原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

国会議員って、なったモン勝ち?

2009年09月13日 | 仕事・就職
 8月末の衆議院選挙で民主党が圧勝し、多くの若手新人議員が誕生した。

 大変失礼な言い方ではあるが、“猫も杓子も”国会議員になってしまったような感覚がある。
 その若さで、その人生経験の浅さで、どのようなすばらしい政治手腕や専門能力や国民のリーダーとしてのキャパシティの大きさをお持ちなのか、今後とくとお手並み拝見、といったところである。

 とにもかくにも選挙で当選した(してしまった)以上、あなた達が受け取る高額の報酬(推定年収約3,500万円也!)が更なる財源の無駄となって国を潰すことのないよう、最大限の努力をして欲しいものである。


 そもそもこの新人議員達が如何なる経緯で衆議院議員に立候補するに至ったのか、その辺を知りたい私である。

 国会議員の職務と言えば、立法、行政の統治であるが、これは高度の専門知識、能力を要する職種であると判断できる。
 例えば、一般の高度専門職種(弁護士、医師等々)の場合、まずは国家試験を受験して資格を取得し何年かの専門研修を終えた後に、就職試験を受けたりあるいは独立して初めてその職に就くことが可能となる。 ここに至るまでには長い年月を要する超難関の道程である。
 片や、国会議員になるためには選挙で当選する必要があるとは言えども、当選しさえすれば何の資格も経験も問われず、いきなり国会議員としてまかり通ってしまうのがその特徴である。
 そこで“猫も杓子”も選挙戦に立候補するという運びとなる訳だ。

 今回の衆議院選で当選した民主党1年生新人議員のこれまでの職業を調べてみると、まず官僚経験者がやはり多いのに加えて、市長経験者、元検事… この辺に関しては、専門知識という点ではある程度満たされているのかもしれない。
 その他の職業としては、元NGO代表、薬害訴訟原告団代表、大学教員、民間企業取締役、歯科医、元テレビ局社員(元大臣経験者の孫)、元アナウンサー、元DJ、そして今話題のヌードDVD出演経験もあるという元派遣社員……   これら政治家としての専門能力の程が不明な当選者達の共通項は、程度の差はあれども選挙以前より一応名前が売れていた、というところにあろう。

 そして、これらの人々が如何なる経緯で選挙戦に立候補するに至ったのかといえば、小沢氏との「縁故」であるらしく、俗世間では“小沢チルドレン”と既に名付けられているようだ。しかもこの“チルドレン”達は、国会の控え室も小沢氏と隣接して位置し“小沢ハーレム”を形成するとのことらしい。
 「縁故」ねえ…… 
 「世襲」よりはましなのかもしれないが、結局「世襲」とさほどレベルの差がないと言うよりも、もっとたちが悪そうにも思えるのだが…
 そこで提案なのだが、国会議員への立候補に関しても各政党は事前に何らかの選抜の関門を設けるべきではなかろうか。 今回のように突然圧勝して政権政党となる程の巨大政党が、党内での実質的権力者の訳のわからない「縁故」に頼って立候補者を擁立し、安易にとにかく数を揃えておこうとするのも解せない話である。

 当選した以上は党幹部は新人議員の教育を徹底して、推定年収3,500万円に値する“使い物になる議員”として早急に育成して欲しいものである。


 それにしても、「縁故」があったとはいえ、大した専門能力もなくやすやすと立候補する側の神経もアンビリーバブルである。
 今時、政治家なんて大して魅力的な職業であるとは個人的には思えない。
 やはり、名誉欲か? 特権意識か?  破格に膨大な年収に釣られてしまったのか??(確かに、年収3,500万は誰が考えても魅力的だ。しかも公務員以外は現在の職業との兼業も可能である。上記の歯科医の新人議員はそれを続行しつつ国会議員の職務も果たすと公言しているようだ。)
 だが、仕事とはそれに携わるに相応しい力量があって、その能力を全うできてこそ達成感が得られて喜びや充実感がもたらされ、それが生きていく糧となるものである。 専門能力もないのに「国会議員」の肩書きのみを背負って、それで虚しさを感じないのであろうか??

 それとも、国会議員として何の実績も残せないまま任期1期間のみで次期総選挙(あるいは解散総選挙)で敗北した後、「元国会議員」の肩書きのみは残ることに期待しているのであろうか? それで一生食っていけると計算しているのだろうか?
 時代は大きく変遷している。「元国会議員」の肩書がまかり通るのはほんの短い期間に過ぎないであろう。 これ程までに混沌とした今の世の中において、そんな甘い話は過ぎ去りし昔のノスタルジーでしかない。 
 「元国会議員」の失業者が世に溢れる時代も程遠くない予感さえする。
 
 国会議員がなったモン勝ちだった時代は、既に終焉している。
 それを肝に銘じて、どうか新人議員には誠心誠意を尽くし精進して、任期中果たすべき使命を果たして欲しいものである。
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