原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

最高傑作は “Next One”

2012年01月18日 | 自己実現
 上記の表題は、「喜劇王」との異名を持つイギリス出身の喜劇俳優であり映画監督でもある チャールズ・チャップリン氏 の名言である。

 この言葉を、私は本日(1月18日)昼間、NHKテレビ番組「スタジオパークからこんにちは」にゲスト出演していたアコーディオン奏者 coba氏 のトークの中で聞いた。


 番組の冒頭から、13㎏もあるという見るからに重厚感があって美しいデザイン(フランス製とのことだが)のアコーディオンを抱えてcoba氏は登場した。
 一方、coba氏は横縞模様のTシャツという軽装のいでたちである。 
 そのアンバランスなミスマッチ感が面白いなあと思いつつも、このまま番組を見るかどうか迷っていたら、「後程cobaさんのアコーディオンの生演奏があります。」との司会者の説明である。  音楽好きの私としては是非その生演奏を聴きたいものだ。
 (後にcoba氏のTシャツ軽装スタイルの理由が私なりに理解できたのだが、重量のあるアコーディオンを抱えての演奏は2時間のステージで2㎏体重が減る程ハードであるとの話だ。 バレエ等ダンス公演でも出演者は一ステージで体重が何㎏か減少すると見聞しているが、まさに同様であろうことを重々納得の私である。)

 生演奏はまだかまだかと楽しみにしつつそのままトーク番組を見ていた私なのだが、coba氏のトークがこれまたエネルギッシュである。 司会者など存在せずとて、一人でトーク独演会をしても何時間でも持ちそうな程に coba氏 の口から次々と話が展開していく。

 まず、coba氏が小学生の頃にアコーディオンを始めたきっかけの話が意表を突いた内容で興味深かった。 
 この種のトーク番組によくあるパターンとしては「父(母)も音楽家でした」とくるものだが、coba氏のお父上は純粋なサラリーマンだったらしい。 このお父上がとにかく無類のアコーディオン好きであられたようだが、coba氏曰く「とんでもなく“下手の横好き”で、まるでカラオケで下手な人程マイクを独占したがるのと同様状態を家族の前で披露する日々に、ずっと迷惑していた」との事である。
 そのお父上から小学生の時にアコーディオンを買い与えられたcoba氏は、それを早速修学旅行に持参したようだ。(番組ではその時の写真が紹介された。)  当時アコーディオンが嫌いだったとcoba氏は言いつつ、重いアコーディオンを修学旅行に持参した事実からして、お父上の影響を多大に受けアコーディオンに目覚めた事を物語る素晴らしいエピソードであろう。


 ここで原左都子の私事に移るが、私もアコーディオンには小学6年生の時に初めて触れた。
 元々音楽好きの私は、小さい頃から楽器を嗜む事を大いに好んでいた。 幼稚園児の頃経験したカスタネット、タンバリン、トライアングル等の打楽器やハーモニカ、小学生になってからはリコーダーや鼓笛隊の小太鼓も主体的に楽しく経験している。 
 ところが私は幼少の頃ピアノ等の鍵盤楽器の経験がなかったため、ピアニカやアコーディオンに関してはどうも苦手意識が強かった。  そんな時、音楽の先生から卒業音楽会でアコーディオンを担当するよう私に指示があったのだ。 (当時は生徒本人の立候補制ではなく、教員の判断指示で発表会の担当者が決定するのが慣例だった時代背景である。)

 家には姉が習っていたオルガンはあったものの、アコーディオンに触れるのはその時が初体験だった。
 まず困惑したのは、これが小学生の我が身にはとにかく重いのだ。 
 そして当時の小学校にあったアコーディオンとは片側に鍵盤、もう片側に蛇腹しかない単純な構造だったと記憶しているが、蛇腹操作が想像以上に重たくて難しい…
 鍵盤操作は難無きを得たものの、アコーディオンという楽器とはもう片方の蛇腹操作こそが音量を絶やさぬために重要との認識の下、両手のコラボレーションに幼い私なりに幾日も集中し精進した思い出がある。
 (結局小学生当時何故私が音楽教員からアコーディオン担当に指名されたのかと思い返すに、身長が高くアコーディオンを持って耐える体型だった事と、少しの事ではへこたれない努力家であったとの理由からなのだろう。? )


 アコーディオン奏者であられるcoba氏の生演奏を、その後この番組内で聴くことが叶った原左都子である。

 演奏に際して coba氏曰く、今回NHKの生放送で披露するナンバーとは、ご自身が今まで発表されたアルバムの中で一番売れた何十年前かのヒット曲を“超越したい”との意向で作った楽曲であるらしい。 
 それが、今回の「原左都子エッセイ集」の表題に掲げたチャップリン氏の名言である、「最高傑作とは“Next One"」理念に基づいているとのトークだったのである。

 coba氏は、フィギュアスケーター銅メダリスト高橋大輔氏のバンクーバーオリンピックショートプログラムの楽曲も提供されているとのことだ。
 事前に高橋氏と対等な立場で議論した結果、スケーター本人の高橋氏が演技をし易いバージョンとするべくcoba氏が提供した楽曲を高橋氏自らがカットして使用した、との話も印象的であった。 その演技を観たcoba氏が感じたのは、自分の意向とは異なる楽曲部分を高橋氏が使った演技は実に素晴らしかったと共に、お互いにそれぞれの分野に於いて世界のトップである以上、今後も対等な立場でコラボレーションを続行したいとのトークであった。


 「最高傑作は“Next One”」(次の作品こそが僕の最高傑作だよ!)  実に素晴らしい名言である。

 今日こそ素晴らしい日でありたいと欲しつつ日々暮らしている単なる一庶民の原左都子とて、“Next One”に向かってまだまだ頑張るぞ~~~