原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

「凡人」 とは経済社会に於いて常に愚かな存在なのか?

2012年03月05日 | 時事論評
 (写真は、1ヶ月程前の新聞広告欄で見た女性ファッション雑誌広告内の漫画。 その内容が“くだらなさ過ぎる”ため我が目に留まった。   細かい部分が見辛い点をお詫びするが、要するに、一般女性読者が雑誌のモデル女性を羨ましがりその美しさと行動力に触発されて自身も進化を遂げるべく頑張ろう、との漫画の趣旨のようだ。)


 一凡人でしかあり得ない原左都子自身は、ある程度理性ある経済生活を実行できていると自負している。

 そんな私の場合も決して、生まれ持って人を羨ましがる事など一切ない“我関せず”気質だった訳ではない。 むしろ感受性が強く鋭い私は、人間関係において他者とのバランス感覚や上下関係を探り察知する能力に長けていると自己分析する。  単純な話、対人関係において「これは私の方が負けているぞ」と悟った時には相手に決して気付かれぬよう内面で対抗意識を燃やしたり、あるいは上記漫画のごとく自分より優れた相手を参考にして更に精進しようと志すこともあった。

 我が長い独身時代も佳境に差しかかり、当時の私なりの自己実現達成目標を順調にクリア出来つつあると認識し始めた頃から 「人が羨ましい」 との感覚が薄れていったように思う。
 もちろん今尚参考にするべく優れた人材は我が周囲にごまんと存在し、その方々から大いなるエネルギーを頂きつつの我が人生である。


 さてせっかく掲載した上記の新聞広告写真であるため、“アホ臭さ”を重々承知の上でここで女性雑誌広告の漫画内容を説明しよう。
 この女性ファッション雑誌は元々40代をターゲットとして発刊されているようだが、今回のテーマは 「いろいろと限界を感じる40代 何かに挑戦したいけれどすっかり諦めモード…」 とのことのようだ。
 モデルの42歳T氏は輝くばかりに美しく、読者の羨望を誘っているようだ。 漫画に出てくる一般読者曰く「42歳で子どももいてこれだけキレイって、なんなの!? 恵まれ過ぎ!!」 「(それに比して)この私のくたびれ感。だって一般人の現実の40代はこうよ。」 「どうせ(モデルさんには)家政婦もいてエステ行きまくりで料理とかしてないんでしょ。優雅なモデルさんの生活なんて私達には参考にならないわよ!」 ……
 ところがそのモデル氏の実態とは読者と同じ子持ちであるしダンナは多忙、育児を一人でこなす等日々主婦業に全力投球している模様だ。 読者女性曰く、「T氏も(主婦として)試行錯誤して来たのね… 美容もオシャレも地道な努力をして進化し続ける40代女性なんだ! 諦めたら終わりだわ!私ももっと頑張らなきゃ!!」 との結末のようだ…
 (以上、上記女性雑誌の広告漫画を引用要約)

 
 ここで一旦、原左都子の私論に入ろう。

 この種の女性雑誌とは、実際売れているのだろうか?
 と言うのも私の場合若い頃よりこの手の雑誌にほとんど興味がなく、今現在まで一度足りとて自分で購入した事がないのだ。(美容室や病院の待合室で手にする事はあるが。)
 私の場合お洒落には大いに興味がある。 自身の体型や雰囲気を自己分析してそれを活かすべく日頃のファッションに気遣い、例え近隣のスーパーを訪れる時とて必ずトータルコーディネートを心がけている。  専門家氏より見たらド素人の私のコーディネートは“はずしている”部分もあろうが、お洒落とは自己満足と捉えている私自身はファッション誌になど頼らずとて日々ほぼ満足のファッションライフである。 

 新聞広告欄で見聞するに、10代、20代、30代、40代、50代 と、女性ファッション雑誌は“年齢別”に花盛りの模様だ。
 現在50代後半の原左都子の場合、50代女性対象のファッション誌に関しては(興味はないものの)新聞紙上でその広告が自然と目に入ってくる。  2年程前より50代対象雑誌のモデルとして活躍されている 満田久子氏 に関しては、氏が女優として活躍され始めた若い頃より好意的に捉えさせていただいている。 新聞紙上の広告を見た限りにおいて、満田久子氏のモデルとしてのご活躍も華々しいようだ。  だが、私としては氏にはモデルとしてよりも今後はやはり女優としてご活躍いただきたい思いでもある。

 それにしてもこの種の雑誌が売れているからこそ、大手出版元は毎月デカデカと全国紙に広告を掲載できる現実なのであろう。
 という事は上記漫画の主人公である40代の主婦のごとく、一般女性とは家庭内で子どもを抱えつつこんな雑誌を購入して眺めながら、ウダウダ、悶々と日々暮らしている現実なのであろうか??

 そんな女性(要するに、ファッション雑誌のモデルさんを参考にして活気付くタイプの単細胞女性)が、昨今共に原左都子の周辺には一人として存在しないから不思議である。
 だからこそ、「ほんとにこの類の雑誌が売れてるの?」との疑義を抱かされるのだ。  それにしても今現在、晩婚・高齢出産など珍しくもない事象となっていると心得るが、 そんな今のご時世において、雑誌のモデルに憧れ羨ましく思う40代、50代の女性がこの世に現実に存在するとの設定に疑問を抱く私である。


 この種の雑誌とは、「凡人」を対象として発刊されている事には間違いないのだろう。
 ところが今現在の「凡人」とは既に多様性の幅が大きいことを、出版社は認識できているのだろうか? 

 最後に原左都子に言わせてもらうと、今現在は“馬鹿げた”内容の雑誌も辛うじて売れ行きがよいのかもしれない。  ただ、我が国の現政権の動向を観察してもその先行きの危うさが露出しているごとく、我が国家、国民の今後の行く先など見通しが立たない現実である。
 「凡人」を「凡人」とならしめるべくいつまでも一般市民を愚かな存在と位置付け、低レベル商売を展開しているのでは、今後の我が国の経済社会とは破綻の一途を辿るばかりではあるまいか?