原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

昨夜遅くの某男性 “感謝と惜別挨拶” 我が家訪問のサプライズ!

2018年07月10日 | 人間関係
 現在の住居地へ引越して来て間もなく、我が家は某生活協同組合による食料宅配のお世話になる事とした。
 それから既に10年余の年月に渡り、担当者が入れ替わりつつ週1回のペースで真面目に誠実に配達を実施してくれている。


 昨夜我が家を訪れたのは、先週まで配達を担当してくれていた某男性(M氏としよう)だ。

 どうやら生協側の事情により、配送センターの大規模統廃合を実施するようだ。 それに並行して大幅な配達区域の見直しが執り行われるとの事である。
 我が家の近くの配達センターは廃止の運命を辿るそうなのだが、それに伴い現在の配達員が他の担当者と入れ替えとなるとの話は1ヵ月程前より担当者のM氏より伺っていた。

 まったくもって組合側の都合による統廃合の犠牲となるのは、我々顧客よりもまさに配達員氏ご本人達であろう。
 参考だが、M氏は前担当者氏の自己都合退社により急遽我が地区の配達担当となって未だ8カ月しか経過していない。 やっとせっかく仕事に慣れた地域なのに、またもや新たな地域の地理を覚えねばならなければ、新たな顧客関係を築かねばならないストレスの程を想像して余りある。


 一番最初にM氏にお会いした時の我が印象とは、実はあまり良くなかった。
 「雑」と表現すればよいのだろうか、それまでの担当者達と比較すると物腰が荒く、当初は違和感を抱かされる相手だった。

 ところが人間の印象とは、会う都度変化するものだと今更実感させられる。
 このM氏、雑は雑なのだが(例えば我が家の玄関ポーチの門扉を閉め忘れて帰ったりする)、その反面、肝心要の仕事内容が実に真面目でスピーディな事にすぐに気付かない私ではない。 食材を手渡す際に、必ずやビニール袋に記載されている我が氏名を口頭で反復しながら手渡してくれる。 (同マンション内で2件担当しているためだが。)  あるいは記憶力に優れていて、私が前週口頭で伝えた内容を必ずや次週確実に実行してくれる。  
 そんなこんなで、M氏は食料手渡しの合間に少しずつ雑談等を楽しむ関係に発展して行った。
 (またもや参考だが、今年3月のホワイトデーに私に焼酎をプレゼントしてくれた個人商人のS氏は全く別人です。) 


 そんなM氏から、生協側の印刷物と共に配送センターの統廃合の正式な知らせを聞いたのが、上記のごとく1ヶ月前のことだ。
 その後、M氏は我が家を訪れる毎に「せっかくこの地域の皆さんと懇親になれたのに残念だ」との思いを私相手に語っていた。 当然ながら私側も、「こちらこそ残念ですよ!」と返していたのだが。

 先週の配達時にM氏から手渡されたのは、M氏が自らご自身のパソコンにて作成したと思しき「文書」である。  その内容の一部を、以下に紹介しよう。

 201コースの組合員さんへ
 いつもご利用ありがとうございます。 配達担当のMです。 この度、配達担当センターの管轄エリア移行に伴い配達担当も変更する事となりました。
 突然のことで申し訳ありません。 私自身も大変残念ですが、残りの期間よろしくお願い致します。
 昨年11月より担当させてもらい、組合員の皆さんには大変良くしていただいたことに感謝しています。 雨の日、雪の日、最近では暑い日にも皆さんの声に励まされ、配達することができました。
 今後は、〇区の〇地域等々を担当しますので、もし私を見かけた際は、お気軽にお声をおかけ下さい。
 約8カ月間と短い期間でしたが、お世話になりました。 これからも〇〇生協をよろしく願い致します。
 (以上、我が地域の生協担当者氏より頂いた ご本人自主作成の「配達担当者変更のお知らせ」文書より一部を引用したもの。)


 さてさて、そのM氏が、昨夜20時半頃に我が家を訪れたのだ。
 室内インターフォンセキュリティ画面を覗くと、まさにそれがM氏である事には間違いない。
 ただ、既に風呂に入り“寝間着姿”の私が動揺しない訳もない。
 そんな私相手に、M氏がインターフォンを通して告げる。 「今回の管轄エリア変更により来週から別の地域配達となりますが、どうしても現地域にて特にお世話になった一部の組合員さん達に御礼を言いたくて、回っています。」と。

 そのM氏の“誠意”に心打たれた私は、自室玄関へ通した。 そのお礼をM氏は私に誠心誠意告げてくれた。
 その際私が、「申し訳ないことに既にお風呂に入ったのでこんな寝間着姿で失礼しました。 普段はもっと綺麗にしているのよ~~」などと口走ったのだが。
 それに応えて、M氏が…
  「今も十分に綺麗ですよ!」   

と言ってくれた事実を公開したいがために!?!、今回のエッセイを綴った、 とのいとも単純な魂胆なのだが… 

 (実際問題、今現在この言葉を何処の誰が私に面と向かって言ってくれようか??? 現世はこの種の言葉すら“セクハラ”と判断されかねない時代背景だし。)

 その後もM氏が次なる担当地域の詳細を私に伝えて下さるのだ。 それに応えて、「その地域へは週2度程通っている故にまたお会いできるかもしれませんね!」 と話すと、M氏も「是非、見つけますよ!」などと応えてくれつつ、我が家を去って行かれた。


 最後に私論だが。

 今時これ程に自身が今現在携わっている業務に誠実な若者が存在している事実に、感動させられた昨夜の出来事だ。
 M氏は、必ずや当該生協にてある程度長年勤務を続行出来ることであろう。