『インカは凄い 1(インカ オリャンタイタンボの6枚屏風岩)』
ー80トンの巨石を330mの高さで切り出し、降ろし150mの丘に上げたー
世界中の著名な、先生方も、この16世紀に構築されたインカオリャンタイタンボの遺跡について、石の切り出し・運搬・構築方法に関して全く推測さえしていない。 今回は、ウェブ情報チェックでは限界でした。
写真(1)、15世紀構築のインカオリャンタイタンボの6枚屏風岩
6枚中最大のものは、高さ4m、幅2.5m、厚さ平均1m、重さ約80トン。
日本にもある石舞台(7世紀、時間差は約1,000年)には、77トンと60トンの天井石が載せられていますが、全く加工はされておらず、無垢の自然石です。
ユーラシアとその諸島、英国・日本等の巨大な石を使った遺跡は、ある程度、切り出し・運搬・構築方法は、推測できるし、一部には痕跡もある。 このインカオリャンタイタンボの6枚屏風岩遺跡を含む、精緻に加工されたインカの遺跡には、殆どその痕跡がない。 先ずはウェブ情報です。
一番近くの花崗岩の石切り場は、直線距離で10キロ、実際の運搬距離では少なくとも15キロ離れた川(*)向こうにある。
(*)ウルバンバ川支流のパタカンチャ川の流れ込む谷間
6枚屛風岩のある地点は150mほどの高さ。 花崗岩の石切り場のある地点は330mほどの高さ。 つまり、6枚屏風岩の建造者は80トンもの重量のある巨石を330mの高さの山上で切り出し、一度山の麓まで降ろし15キロもの距離を運ぶ途中で、川を渡らせ、再び、150mもの丘の上に上げたことになる。
50トン以上の石6枚を切り出し・運び・並べて建てるのは不可能に近く、機械を使わずに、どのようにしてこれを作ったのかは解明されていない。インカ帝国には、巨大な石を使った遺跡が数多く残されており、その加工技術も謎のままで、石の表面が非常になめらかに加工されているものが多い。
写真(2) 写真(1)の右から一番目と二番目のつなぎ目
このつなぎ目は『サネハギ(実矧ぎ)式』に見えるが、『ホゾサシ(枘差)式』。
私見です。 鉄製工具がなく、石製・青銅製工具で写真(3)に見えるホゾ突起造りより、ホゾ穴堀の方が難しく、このつなぎ目の石で、ホゾ穴堀加工で失敗したときに、新規に造り直しが出来るようにした。 この石板でなら百数十キロであり、比較的容易に、新規に造り直しができる。 つまり数十トンの巨石での、ホゾ穴堀加工の『オシャカ』対応をしないで済む。
写真(3) ホゾサシ(枘差)のホゾ突起が見えている。
木材・石材などをつなぐとき、一方の側面に作った ホゾ突起で、反対側のホゾ穴に嵌める。
どちらも木造建築で発達した技術で、英国のストーンヘンジは、横石はただ乗せただけではなく、立石と横石は凹凸の組み合わせで接合されており『ホゾサシ(枘差)式』。 一部の横石どうしは、溝では継ぎ合わされている『サネハギ(実矧ぎ)式』。
それらは、石に利用された木工技術で、昔、英国は針葉樹林帯であった。 インカには、大型木造建築技術があったかどうかは不明で、突然、巨石建築に『ホゾサシ(枘差)式』技術が、使われた可能性がある。
ストーンヘンジ遺跡とオリャンタイタンボ遺跡には、仕上がり面での大差は、ありますが、その時間差は約3,500年です。 インカの巨石加工技術と運搬技術は、今後『調べ甲斐』がありそうです。
(20181229 纏め #045)
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