女性の心の内を理解していない人が多い。攻め重話だけは聞いてあげてと言いたいです。二首目、そうだったんですね。やはり、それぞれプライドがあるから、相手よりも頭を下げないとか、これって、まるでコメディー。共に手を取り、旧統一教会や北朝鮮のミサイルについて、いろいろ話をしなくては。

コメント (2)
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