原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

荒川静香的快進撃

2008年11月26日 | 自己実現
 荒川静香氏といえば、皆さんもご存知のように2006年にトリノ五輪女子フィギュアスケート種目で金メダルを獲得した後、その直後にプロに転向して現在アイススケーターとして活躍中の女性である。

 私は特にアイススケーターとしての荒川静香氏のファンという訳ではない。いや、クラシックバレエ公演を観賞する趣味のある私は、一度アイススケートショーというものを観に行きたい気持ちは大いにある。だが残念ながら、今のところまだ彼女のショーを観せていただいたことはない。

 ファンという訳ではないのだが、私は荒川静香氏がトリノ五輪で金メダルを取得した直後から彼女の生き様に惹かれている。

 本ブログの時事論評カテゴリーのバックナンバー「高橋尚子と荒川静香」でも既述しているが、“クールビューティ”荒川静香氏の印象はまさに一貫して“クール”である。決して周囲に媚びることなく、いつ見ても研ぎ澄まされた表情をして“軽率な”マスメディアのインタビュー等に対しても一貫して論理的な受け答えを難なくこなす。確固とした自己を確立していることを一見にして見て取れる人物である。
 トリノ五輪での金メダル獲得に関しても、彼女自らが論理的に計算し尽くした結果であったらしい。点数競技であるフィギュアスケートで勝つための要素を事細かく分析し、それを練習により完璧にマスターした上での金メダルだったと見聞している。
 金メダル後のプロスケーターへの転向に関しても何の迷いもなく、五輪メダリストがよく醜態を晒すような“再びのメダル獲得への未練たらしさ”のかけらもない鮮やかな転身劇であった。


 さてこの荒川静香氏であるが、報道によると、昨年1年間で107回のアイススケートショーの公演をこなしたらしい。この数字、バレエ公演観賞が趣味の私にはある程度理解できるのであるが、とてつもなくハードなスケジュールである。やはり、彼女はとてつもなく研ぎ澄まされた精神と肉体を維持し続けている人物には変わりはないようだ。
 荒川氏はこの報道の中で、「オリンピックで金メダルを取ることが最高の喜びではなく、その後にこんな楽しみがあるということを伝える場所にしたい」と、アイススケートショーへの意気込みを語っている。今までのメダリストにはない超越したコメントである。
 (そう言えば、つい最近の北京オリンピックで金メダルを獲得した柔道の石井選手とやらも、きっぱり柔道はやめて他のプロ競技に転向するらしい。私は事の詳細をまったく把握していないのであるが、今の時代、そういうのも流行りつつあるのだろうか??)
 

 荒川静香氏は、現在まだ27歳の若さで既にご自身の人生の自己プロデュース力を培ってきているところが彼女の魅力であり素晴らしいと私は感じる。やはり、元々並外れた能力の持ち主なのであろう。
 前回の記事中でも少し述べたが、人間が生きていく上で最重要な要素は“達成感”であると私は考えている。私は荒川氏のような才能には元々一切恵まれてはいないのであるが、充実した人生を歩むためには自分の能力に見合った弛まぬ努力と“達成感”を得るための自己のプロデュース力が欠かせないと考え、微力なりにもそれを実行してきているつもりである。


 アスリートにとってのオリンピックという最高の舞台を経験し、とりわけメダルを獲得したトップアスリートにとっては、オリンピックへの郷愁や思い入れが強いことは理解できる。ただ、人間の長い人生において、まさか金メダルのみが最高の喜びではないことは明白な事実であろう。時代は過ぎ去るものである。気持ちを切り替え、自己のあるべき将来に思いを馳せ、再び訪れる未来に向かい努力できる人間こそが真の喜びを掴み取れるのではなかろうか。

 過去の栄光や実体のない人気に依存することなく、荒川静香氏のように常に自己を見つめ、今ある能力に見合った可能性に挑戦し続ける人生でありたいものだ。
     
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