礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

『須多因氏講義筆記』奥付の発売者謹白

2013-04-17 19:40:55 | 日記

◎『須多因氏講義筆記』奥付の発売者謹白

 最近、必要があって、明治時代に出た『須多因氏講義筆記』(牧野善兵衛、初版一八八九年七月)を読んでいる。須多因〈スタイン〉というのは、オーストリアの国家学者ローレンツ・フォン・シュタインのことで、明治期に伊藤博文ら政府要人が、ウィーンまで赴き、その講義を拝聴したことで知られる。もちろん原本ではなく、信山社から出た復刻本(二〇〇六)である。
 ところが、驚いたことに、歴史民俗学研究会の青木茂雄氏は、その原本を持っているという。後学のために、本日、原本を拝見させてもらった。一八八九年(明治二二)一二月刊の第三版である。発刊されてからすでに一二〇年余、さすがに傷みが激しい。
 表紙のタイトルは、「須多因氏講義 完」、扉には「須多因氏講義筆記」とある。奥付を見て気づいたのだが、信山社が復刻の対象としたものとは、異なるバージョンのようだ。信山社のものは、同じ第三版でも、「上等製本」と銘打たれており、「実価四十五銭」。一方、青木氏の蔵本は、簡易装のためか、「実価二十八銭」となっている。
 奥付に、紙片が貼ってあり、そこに、次のようにあった。

 本書ハ紙料印刷費ヲ以テ実価トナセシモノニ付素ヨリ地方ヘノ逓送費等ハ含有セザルモノニ付東京市外書林ニテ御求メノ諸君ハ地ノ遠近便不便ニ由リ実価外相当ノ逓送費ヲ申請ケ候筈ノモノニ付左様御了承ヲ乞フ又地方ヨリ発売所ヘ直チニ御注文ノ向ハ実価外郵税八銭御添御申込可被下候 発売者 牧野善兵衛謹白

 この本については、いろいろと語りたいことがあるが、本日はここまで。【この話、続く】

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