原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

文科省局長受託収賄事件、加点入学の子こそが犠牲者だ

2018年07月05日 | 時事論評
 パラメディカル分野にて国立大学医学部出身者であり、医学業務経験がある私だが。

 現在に至るまで、学業及び医学業務に於いてただの一度も東京医科大学とは接点が無い。
 あるいは医学方面の知り合いを回顧してみても、ただの一人として東京医科大学関係者とも係わりが無い。


 そんな私が一つ思い出すのは、西新宿超高層ビルに我が勤務先だった医学関連民間企業の本社があり、20代終盤頃にそこに1年間通っていた時の出来事だ。
 その日は朝から体調を大幅に崩している(吐き気・下痢・腹痛等々)のを我慢して出勤し、トイレに頻繁に通いつつ仕事に取り組んでいたのだが、夕刻になってどうしても限界を感じた私が上司にその旨訴えると。 
 すぐさま、救急車を呼ぼうとの話となった。  いや、それをされたら職場内で事が大袈裟になる事を恐れた私は、「1人でタクシーに乗って近くの緊急受付センターのある病院へ行きたい」と相談を持ち掛けた。 上司はすぐさま東京西新宿に位置する東京医大病院夜間緊急センターを調べてくれ、タクシーでその場へ急いだ。
 ただその時点で既に、自ら「吐き気・下痢を1日繰り返した事による脱水症状による不具合」と自己診断を下し、水分補給を実行した。 
 実際問題既にフラフラ状態の身体で東京医大夜間救急センターを訪れてみると、そこには若手男性医師が一人で待機しておられた。 自主的水分補給によりフラフラ状態が少し回復した私が、比較的流暢に病状を訴えるのを聞いてくれた後、「急性胃腸症状でしょうが、恐らく大丈夫でしょう」とニコやかに応えられたのが印象的だ。
 投薬一つ成すでもなくその問診のみで“おはらい箱”となった私だが、やはり脱水症状に苛まれていた私はとてもじゃないが電車での帰宅は不能と判断し、タクシーにて帰宅した。
 そのタクシーの中で、(あの東京医大の若手医師、大丈夫かなあ??)なる不安感に苛まれつつも…
 確かに翌日には出勤が叶ったためその判断で正解だったのだろうと、今となっては振り返ったりもするのだが…。

 
 我が東京医科大学との、過去に於ける唯一の接点を語るのが長引いたようだが。
 東京医科大学とは、現在に於いては入試難関の私立医科大学であるらしい。
 朝日新聞本日2018.07.05付記事によると。
 同大学は1916年設立の医学系大学で、医学科と看護学科がある。 全国に31ある医学科を持つ私立大学の中で、東京医科大学の難易度は上位に次ぐレベル。 国立工学部に合格する以上の学力が必要で狭き門。 今回の文科省局長逮捕を受けて、同大4年の学生は「あり得ない。3浪、4浪している人もいて頑張っている人がほとんどなのに、腹立たしい。」と話しているようだ。
 (以上、朝日新聞記事より一部を引用したもの。)

 一旦、手短に私見だが。
 へえ、私立医学部が難関とは言えども、その偏差値とは「国立工学部」よりちょっと上程度なのねえ…。
という事はやはり私立医学部とは、真面目に受験しても数千万円との学費を納めねば入学し得ない学部との結論に達するという事だよね?? 


 本日、ネット上で見つけた情報を以下に紹介しよう。

 組織的な天下りや学校法人「加計学園」を巡る問題など不祥事が続いてきた文部科学省に新たな疑惑が浮上した。 同省事務方トップの事務次官の有力候補と目された局長が大学側への便宜の見返りに、わいろとなり得る「わが子の不正合格」を得たという受託収賄事件。 教育行政への信頼を揺るがす事態に、同省関係者は言葉を失った。  「文科行政を担う者として失格だ」「教育をつかさどる文科省が最も信用を失うのが、この手の裏口入学だ。残念だし、腹が立つ」。東京地検の捜索も受けた省内からは憤りの声が相次いだ。

 東京医大、局長への便宜依頼は理事長 学長も入試不正に関与 2018/07/05 13:05
 文部科学省の大学支援事業をめぐり、東京医科大学(東京都新宿区)に便宜を図る見返りに、受験した息子を合格させてもらったとして受託収賄容疑で前科学技術・学術政策局長、佐野太(ふとし)容疑者(58)が逮捕された事件で、佐野容疑者に便宜を依頼したのは同大の臼井正彦理事長(77)だったことが5日、関係者への取材で分かった。 鈴木衛学長(69)も関与したといい、2人はいずれも東京地検特捜部の調べに容疑を認めているという。 
 関係者によると、臼井理事長は昨年5月、東京医科大を私立大学支援事業の対象とするよう当時、官房長だった佐野容疑者に依頼したという。 謝礼として、今年2月に入試を受験した佐野容疑者の息子の点数を加算し、不正に合格させた疑いがあるという。 点数加算などの不正行為には、鈴木学長ら複数の幹部が関与していたという。 特捜部は今後、同大での入試の経緯や文科省の支援事業の選定過程について実態解明を進める。
 今年2月の同大医学科の一般入試では3535人が受験し214人が合格。倍率は16・5倍だった。
 問題の支援事業は「私立大学研究ブランディング事業」。 大学の看板となる研究の推進に必要な費用を国が助成し施設の新築や機器の購入などに充てられるもので、東京医科大はがんや生活習慣病の早期発見を推進するとの計画書を提出した。 同事業には全体で188校が申請。 同じ申請区分の65校の中から昨年11月に27校が選ばれた。 事業期間は5年間で最大約1億5千万円が助成され、東京医科大は1年分の助成金として3500万円の交付を受けている。
 文部科学省は、佐野容疑者(58)を大臣官房付に異動。 戸谷一夫事務次官(61)を同局長事務取扱として兼務させた。


 最後に、原左都子の私論でまとめよう。

 またもや、安倍政権下での文科省に関連する不祥事が表ざたになったとの呆れ果てる事実であろう。

 今度は、安倍晋三氏のお友達の加計学園獣医学部ではなく私立医学部。
 国家の支援事業として、「私立大学研究ブランディング事業」との名目のようだが。 それに東京医科大は癌や生活習慣病の早期発見を推進するとの計画書を提出したとのこと。 事業期間は5年間で最大約1億5千万円が助成され、東京医科大は1年分の助成金として3500万円の交付を受けているとの事実。

 既に、文科省局長であった佐野氏は逮捕されたとの事だが。
 どこまで安倍政権は、自らの政権下での“賄賂不祥事”を各省庁が繰り返すと気が済むのだろうか??
 
 ただ今回の事件に於いて何とも哀れなのは、東京医科大学に既に不正入学していると思しき文科省局長佐野氏の息子氏ではなかろうか?
 7月に入り大学夏季休暇が近づきつつあるこの時期に、父親が犯した過ちにより息子氏は退学(入学取消)の道程を歩む運命にあろう……