表題においては「ミステリー」と表現したが、これはミステリーなどではなく、現実人間社会の内面に蔓延っている病巣が表面化した事象であると位置付けるのが正確であろう。
先週、東京都足立区に生存しているはずの111歳高齢者男性の自宅における白骨死体での発見がニュースとして報道されて以降、日本全国の自治体は100歳を超える高齢者の所在確認作業に追われている様子である。
本日(8月10日)現在の100歳以上の不明者は全国各地で193名にも及んでいるとのことである。
中でも、神戸市においてはなんと105名もの大量の高齢不明者が判明したとのことであるが、神戸市における100歳以上の人口が847名とのことで、その1割を超えるお年寄りが所在不明のまま放置されていたとの計算になる。
一例を挙げると、戸籍上102歳で所在不明の東京都八王子市の男性の場合、男性と同居していることになっている長男の現在62歳の妻は、長男と結婚した頃から既に義父が所在不明であるにもかかわらず捜索願も出さないまま長年の年月が流れているようだ。
上記に類似する事例や、高齢者本人が家から出て行ったまま連絡が取れないと家族が語る事例が多い様子である。 その多くは高齢者が行方不明であるにもかかわらず捜索願を提出していない一方で、年金は何十年にも渡り受給し続けている家庭が少なくないというのが今回の高齢者所在不明事件の特徴であるとも言えよう。
その高齢者の年金等の振込総額が本人の所在不明にもかかわらず1,000万円近くに及ぶ事例も存在するようである。調査が進むにつれ更なる巨額年金受取事例も表面化することは目に見えている。 なぜならば、現在100歳を超える高齢者が年金受給に差しかかった何十年も前の時代には、先々を見据えない国家財政の下で野放図に年金制度が厚遇されていたからである。
今回の高齢者所在不明の背景には、多くの社会問題が潜在していると原左都子は捉える。
その一つは行政の住民基本台帳制度のあり方である。
こういう事件が表面化して初めて高齢者の所在確認に奔走する行政や自治体は、またもや国民市民に対し“公務怠慢”の醜態を晒す結果となったと言わざるを得ない。 このような事件が表面化しないもっと早い時点で、住民基本台帳確認作業等自らの日々の公務を全うしておけばよかったのではないのか?
「原左都子エッセイ集」の前回の記事において子どもの虐待に対する公務執行の軟弱さについて触れたが、高齢者に対する対応も同様に軟弱であるとは一体どうしたことか?
これに関して行政や自治体は「個人情報保護法」を引き合いに出したい所存のようである。
仙石官房長官が「個人情報保護法」が実態把握の阻害要因になっているとの認識を国会で明言したことを受けて、自治体もそれに同調したのか、この法律がまかり通ってしまって以降、打つ手が遮られてしまったと“泣き言”を国民に晒している有り様である。
そうではないであろう。
国や自治体には緊急時には国民市民の命を守るべく“特別法”により「個人情報保護法」を超える特権が付与されているはずである。 残念ながら、(前記事のごとく)子どもの命がかかっている虐待においてさえ軟弱な対応しか出来ない自治体である。
そんな国政や自治体にとって、近い将来死にゆく運命にある高齢者の優先順位は低く、あえて救うはずもないのであろう。 それが証拠に、当の昔に公園や更地になっている住居地に住民登録している不明高齢者を、何十年もそのまま住民登録し続け年金を支払い続けている実態である。 これぞ自治体の職務怠慢以外の何物でもない。
そして次なる問題は、高齢者の“高額の年金”である。
従来の年金制度を引き継ぎつつ現在の年金制度が成り立っていることにより、高齢者程年金額が高額であるのは既に国民の周知の事実であろう。
そこで、卑属(高齢者の子、孫等に当たる親族)にとっては尊属である年寄りへの高額の年金を利用しない手はない。 手っ取り早い話、自治体が何も調査をしに来ないことをいいことに、年老いた親がいつまでも生きていることにしさえすれば末永く高額の年金が自分達卑属の手元に保管している親名義の通帳に入金され続けるのである。
この不況の時代、自動的に入金され続ける親の年金を“食い扶持”にしない手はないとの次世代の発想も大いに成り立つのだ。
しかも、政府はいつまで経っても若い世代に対しては苦しい経済不況と就職難を押付けたまま、政権は我が身息災に揺れ動くばかりで何の進展もない現状である…
最後に、国民の所在不明問題は実は“高齢者に限ったことではない”事実が一番の恐怖なのではあるまいか…
今回の政府の調査は100歳以上に限っているが、この調査を全国民に拡大した場合、原左都子の推測によると悲しいかな膨大な国民の所在不明が成り立つように思考発展するのである。
と言うのも、ここのところの長引く国の経済雇用失策により現役世代間に「定職」がない人種が蔓延っている現状である。 核家族化に加えて、今の時代職場等自分が所属する機関の確保も難しく、ましてや近隣住民との接触をはじめとする周囲の人間関係も皆無に近い現状において、行政にとっては学校を卒業した国民の所在確認は至って困難なことであろう。
高齢者の生存に関しては「世界の長寿番付」等により国の威厳が保たれるため、長寿王国日本において今回の高齢者所在不明事件の報道表面化に対応するべく即時行政が動いているのであろう。
それよりも深刻なのが、現役世代の所在不明なのではなかろうか??
前回の(「原左都子エッセイ集」の記事の)子ども虐待事件のごとく23歳の娘とその幼き孫2人の所在すら知らない40代の両親が平気で通常に生きている我が国の実態である。 冗談抜きで、今後現役世代の人口調査に国政は入魂するべきであろう。
今年秋に国勢調査が実施されるようであるが、これは全国民の所在把握のまたとはない機会なのではなかろうか?
従来のようにアルバイトのおばさんに調査を頼るのではなく、国や自治体の公務員自らが「法的特権」を利用して、ある程度は“無料奉仕ででも”自ら調査に赴く勢いを持って、根気強く国政調査を実行してはいかがであろうか?
先週、東京都足立区に生存しているはずの111歳高齢者男性の自宅における白骨死体での発見がニュースとして報道されて以降、日本全国の自治体は100歳を超える高齢者の所在確認作業に追われている様子である。
本日(8月10日)現在の100歳以上の不明者は全国各地で193名にも及んでいるとのことである。
中でも、神戸市においてはなんと105名もの大量の高齢不明者が判明したとのことであるが、神戸市における100歳以上の人口が847名とのことで、その1割を超えるお年寄りが所在不明のまま放置されていたとの計算になる。
一例を挙げると、戸籍上102歳で所在不明の東京都八王子市の男性の場合、男性と同居していることになっている長男の現在62歳の妻は、長男と結婚した頃から既に義父が所在不明であるにもかかわらず捜索願も出さないまま長年の年月が流れているようだ。
上記に類似する事例や、高齢者本人が家から出て行ったまま連絡が取れないと家族が語る事例が多い様子である。 その多くは高齢者が行方不明であるにもかかわらず捜索願を提出していない一方で、年金は何十年にも渡り受給し続けている家庭が少なくないというのが今回の高齢者所在不明事件の特徴であるとも言えよう。
その高齢者の年金等の振込総額が本人の所在不明にもかかわらず1,000万円近くに及ぶ事例も存在するようである。調査が進むにつれ更なる巨額年金受取事例も表面化することは目に見えている。 なぜならば、現在100歳を超える高齢者が年金受給に差しかかった何十年も前の時代には、先々を見据えない国家財政の下で野放図に年金制度が厚遇されていたからである。
今回の高齢者所在不明の背景には、多くの社会問題が潜在していると原左都子は捉える。
その一つは行政の住民基本台帳制度のあり方である。
こういう事件が表面化して初めて高齢者の所在確認に奔走する行政や自治体は、またもや国民市民に対し“公務怠慢”の醜態を晒す結果となったと言わざるを得ない。 このような事件が表面化しないもっと早い時点で、住民基本台帳確認作業等自らの日々の公務を全うしておけばよかったのではないのか?
「原左都子エッセイ集」の前回の記事において子どもの虐待に対する公務執行の軟弱さについて触れたが、高齢者に対する対応も同様に軟弱であるとは一体どうしたことか?
これに関して行政や自治体は「個人情報保護法」を引き合いに出したい所存のようである。
仙石官房長官が「個人情報保護法」が実態把握の阻害要因になっているとの認識を国会で明言したことを受けて、自治体もそれに同調したのか、この法律がまかり通ってしまって以降、打つ手が遮られてしまったと“泣き言”を国民に晒している有り様である。
そうではないであろう。
国や自治体には緊急時には国民市民の命を守るべく“特別法”により「個人情報保護法」を超える特権が付与されているはずである。 残念ながら、(前記事のごとく)子どもの命がかかっている虐待においてさえ軟弱な対応しか出来ない自治体である。
そんな国政や自治体にとって、近い将来死にゆく運命にある高齢者の優先順位は低く、あえて救うはずもないのであろう。 それが証拠に、当の昔に公園や更地になっている住居地に住民登録している不明高齢者を、何十年もそのまま住民登録し続け年金を支払い続けている実態である。 これぞ自治体の職務怠慢以外の何物でもない。
そして次なる問題は、高齢者の“高額の年金”である。
従来の年金制度を引き継ぎつつ現在の年金制度が成り立っていることにより、高齢者程年金額が高額であるのは既に国民の周知の事実であろう。
そこで、卑属(高齢者の子、孫等に当たる親族)にとっては尊属である年寄りへの高額の年金を利用しない手はない。 手っ取り早い話、自治体が何も調査をしに来ないことをいいことに、年老いた親がいつまでも生きていることにしさえすれば末永く高額の年金が自分達卑属の手元に保管している親名義の通帳に入金され続けるのである。
この不況の時代、自動的に入金され続ける親の年金を“食い扶持”にしない手はないとの次世代の発想も大いに成り立つのだ。
しかも、政府はいつまで経っても若い世代に対しては苦しい経済不況と就職難を押付けたまま、政権は我が身息災に揺れ動くばかりで何の進展もない現状である…
最後に、国民の所在不明問題は実は“高齢者に限ったことではない”事実が一番の恐怖なのではあるまいか…
今回の政府の調査は100歳以上に限っているが、この調査を全国民に拡大した場合、原左都子の推測によると悲しいかな膨大な国民の所在不明が成り立つように思考発展するのである。
と言うのも、ここのところの長引く国の経済雇用失策により現役世代間に「定職」がない人種が蔓延っている現状である。 核家族化に加えて、今の時代職場等自分が所属する機関の確保も難しく、ましてや近隣住民との接触をはじめとする周囲の人間関係も皆無に近い現状において、行政にとっては学校を卒業した国民の所在確認は至って困難なことであろう。
高齢者の生存に関しては「世界の長寿番付」等により国の威厳が保たれるため、長寿王国日本において今回の高齢者所在不明事件の報道表面化に対応するべく即時行政が動いているのであろう。
それよりも深刻なのが、現役世代の所在不明なのではなかろうか??
前回の(「原左都子エッセイ集」の記事の)子ども虐待事件のごとく23歳の娘とその幼き孫2人の所在すら知らない40代の両親が平気で通常に生きている我が国の実態である。 冗談抜きで、今後現役世代の人口調査に国政は入魂するべきであろう。
今年秋に国勢調査が実施されるようであるが、これは全国民の所在把握のまたとはない機会なのではなかろうか?
従来のようにアルバイトのおばさんに調査を頼るのではなく、国や自治体の公務員自らが「法的特権」を利用して、ある程度は“無料奉仕ででも”自ら調査に赴く勢いを持って、根気強く国政調査を実行してはいかがであろうか?
そのお金で生活する老人の子供達・・・。
年金の世代間の公平さを何かの形で補わない限り、老人の神隠しは無くならないと思います。
人の死の尊厳は、たとえ息子・娘と言えども犯してはならないと思います。
少し前まで、交番のお巡りさんが、家族構成を調べる役割を果たしていましたが、パソコンの前で長く仕事をするようになってからおかしくなったのでは・・・。
この家庭は、この亡くなった老人と48歳の息子さんの2人暮らしだったらしいのですが、亡くなった男性の年金収入だけを頼りに2人で暮らしていたのだそうです。
年金額が如何ほどかの報道はないのですが、家には一応エアコンはあるものの、10年も前から電気代が払えないため電気が止められた状態で、お年寄りは熱中症で死亡したとのことです。
isseiさんがおっしゃる通り、役人とは一体何を見て何を判断して公的福祉に係わっていると言うのでしょう。ましてや国政は、国民に優しい政治を掲げてカネをばら撒くと言うけれど、国民の真の教育力なくしては、弱者など救えるはずもありません。
ドカドンさん、私も憶えています。
少し前まで、地元の交番から警察官が定期的に一軒一軒の住居を訪れて家族構成を調べていましたよね。 何故にそれをやめたのでしょう?? その理由を個人情報保護法にかこつけて済まされると本気で思っているのでしょうかね?? これは国や自治体の役人の“職務怠慢”以外の何ものでもないでしょう。
この問題は、国と自治体の公務員が自分たちの職務を日々(新政権お得意の)“しっかりと”遂行することで、相当の改善策が図れると、一国民として感じます。