礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

石原莞爾『世界最終戦論』と東亜連盟協会の綱領

2013-04-02 10:31:05 | 日記

◎石原莞爾『世界最終戦論』と東亜連盟協会の綱領

 先週の土曜日、古書展で石原莞爾述『世界最終戦論』(立命館出版部、一九四〇)を入手した。この本は、一九四〇年(昭和一五)年九月一〇日に初版五〇〇〇部が出たが、その後、九月一四日付で発禁処分になっている。しかし、入手した本は、九月二〇日に五〇〇〇部発行された「第二版」であった(第二版という記載はない)。
 国立国会図書館の近代デジタルライブラリーで、この本を見てみると、「特500-569」の記号がついた発禁本は、初版でなく「第二版」であった。「特212-153」の記号がついた削除版は、「第二版」の七七ページから八〇ページまでを切り取ったものであたる(表紙に「削除済」とある)。「特237-993」の記号がついた「第一改訂版」は、「第二版」を製版しなおしたものらしく、「第二版」の七七ページから八〇ページに相当する部分では、文章の手直しがおこなわれている。これが、「第三版」にあたると思われる。
 入手した「第二版」は、まったく削除がなかった。この状態で市場に出回ったものもあったということであろう。不思議なのは、奥付に定価金四〇銭とあるのに、裏表紙では五〇銭となっていることである(「特500-569」は、同じ「第二版」であるが、奥付、裏表紙とも、四〇銭)。
 同書の巻末に、「東亜連盟協会綱領」が掲載されている。本日は、これを紹介してみる。

東亜連盟協会綱領
一、本協会ハ万邦協和ニヨル世界絶対平和ノ確立ヲ究極ノ理想トス
一、本協会ハ王道ニ基キ国防ノ共同、経済ノ一体化、政治ノ独立ヲ条件トスル東亜連盟ノ結成ヲ唱道ス
一、本協会ハ国防国家完成ノ為メ内外一途ノ革新政策ノ実現ヲ期ス
 東亜連盟協会規約
第一条 本協会ハ東亜連盟協会ト称シ、事務所ヲ東京ニ置ク
第二条 本協会ハ綱領ノ実現ヲ図ルヲ以テ目的トス
第三条 本協会ノ綱領ニ賛成シ、旦ツ所定ノ入会手綴ヲ経タルモノヲ普通会員トス、本協会ノ精神ヲ体得シ、本運動ノ中核タルモノヲ以テ参与会員トナス、其ノ選衡方法ハ別ニ之ヲ定ム
第四条 本協会ハ本協会ノ目的ヲ達スルタメ左ノ事業ヲ行フ
 一、月刊誌「東亜連盟」、パソフレツト、其ノ他出版物ノ刊行
 二、講習会、講演会、研究会、座談会ノ開催
 三、東亜連盟問題其ノ他必要事項ニ関スル研究調査
 四、本協会ト目的ヲ同ジクスル内外諸団体トノ連絡提携
 五、其ノ他必要ト認ムル事項
第五条 本協会会務ハ参与会員ノ合議ニ依リテ行フ
第六条 本協会ニ顧問、客員ヲ置クコトヲ得

今日のクイズ 2013・4・2

◎『世界最終戦論』の巻末に「東亜連盟協会綱領」が掲載されている理由としてありうるのは、次のうちどれでしょうか。

1 石原莞爾が京都における東亜連盟協会の集会でおこなった講演を収録している。
2 石原莞爾が講演の中で、聴衆に東亜連盟協会への入会を呼びかけている。
3 この本を編集したのは、東亜連盟協会関西事務所であった。

【昨日のクイズの正解】 2 ちんし内親王 ■平安時代の皇女「珍子内親王」の読みの問題でした。

今日の名言 2013・4・2

◎本協会ハ万邦協和ニヨル世界絶対平和ノ確立ヲ究極ノ理想トス

 本協会とは、東亜連盟協会のこと。石原莞爾述『世界最終戦論』(立命館出版部、1940)の巻末に掲載されている東亜連盟協会の綱領より。上記コラム参照。

コメント (1)
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